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第三章 進路とダンジョン攻略
44話目 忍び寄る
しおりを挟む「最近優奈頑張ってるね」
「あーちゃん……」
「でもゆうゆう無理しちゃだめだよー」
修学旅行の班決めの最中にそう話しかけられる。
自由に班を決めても良いと言う事もあり私たちは早速3人で話し合いをしていた。
自由に班を決めて良いと言っても人数は決まっている。
5人一グループとされていて私たちは2人グループの子たちを誘いに行った。
「宜しく」
「こちらこそ宜しく」
運よく2人見つかりグループが決まった。
一人は大山雪ちゃん、もう一人は森恵美ちゃんだ。
大山雪ちゃんは線が細く大人しい子で森恵美ちゃんは反対に活発な女の子だ。
「違ったらごめん、橘さんのお姉さんってこの間テレビに出てなかった?」
「出てたよ、私もビックリしちゃった」
「スキル? だっけ? 凄かったね」
こうした姉に対する話題もちょくちょく出ながら私たちは早速修学旅行のルート決めを話し合った。
「今日の夕食はスンドゥブチゲ鍋です」
「熱い!!」
「私もだ!!」
食での戦いは今日も続く。 今日の日中最高気温は32度。 残暑厳しい秋である。
「食べるけどさぁ、……旨っ」
「ふふん」
「なんかむかつく!!」
クーラーはガンガン効いている。
だが姉も汗だく。 私も汗だく。 戦いはまだまだ続くのであった。
夜ご飯を食べ終えるとクーラーの効いたリビングでくつろぐ。
テレビのもっぱらの話題はダンジョンについてだ。
危険性やモンスター、魔物に関する議論や魔道具に関する呼び名や使い方なんかを予想している。
もちろん職持ちやスキルに関してもだ。
アメリカのダンジョン攻略を受け、各国でもちらほら攻略報告が聞かれるようになった。
日本ではまだ進んでないみたいだけど。
「優奈、最近なんでそんなに突っかかってくるの?」
「別にー」
「……ならいいけど。 言いたいことがあるなら言ってよね」
そう言って姉は自室に戻って行ってしまった。
姉は今日も訓練だったらしい。
そして今週末にはいよいよダンジョンに潜るらしい。
……羨ましい。
進学したい大学を探しつつ、勉強もする。
でも理解が出来ず遅々として進まない。 どうすればいいか分からない。
そんな私の目には、姉がすべて上手くいっているように見えて羨ましかった。
FBI
「ターゲットとコンタクトを取っていた人物は?」
「調べによると日本国籍の橘優介と調べが付きました」
「日本人か……? 確か日本はまだダンジョンをクリアしていなかったな」
「はい。 ターゲットと何を話していたのかは分かりません、その後ターゲットと共に行方をくらませました」
アメリカを始めとする海外で未確認飛行物体が目撃されるようになっていた。
それは頭に2本の角を生やし背に羽のある人型のようなものだった。
カメラを気にするそぶりも見せず各地に現れ突如姿を消す。
連日連夜監視カメラの洗い出しを行っていたFBIの下に、ようやく手掛かりとなる画像が転がり込んだのだった。
「……CIAに協力を求める。 それと例の職持ちにも協力を要請だ」
「かしこまりました」
職持ちに関する理解は海外の方が進んでいた。
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