高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第二章 変わりゆく日常

35話目 職業

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「にしてもどうするんだろうね」

「なにが? あ、そっち成長の結界お願い」

姉と一緒に花壇の世話をしている。

「これ? はーい。 『成長の結界』 いやぁさあ、私今訓練してるじゃない?」

「してるね、今日もあるんだっけ?」

「うん、行ってくる」

姉は国に対して、職業とスキルを公表した。 他の合格者も同様に。
と言ってもスキルまで見れないので『治癒の結界』 と『隔絶の結界』 のみだけど。
治癒の結界は怪我を負った時に使用しちゃうから、隔絶の結界は防御するのに使うから報告したらしい。
騒がれるかなと思ったらしいが他にも回復スキル持ちの人が居たおかげでそこまで騒がれなかったみたい。

ちなみに他の人の職業で一番多かったのは、【重戦士】 【剣闘士】 【射手】 【格闘家】 【剣士】 【槍使い】 【棒術師】 【木こり】 数人だけだったのは【魔術師】 や、さらに少なかったのが【治癒師】 【聖魔師】 なんて人もいたみたい。

ただ物作り系の生産職や鑑定士の人は居なかったとのこと。

「いやぁさ、職業がこう……判明するじゃん? だけどスレみた? いまだに半信半疑の人が大多数なんだよ」

「そうだね」

私は成長した葉をむしりながら相づち打つ。

「私たちは職業を把握してて事実だと認識してるでしょ? 一般の人たちにどうやって認識させるのかなって思ってさ、多分政府は鑑定使ってダンジョン探索者を選定したでしょ? でも私達は理解できても大多数の人は理解できないじゃん」

「どうするも何も……なるようにしかならなくない? 信じたい人は信じる、信じられない人は何やっても信じられないでしょ? お姉ちゃんは悪いことしてないんだから堂々としてればいいと思うよ?」

「……優奈が珍しくまともなことを言ってる」

「私はいつだってまともですー」

「ダウト」

「なんで?!」

スライム祭りみたいに目に、見える形で現実パンチ食らわないと理解できない人は多いと思う。

実際にあのスライム祭りだって、体験した人と、メディアとかで画面越しに見た人達の間でも理解に相違があると思う。
あれはかなり現実離れしてたもん。 
それくらいに今の状況って可笑しいことだ。

私だってステータス画面やスキルが無かったら半信半疑だったと思う。
お姉ちゃんだってそうだと思う、たまたま私と同じようにステータスが表示されただけ。
これが無かったら信じてたかどうかわからないよね。

そこんとこ思うと政府がダンジョン対策室みたいなものを設立したのってすごい事だと思う。
街中で鑑定使った体感だけど、職持ちってかなり少ない。

職持ちがこんなに割合低いと、今国を動かしている政治家でも職持ちなんて少数派なはず。
他の国の圧力が凄いのか、政治家に影響を与える人が職持ちで居るのか、なんにしても決断して凄いなって思う。

「お姉ちゃんそっちの株から種採りたいから枯らしてもらってもいいかな?」

「これ? 分かった『成長の結界』」

採れた種を回収し花壇の土を均して穴を掘って採れた種を植えた。

「これで良し。 明日またお願いね」

「よし来た!!」

部屋に戻ると下級回復薬を作製し、端数を除いて中級回復薬にしていった。



そしてしばらくして、政府による職持ち周知活動が半ば強制的に行われるようになるのだった。

「お姉ちゃん大丈夫?」

「私はもう死んでいる」

「なら今はゾンビかな?」

帰ってくるなり玄関で倒れ込んだ姉。
ひょいと持ち上げるとリビングに連れて行った。

「あらあら、遥お疲れね」

「疲れ過ぎてゾンビになっちゃったんだって」

「そうなの? それは一大事ね」

母は帰宅済みでソファーでテレビを見ながらくつろいでいた。
私に抱えられた姉の様子を見てソファーを譲り渡してくれた。
姉をソファーの上に下ろすと飲み物を取りにキッチンに向かう。

「優奈も力持ちになったわね、まるでお父さんみたいよ」

「そうなの? お母さんもお父さんにお姫様抱っこされたことあるの?」

「ぎっくり腰になった優奈のおじいちゃんがお姫様抱っこされたわ、懐かしいわね」

「おじいちゃんが?!」

母方のおじいちゃんは食べるのが好きでお腹周りに脂肪という名の浮き輪を沢山付けている。

「え、待って。 お父さんがおじいちゃんをお姫様抱っこしたの? おじいちゃんだいぶ割腹良かったよね、ちょっと詳しく」

「お姉ちゃんが蘇った」

「あら、良かったわね」

しばらくお母さんからお父さんの武勇伝兼、おじいちゃんの恥ずかしい過去が語られることになった。




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