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彼女のフリは成功!?
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クロード様の上司ベイツ公爵邸につくと、ベイツ公爵親子は驚きを隠せなかった。
私が馬車から降りるのをクロード様が手を支えるように手を引き寄せている所から始まり、頑張りますからね!と言う意味でクロード様を笑顔で見ると微笑んでくれた。
きっとクロード様は、よろしく頼む、とでも思っているだろう。
ベイツ公爵親子には、このアイコンタクトが見つめあっている恋人に見えたかもしれない。
ベイツ公爵親子に挨拶をすると、やっと公爵様が話し出した。
「…クロードに本当に恋人がいたのだな。娘を断るだけの方便かと思ったが…」
フッ、クロード様、見抜かれていますよ。
さすがクロード様の上司の騎士様です。
「クロード様ぁ、本当ですの…。」
ベイツ公爵の娘ルシール嬢はクロード様の腕に絡んできた。
「本当です。彼女が俺の恋人です。」
クロード様はこの甘えた声が嫌いで、絡めてきた腕にひきつっていた。
「ルシール、諦めなさい。一度も女の噂のないクロードに恋人がいるんだ。全く脈はないぞ。」
「そんなぁ!…でも恋人なら婚約者ではないですからっ!私は一時の恋人くらい我慢しますぅ!」
頑張るなぁ、と思うくらいだが、何だかメイベルの片鱗が見える。
きっとクロード様は自分のものになると思っているのだろう。
しかも、私がいるのにクロード様の腕を絡めないで欲しい!
「クロード様、両手に花ですね。」
そう言いながら、思わず私もクロード様の腕を絡めるようにギュッと組んだ。
「ルシール嬢、離れて下さい。ラケルに不愉快な思いをさせたくないのです。ベイツ様、ルシール嬢を止めて下さい。」
「すまなかった。ルシール、離れなさい。クロードのことはもう無理だぞ。」
「そんなぁ、ひどいです…。」
ショックを受けているだろうが、元々クロード様はお断りをしていたのだからしょうがない。
ルシール嬢が諦めたことより、上司のベイツ公爵様が諦めた方が、クロード様にとったらホッと安心したようだった。
ルシール嬢は、食欲が無くなりましたわ。と言いながらも品良く、晩餐は残さず食べ、デザートもしっかり食べていた。
中々お茶目な方かもしれない。
隣の視線を感じると、クロード様はまた私を見ていた。
私のマナーはいいはずですよ。
子供の時は、叔母様にマナーを習っていた。叔母様は優しいけど厳しい方で、マナー講師もするような方だから、私のマナーは間違ってないはずです。
クロード様、その視線は何ですか?
よく頑張ったと褒めたいのでしょうか。
ベイツ公爵様を見ると、笑顔でこちらを見ている。
「クロード、良かったな。」
「はい。」
ベイツ公爵様は、部下の幸せを喜んでいるような方だった。
どうやら、娘のことがなければ良い上司なのだろう。
だから、クロード様は揉めずに断りたかったのだと思った。
そして、その笑顔に、彼女のフリ作戦は大成功でしょう、と確信した。
私が馬車から降りるのをクロード様が手を支えるように手を引き寄せている所から始まり、頑張りますからね!と言う意味でクロード様を笑顔で見ると微笑んでくれた。
きっとクロード様は、よろしく頼む、とでも思っているだろう。
ベイツ公爵親子には、このアイコンタクトが見つめあっている恋人に見えたかもしれない。
ベイツ公爵親子に挨拶をすると、やっと公爵様が話し出した。
「…クロードに本当に恋人がいたのだな。娘を断るだけの方便かと思ったが…」
フッ、クロード様、見抜かれていますよ。
さすがクロード様の上司の騎士様です。
「クロード様ぁ、本当ですの…。」
ベイツ公爵の娘ルシール嬢はクロード様の腕に絡んできた。
「本当です。彼女が俺の恋人です。」
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「ルシール、諦めなさい。一度も女の噂のないクロードに恋人がいるんだ。全く脈はないぞ。」
「そんなぁ!…でも恋人なら婚約者ではないですからっ!私は一時の恋人くらい我慢しますぅ!」
頑張るなぁ、と思うくらいだが、何だかメイベルの片鱗が見える。
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「クロード様、両手に花ですね。」
そう言いながら、思わず私もクロード様の腕を絡めるようにギュッと組んだ。
「ルシール嬢、離れて下さい。ラケルに不愉快な思いをさせたくないのです。ベイツ様、ルシール嬢を止めて下さい。」
「すまなかった。ルシール、離れなさい。クロードのことはもう無理だぞ。」
「そんなぁ、ひどいです…。」
ショックを受けているだろうが、元々クロード様はお断りをしていたのだからしょうがない。
ルシール嬢が諦めたことより、上司のベイツ公爵様が諦めた方が、クロード様にとったらホッと安心したようだった。
ルシール嬢は、食欲が無くなりましたわ。と言いながらも品良く、晩餐は残さず食べ、デザートもしっかり食べていた。
中々お茶目な方かもしれない。
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クロード様、その視線は何ですか?
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ベイツ公爵様を見ると、笑顔でこちらを見ている。
「クロード、良かったな。」
「はい。」
ベイツ公爵様は、部下の幸せを喜んでいるような方だった。
どうやら、娘のことがなければ良い上司なのだろう。
だから、クロード様は揉めずに断りたかったのだと思った。
そして、その笑顔に、彼女のフリ作戦は大成功でしょう、と確信した。
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