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第一章 始まり

14話目 配信2

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『……という訳で今からモニュメントに凸ってみます』

『前置き長いわー』

『視聴者めっちゃ減ってるじゃん』

『それは大半お前に引いたやつだと思うぞ。 モニュメント見に来てなんでお前の癖みせられんだ。 苦行か』

『はいはいはい、話はそこまでで早速モニュメント触ってみますね』

それからも小ネタを挟みつつモニュメントを触り始めた。

『何も変わりありませんね』

『海外の動画、元ネタのURL出てますね、こちらの動画では開いたんですがね』

『どうすれば開くのか実験してみましょう』

『はい、では叩く、俺手痛いの嫌なので癖を自ら暴露したアキラにやってもらいましょう』

『俺、痛いのは嫌なので遠慮します』

『やれや!! 知らんよお前のこだわり』

そこからすったもんだあり結局リーダーっぽいハヤシさんって人が叩くことになった。

『……押すなよ』

『もういいから早よやれや』

『さんざん引き延ばしたお前が言うな』

ハヤシさんがドアをノックするような感じでモニュメントを叩いた。

『はーい、入ってます』

『うっさいわ!!』

『アキラ茶々いれんな』

次にハヤシさんが強めに叩き始めた。 だがモニュメントに変化は見られない。

『俺では変化ないようなので次にアキラ行け』

『ラジャー』

次はさんざんボケを入れていたアキラさんだ。

同じようにモニュメントを叩く。 しかし変化は見られない。

最後のショウジさんが叩いても同様だった。
見ていた人たちはがっかりした様子で数千居た視聴者はどんどん減っていった。

『お前も挑戦してみろよ』

3人がダメだったので投げやりな感じになっていく。

『俺? 俺はいいよ、裏方で』

撮影していた人が声だけ参加する。

『いいからいいから、ほら、誰も期待してないって』

動画が一瞬ぶれる。 撮影していたスマホか、カメラか分からないが持っていた手とは反対の手がアキラさんに掴まれたみたいだ

動画の枠外から手が出てきた。
そのまま引っ張られ、3人が枠外へ行き、反対にモニュメントにどんどん近づいていく。

『ほら』

『……分かったよ、叩けばいいんだろ叩けば』

観念したようで枠外から伸びた手がモニュメントを叩く。

『……ほら何もないだろ? これで良いんだよな』

カメラが反対を向き、3人が映し出される。
映された3人はやっぱりお前もダメだったかと笑いあっていた。

『……え?』

『おい……おいおいおいおいおい!!』

『マジか……?!』

3人の表情がどんどん驚愕の色に染まっていく。

『は? その冗談面白くねーぞ』

3人によるドッキリと思ったのか撮影している人はまだ3人を撮っていた。

『いや、いやいやいやいや、後ろ見ろよ』

『マジでやばい!! カメラ、おいイガラシ!! カメラで撮れよ!!』

『は?』

イガラシさんと呼ばれた人は、3人で何も起こらなかったからか気を抜いているみたいだ。 裏方のはずなのに普通に会話に参加している。

あまりにもイガラシさんが振り向かないのでアキラさんが肩を掴んで強引に振り返らせた。

そこに映ったのはあの外国人が配信した動画と同じように発光しながらゆっくりと開くモニュメント、門の姿だった。

『嘘……だろ……』


……あの動画の続きがここで始まった!!!!!!

興奮しつつ視聴者を見る。
……ヤバいさっきの閲覧数と桁が違うスピードで増えて行っている。

今1万人突破した。 それでも勢いは衰えず数はどんどん増えて行った。


発光が収まりそこに現れたのは――洞窟だった。

『勇者イガラシ爆誕……』

アキラさんがそう呟いた。

『……おい、止めろ』

イガラシさんがすかさず呼び名を止めるように言う。

『勇者イガラシ!! 門の裏側撮れ撮れ!!』

『……おい』

『勇者をぞんざいに扱うな!! なあ!! 裏方勇者イガラシ!!』

『……おい、止めろ』

3人がイガラシさんを弄る弄る。
動画のコメント欄にも勇者イガラシ爆誕って出てる。 裏方勇者、勇者コールも沸いてるや。

『っ……』

イガラシさんは無言になった。

動画は門の裏側に回り撮影しだした。 門の裏側は壁のままだ。
次は横からの動画、裏は真っ平、表も真っ平。
表の方に移動すると洞窟が現れる。 まるでだまし絵みたいだ。

『おい……どうする』

『どうするって……決まってんだろ』

『入るしかねーな』

3人が門の前に行く。
アキラさんを先頭に中に入っていった。

そしてカメラを回していたイガラシさんが中に入ると同時位に動画の配信が止まってしまった。



……にゃぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!

またか!!!! またお預けか!!!!

このやろー!!

バッドボタンを連打して最終的にバッドが解除になってしまった。
気持ち分だけ押せたからいいよもう!!

視聴者と私の気持ちは同じだった。 
とんでもない勢いでバッドが付けられていった。

すぐさままとめサイトが作られた。
そして同時刻、勇者イガラシ爆誕スレまで出来た。
個別スレが経つなんて流石勇者イガラシ。
勇者イガラシが唯一顔出ししてなかったのは本人にとって不幸中の幸いだろう。

私はすぐさまブックマークをしておいた。


動画に夢中になっていたらいつの間にか日が暮れていて、カーテンを閉めて明りを付けた。
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