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第一章 始まり
2話目 家での検証
しおりを挟む「朝……」
眠い目を擦りつつ暗い室内で手探りでスマホを探す。
手に硬いものが当たり画面をタップし時間を確認する。
時刻は朝の4時半。
昨日早くに寝ちゃったからこんな時間に目が覚めちゃった。
部屋の電気をつけカーテンの外を覗き見る。
まだ春先のこの時刻は日が出ていない。
寝る前何してたんだっけとぼんやり考え思い出した。
「ステータスオープン」
やはり現れた。
「あれ……回復してる? やったあ回復してる!!」
予想外に大きな声が出てしまい慌てて手で口を塞いだ。
そしてマジマジとステータス画面を見るとMPの表記が31/31になっていることにきづいた。
「あれ? 31?」
昨日は確か30じゃなかったっけ? 一つ増えてる。
「まあいいや、寝たら回復ね。 覚えたよ」
せっかく時間もあるし鑑定しようかな? もしかしたら今日は出来るかも!!
そう思い鞄から筆記用具を取り出して鑑定した。
―鑑定に失敗しました―
「まだダメなのー?」
ならば次だ。
「作製!!」
―作製出来るものがありません―
「むー……なんの次だ次。 えっと……分か……ダメダメダメ家の中じゃダメ!!」
次のスキルを試そうとして我に帰る。
分解は怖い。 もしスキルが発動したら何が分解されるのさ!!
「なら……適応?」
―対象を適応しますか?―
「なんか出来そうかな? はーい」
ピカっと光が放たれ目を閉じる。 眩しさが収まり恐る恐る目を開けると色ペンが羽ペンに変わった。
「……どう言うこと?」
手のひらよりも大きな、羽の先にかけて白から薄ら桃色にグラデーションがかっている羽がついている。
羽ペンを手に取りくるくる回転してみる。
どっからどう見ても羽ペンです。
ノートを引っ張り出して書いてみるとインクが途中でなくなった。
補充ってどうやるの?
インクがなくとも友達に見せたら面白そうだとペンケースにしまおうとした。
‥‥入らない。
そのまま鞄に入れたら折れそうだなぁ。
持っていくのを諦めてペン立てに差し込んだ。
「これは…‥鑑定の出番? 鑑定」
―ディトルグ国で良く使われているカナギ鳥の羽ペン―
「なんか出た。 ディトルグ国ってどこ?」
ペンが羽ペンに変わるなら紙はどうかな?
そう思い、ルーズリーフを1枚取り適応と唱えた。
さっきと同じく光るとルーズリーフが変化した。
「……紙? なんか藁半紙みたい。 厚いしゴワゴワしてる。 …‥鑑定」
―ディトルグ国で良く使われているススの木の紙―
だからディトルグ国てどこだ?
「国の名前は置いておいて、適応スキルを使うとディトルグ国の物に変わるのかな? そしたら鑑定が使える? もしかして分解とかもディトルグ国の物にしか使えない?」
他のスキルも試してみたい。
でもここだと不安だな。
そう思いカーテンの外を覗き見た。
夢中になったせいか日の出の時間を迎えたみたいで空は薄ら明るくなるつつあった。
「よし」
カーディガンを羽織り一階へ降りるとリビングから出られる庭に向かった。
シロが近くにいないのを確認しガラス戸を開けサンダルを履き庭に出る。
まだ冬の名残で肌寒い。
地面にさっき変えた紙を置き分解と唱えた。
―ススの木の紙を分解しますか?―
とでた。
分解するものは選べるのか、と胸を撫で下ろす。
これなら机や椅子とか自分が望むもの以外の物を分解することはなさそうだ。
『はい』 と答えると紙が分解された。
分解されて出来たのはよく分からない植物の繊維。
「繊維……と言うか枝?」
鑑定するとススの木の枝と表示された。
「これが噂のススの木……」
なんの噂か知らんけど。
一人で心の中で慣れないツッコミを入れた。
「これは作製に使えるのかな?」
そう思って作製と唱えるが
―作製出来るものはありません―
と表示された。
ススの木の紙を分解したんだけど、紙は作れないの?
他に何か必要なの?
「出来ないならしょうがない。 次は精錬?」
唱えても案の定出来なかった。
精錬どころか抽出、上位交換、下位交換も出来なかった。
あーだこーだしているうちにMPが無くなり時間も時間になったので部屋に入り学校に行く準備をした。
家から学校までは、まず徒歩10分のバス停に行き駅までバスに乗る。
そこから電車で20分揺られて駅から学校まで歩く。
途中で友達と会うこともあれば学校まで一人の場合もある。
今日は友達に会うこともなく学校にたどり着いた。
時刻は8時前。 だと言うのにクラスメイトの半数がもう机に向かっていた。
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