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本当に婚約破棄してます
しおりを挟む「という顛末です。…面白くなくてすみません。」
面白さはいらないが、とクロード様は考え込みながら聞いていた。
「それでこの平屋に?」
「そうです。邸で顔を合わせるのが居心地悪いんですよね。」
「…本当に婚約破棄しているんだな?」
「勿論です。あっ、婚約破棄の書類を見せましょうか?」
後で万が一にもハーヴィ伯爵様にもう一度婚約をと言われる可能性も考えて、邸の部屋でなく平屋に隠しているのだ。
しかし、婚約破棄したのに何にも音沙汰がないからおかしいと思ったのよね。
まさかまだ報告してないとは。
ちゃんと婚約破棄の書類を持ってきたから、ハーヴィ伯爵様もご存知なのかしら、とも思っていたのだ。
「こちらです。」
クロード様に婚約破棄の書類を見せると、私とハロルド様の合意のサインを確認していた。
「間違いないな。」
「勿論です。立会人はいませんでしたが、当人同士のサインをしましたのでこれでも通用しますよ。」
クロード様は、少し肩の力を抜いたようにまたお茶を飲んでいた。
彼女のフリが出来なくなると思っているのだろうか。
何故か毎日通って来るし、クロード様のことがまだよくわからない。
「ちゃんと彼女のフリはしますから大丈夫ですよ。」
「それはありがたいが…」
何だか心配そうに見られている気がする。
「明日もまた来る。」
「はい。」
そう言われると整った切れ長の眼で見つめられた気がした。
思わずドキッとしてしまい、お茶を飲んで目を離してしまった。
しかもまた明日も来る気だ。
「明日は昼から休みだから買い物に行かないか?」
「はい、お供しますよ。」
「…上司の晩餐に行くドレスを贈りたいのだが…」
「ドレスならありますよ。」
「いや、こちらが無理を言ったのだから、君に贈りたいんだ。」
これもお礼のつもりなのだろうか。
「明日必ず迎えに行くから俺が来るまで待っていて欲しい。」
「でもドレスまで買って頂くのは…」
「気にしなくていい。」
公爵家の方だから、お金はあるのだろう。
でもクロード様は好意で私に贈りたいと言って下さっているように感じた。
「わかりました。では、明日よろしくお願いいたします。」
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