37 / 53
今日からお世話になります
しおりを挟む
「クロード様、急にご厄介になって大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。マーカスなんかは大喜びだ。」
クロード様の馬車でクロード様の邸に向かっているはずなのに、方向が違っていた。
「クロード様…どちらに?」
「少し騎士団に用事がある。俺の勤めている屯所なんだが…ラケルは馬車で待っていてくれ。」
「はい。」
騎士団の屯所につくと、敷地内に馬車を止めてクロード様は中に一人で行ってしまった。
今日はお休みだったけど、お忙しいのだろう。
しばらく待っていると、クロード様と数人の騎士様達が出てきた。
挨拶をするべきなんだろうけど、クロード様は馬車で待っていろと言った。
今はまだ正式に挨拶をするべきではないのかと思った。
窓から見るとクロード様はからかわれたのか少し照れている。
私はせめてと思い、窓越しに会釈をした。
クロード様は軽く手を上げ振ってくれ、騎士様は会釈を返してくれた。
クロード様は用事が済んだようで、駆け足で馬車に戻ってきた。
「すまない。待たせた。」
「大丈夫ですよ。そんなに待ってませんから。」
何の用事か言わなかったから、きっと仕事のことだと思った。
そして、クロード様の邸につくとやはり大歓迎だった。
「ラケル様!クロード様と婚約おめでとうございます!」
「ありがとうございます。まだ結婚前ですがよろしくお願いしますね。」
執事のマーカスさんはやはり感涙だった。
私に用意された部屋は陽当たりのいい部屋で、クローゼットもまあまあ広い。
「結婚してもこの邸で生活することになるから、結婚すればすぐに主寝室の隣に移って欲しい。それまではこの部屋でいいだろうか。別の部屋が良ければ…」
「この部屋で充分ですよ。」
クロード様のお父様が存命中は領地の本邸に行かず、爵位を継ぐまでは騎士の仕事も続けると、話された。
「こんな事態だが、ラケルが初めて邸に住む日だ。夜は晩餐にするから、二人でゆっくり食べよう。」
「はい、楽しみですね。」
そして、荷ほどきをし、伯母様に今度クロード様とお邪魔することなどを書き、手紙を出した。
マーカスさんはすぐに出します、と言って手紙を快く引き受けてくれた。
晩餐には、はりきってドレスの支度をした。
私の支度をしてくれるメイドのアンも何故かはりきっている。
中々手際がいい。
だが、耳の後ろに見たことのない香水を少し、塗るようにつけられた。
「アン、その香水は?私のではないですが…」
いつの間にか、クロード様が香水を買ってきたのかしら?
「男を誘惑する香水です!マーカスさんの許可はとっています!」
私の許可は!?
堂々と変なものを私につけないで欲しい。
「…あの、どうして?」
「クロード様もラケル様も真面目ですから!」
「クロード様も真面目ですか?」
「仕事一筋の方ですから。」
では、時々迫ってきそうなのは何でしょうか。
結婚してくれ、と言われた時は、私に覆い被さってきそうでしたよ。
支度が済み、部屋を出るとクロード様が待ってらした。
クロード様の容姿は完璧だ。
あまりに素敵過ぎて、今まできっとメイベルみたいなタイプがすぐに寄って来て、クロード様は女性を遠ざけていたのかもしれない。
しかし、奥手には見えない。
「ラケル…香水を変えたのか?」
「少しだけ…不思議な香水をつけました。」
早速、香水の効果があるのか。
クロード様を見上げると、また私を見ていた。
「クロード様…今日はありがとうございました。とても助かりましたし、側にいてくれて心強かったです。」
「あれくらいどうってことない。困ったことがあれば何でも言ってくれ。」
「ありがとうございます。」
ハロルド様のことはもう大丈夫だと思う。
ハーヴィ伯爵があんなに怒っているのは初めて見たのだから。
クロード様がすぐに結婚したいと言ってくれたから、結婚も近い。
準備で忙しくなるから、正直ハロルド様に関わっている暇はないのだ。
「大丈夫だ。マーカスなんかは大喜びだ。」
クロード様の馬車でクロード様の邸に向かっているはずなのに、方向が違っていた。
「クロード様…どちらに?」
「少し騎士団に用事がある。俺の勤めている屯所なんだが…ラケルは馬車で待っていてくれ。」
「はい。」
騎士団の屯所につくと、敷地内に馬車を止めてクロード様は中に一人で行ってしまった。
今日はお休みだったけど、お忙しいのだろう。
