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第三章 進路とダンジョン攻略
60話目 2回目のダンジョンアタック
しおりを挟む「じゃあ行ってくるわね」
「気をつけてね」
「お守り持った? 十分注意するのよ」
今日は姉が2回目のダンジョン探索日だ。
いつものように動きやすい服装に加え、登山用のリュックに荷物を詰め込み家を出る。
今回は1週間ほど潜るらしい。
前回も余裕って言ってたから大丈夫だとは思うが心配なものは心配だ。
「大丈夫よ、何? 優奈心配してくれてるの?」
「当たり前だよ!! ちゃんと無事に帰って来てね」
「分かった分かった。 ありがとう、土産話期待しておいてね」
「うん」
そう言って姉は家を出て行った。
姉の姿が見えなくなるまで見送っていると母から声を掛けられた。
「私達も用意して行きましょう。 優奈は学校でしょ?」
「あ、そうだった」
スマホを見れば用意しなければいけない時間を示していた。
家の中に入り制服に着替え学校に行く準備を行った。
「葵おはよう」
「遥おはよう」
「……凄い荷物ね」
「そう?」
葵は登山用のリュックの他にショルダー掛けの鞄も持っていた。
「お菓子はおやつに入らない」
「入るわよ。 おやつって言ってんじゃん」
今回の参加人数は職持ちが20人に対して自衛隊員が30名、教官が1名、臨時の教官が4名体勢となる。
日数や拠点場所の防衛の観点からこの人数に決まったらしい。
特に拠点の防衛に人数が割かれているそうだ。
私達も交代で羽ウサギ対策に充てられるらしい。
今回はダンジョンの10階まで潜る。
初日は2階まで下り、前回設置した物の確認とダンジョン内の順応。
2日目は3、4階の確認と4階層での拠点の設置。
3日目から6日目にかけて5階から10階の地図の完成。
ここで交代で野営の訓練も行う。
10階層以降は自衛隊員の付き添いが出来ない為だ。
自力でダンジョン内で完結できるすべを身に付けなければいけない。
7日目が拠点の撤去と撤退。
こんな日程になっている。
これをこなしたら、次からは自衛隊の付き添いは『門』 前までになり、潜るのは自分達だけになるらしい。
前回と同様に専用車両に乗り込み指定された『門』 まで赴く。
到着すると報道陣がカメラを構える中『門』 に持ち込む荷物の荷卸しを行う。
今回は自衛隊員の人数が多い為荷卸しは全て自衛隊員に任せることになった。
「職持ちはこちらに来てくれ」
教官から呼ばれ、報道陣から見えないよう専用車両の裏に集まる。
教官の足元には箱が置かれていた。
「今からこれを配る。 これはダンジョンを探索する際怪我をしたら使用するように」
そう言われウエストポーチのようなものが各自配られた。
中に何か入っているような重さが感じられる。
一人一つ行きわたるのを確認すると教官が説明を始めた。
「中には下級回復薬が3本入っている。 チャックを開け中身がちゃんとあるか確認してくれ」
下級回復薬!!
そう言われ、各自中身を確認する。
……ちゃんとあるね、というか下級回復薬支給されるのか。
「……今回下級回復薬の効果の確認も含まれている。 ダンジョン外の使用は確認された。 ダンジョン内での使用効果の検証もある。 使用したら報告を上げるように」
「「「「「はい」」」」」
しっかり腰に巻き付け固定する。
多少の怪我なら自力で回復できるけど魔力の節約になるからこれはこれでありがたいね。
そして準備が整ったらしく、教官を先頭にダンジョン内に歩みを進めた。
1日目は前回同様特に問題なく順応に費やす。
前回設置して帰った物は半分無事で半分は溶かされていた。
無事な物は入り口付近に設置されていた無線アンテナ。
溶かされていた物は前回の拠点に設置してあったアンテナの類だ。
破壊した壁は補習されていた。
壁に刺した杭は落ちて溶けていた。
それを映していたカメラは溶かされていた。
壁に書きこんだ文字はきれいさっぱり消えていた。
穴に捨てられていた生ごみは、穴ごときれいさっぱり消えていた。
どうやら表面も一定時間で綺麗になるみたいだ。
だとすると入り口付近にあったカメラは単純にスライムがそこまで行かなかったから無事だったと言う事か?
ともすればダンジョン内の整備は中々難しいなと思った。
順応も済んで2日目。
私達職持ちが先導や護衛をし3、4階層を進む。
羽ウサギが出たら私が結界を張り、誰かが退治する、そんな繰り返しを行った。
4階の開けた場所に出ると障害の排除を行い、拠点の設置を行う。
通路には羽ウサギが接近した時ように鈴を設置し音が聞こえたら職持ちが排除に動く。
幾人かの自衛隊員は鈴の音が聞こえるとビクッと体をこわばらせていた。
私たちにとっては少し威力のあるウサギだけど一般人にとっては脅威なのだと理解した。
私たちが拠点の防衛に割り当てられた時間は3日目だ。
2日目の今日は葵たちと相談して少しだけ5階層の確認を行うことにした。
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