高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第三章 進路とダンジョン攻略

54話目 学祭後

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学祭から帰宅すると姉はすでに家に帰って来ていた。


「学祭どうだった? 参考になった?」

荷物をリビングに置き、姉が座っているソファーへと移動し隣に座った。

「うん!! 土井さんのレベルが判明したよ!!」

「土井?」

「お姉ちゃんよりレベル低かったよ」

「土井? 土井って誰よ。 今日何見に行ってきたの? 人?」

「学祭だよ?」

私はそこで前回お祭りで見かけた人について説明をした。

「あぁ……前にお祭りで見かけた人ね。 大学生だったんだ」

「多分、実行委員の人たちに頼りにされてたし」

「ふーん……いや、それどうでもいいからね、ちゃんと展示物とか雰囲気とか見てこれた?」

「うん!! ばっちりだよ。 あーちゃんにも説明してもらったしノートにも書いてきたよ」

そう言いながらメモを取ったノートをカバンから取り出した。
姉が、「見せて」 と手を出してきたので渡す。

「ふーん……ん? 意外としっかり記録されてるわね。 えらいえらい」

「でしょ!!」

「でも……なに? この走り書き……」

メモ帳の隙間に書かれた文字に姉が食いついた。

「あ……脱出ゲームのメモ!!」

「しっかり堪能してんじゃない、まあ、楽しかったなら良かったね」

姉は苦笑しつつそう言うと、次に一緒に行く学祭について話をした。




「そう言えばさぁ……」

来週末に行く学祭を決め、姉と一緒にオムライスを作り、夕食を済ませる。
部屋でまったりしているとまだ姉に聞いてなかったことを思い出した。

ベッドの上でゴロゴロしつつ姉に話しかける。

「んー?」

姉はベッドを背もたれにしつつスマホを見ながら生返事をした。

「ダンジョンってどうだったの? 敵強かった?」

「ダンジョンの中?」

「うん!!」

「どこまで話していいのかな?」

期待に満ちた目をして姉を見つめる。
姉は視線を彷徨わせスマホを弄り出した。

「あ、守秘義務あるの?」

「うん……ちょっと待ってね、どこまで公開されてるかな……と」

姉がダンジョンに潜ったあと、功績発表を急いだ政府が数日後に内容を一部公表していた。
公表していた内容はドロップアイテムと出現した魔物について。

この魔物が公表されたときは女性からの黄色い悲鳴が上がった。
私も例に漏れず、その可愛さにやられて悲鳴を上げた。

「ここまでならいいか。 んーっとね1-2階はスライムだけしか出なかったよ。 アイテムも下級回復薬くらいしか出なかったな。 3-4階はスライムとあの羽ウサギが出たよ。 羽ウサギ生で見るとめっちゃ可愛いの。 大きさも猫よりも小さくてふわふわしてて羽がピョコピョコ動いてて可愛かった」

「いいなー羽ウサギいいなー」

ちなみに私はスマホの壁紙を飼い猫のシロにしている。
今回羽ウサギが登場して壁紙を変えようか凄く迷った。

「羽ウサギは落とすアイテムもスライムよりも良かったよ、今回公表されたアイテムほとんど羽ウサギからだもん」

「そうなの?」

「うん」

「いいなー私も早くダンジョンに潜りたいー!!」

「……ちょっと聞くけど、優奈は成人したら私と同じようにダンジョン攻略室に所属したいの?」

姉が真剣な眼差してそう尋ねる。

「え? うん。 所属してダンジョンに入りたいよ?」

「そっか……。 なら私が紹介しようか? 優奈だったらレベル私より上だし、もしかしたら特例で入れるかもよ?」

いつものように冗談を言っている風ではなく真面目にそう言う姉。
真意がよく分からずに困惑してしまう。

「お姉ちゃんのコネでってこと?」

「そう」

正直そんな事考えてなかった。
成人するまでは入れないとばかり思っていたから。
そう言われて返答に困ってしまう。

「んー……入りたいけど……それって良くない事だよね」

「そう?」

「うん。 だって皆入りたくて試験受けるのに、私だけパスするのってなんかズルくない? そりゃ入りたい!! 入りたいけど……うー……私だったらズルいって思っちゃうかな。 だから私は自分の力で合格目指すよ。 見てて。 成人したら殴り込むから!!」

そう言ってベッドの上でファイティングポーズを取った。
あんなに姉に置いて行かれることにネガティブだったのに、道筋が見えてきた辺りから不思議と不安を感じなくなってきていた。
もちろんダンジョンには入りたいけど。
ただ私の為にお姉ちゃんが無理するのは嬉しくない。
コネも実力のうちって言われるかもしれないけどね。


「そっか。 分かった」

「気を遣ってくれてありがとうね、お姉ちゃん。 待ってて!! ダンジョンに入る頃にはレベル100オーバーになってやるから」

「あり得そうなのが怖いわ」

ふんす!! とガッツポーズを決めると姉はそう言って笑ってた。

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