しばらく待っていると、クロード様と数人の騎士様達が出てきた。
挨拶をするべきなんだろうけど、クロード様は馬車で待っていろと言った。
今はまだ正式に挨拶をするべきではないのかと思った。
窓から見るとクロード様はからかわれたのか少し照れている。
私はせめてと思い、窓越しに会釈をした。
クロード様は軽く手を上げ振ってくれ、騎士様は会釈を返してくれた。
クロード様は用事が済んだようで、駆け足で馬車に戻ってきた。
「すまない。待たせた。」
「大丈夫ですよ。そんなに待ってませんから。」
何の用事か言わなかったから、きっと仕事のことだと思った。
そして、クロード様の邸につくとやはり大歓迎だった。
「ラケル様!クロード様と婚約おめでとうございます!」
「ありがとうございます。まだ結婚前ですがよろしくお願いしますね。」
執事のマーカスさんはやはり感涙だった。
私に用意された部屋は陽当たりのいい部屋で、クローゼットもまあまあ広い。
「結婚してもこの邸で生活することになるから、結婚すればすぐに主寝室の隣に移って欲しい。それまではこの部屋でいいだろうか。別の部屋が良ければ…」
「この部屋で充分ですよ。」
クロード様のお父様が存命中は領地の本邸に行かず、爵位を継ぐまでは騎士の仕事も続けると、話された。
「こんな事態だが、ラケルが初めて邸に住む日だ。夜は晩餐にするから、二人でゆっくり食べよう。」
「はい、楽しみですね。」
そして、荷ほどきをし、伯母様に今度クロード様とお邪魔することなどを書き、手紙を出した。
マーカスさんはすぐに出します、と言って手紙を快く引き受けてくれた。
晩餐には、はりきってドレスの支度をした。
私の支度をしてくれるメイドのアンも何故かはりきっている。
中々手際がいい。
だが、耳の後ろに見たことのない香水を少し、塗るようにつけられた。
「アン、その香水は?私のではないですが…」
いつの間にか、クロード様が香水を買ってきたのかしら?
「男を誘惑する香水です!マーカスさんの許可はとっています!」
私の許可は!?
堂々と変なものを私につけないで欲しい。
「…あの、どうして?」
「クロード様もラケル様も真面目ですから!」
「クロード様も真面目ですか?」
「仕事一筋の方ですから。」
では、時々迫ってきそうなのは何でしょうか。
結婚してくれ、と言われた時は、私に覆い被さってきそうでしたよ。
支度が済み、部屋を出るとクロード様が待ってらした。
クロード様の容姿は完璧だ。
あまりに素敵過ぎて、今まできっとメイベルみたいなタイプがすぐに寄って来て、クロード様は女性を遠ざけていたのかもしれない。
しかし、奥手には見えない。
「ラケル…香水を変えたのか?」
「少しだけ…不思議な香水をつけました。」
早速、香水の効果があるのか。
クロード様を見上げると、また私を見ていた。
「クロード様…今日はありがとうございました。とても助かりましたし、側にいてくれて心強かったです。」
「あれくらいどうってことない。困ったことがあれば何でも言ってくれ。」
「ありがとうございます。」
ハロルド様のことはもう大丈夫だと思う。
ハーヴィ伯爵があんなに怒っているのは初めて見たのだから。
クロード様がすぐに結婚したいと言ってくれたから、結婚も近い。
準備で忙しくなるから、正直ハロルド様に関わっている暇はないのだ。
76
お気に入りに追加
4,149
あなたにおすすめの小説

夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。
光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。
最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。
たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。
地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。
天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね――――
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。


二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる