2 / 113
第一章 始まり
2話目 家での検証
しおりを挟む「朝……」
眠い目を擦りつつ暗い室内で手探りでスマホを探す。
手に硬いものが当たり画面をタップし時間を確認する。
時刻は朝の4時半。
昨日早くに寝ちゃったからこんな時間に目が覚めちゃった。
部屋の電気をつけカーテンの外を覗き見る。
まだ春先のこの時刻は日が出ていない。
寝る前何してたんだっけとぼんやり考え思い出した。
「ステータスオープン」
やはり現れた。
「あれ……回復してる? やったあ回復してる!!」
予想外に大きな声が出てしまい慌てて手で口を塞いだ。
そしてマジマジとステータス画面を見るとMPの表記が31/31になっていることにきづいた。
「あれ? 31?」
昨日は確か30じゃなかったっけ? 一つ増えてる。
「まあいいや、寝たら回復ね。 覚えたよ」
せっかく時間もあるし鑑定しようかな? もしかしたら今日は出来るかも!!
そう思い鞄から筆記用具を取り出して鑑定した。
―鑑定に失敗しました―
「まだダメなのー?」
ならば次だ。
「作製!!」
―作製出来るものがありません―
「むー……なんの次だ次。 えっと……分か……ダメダメダメ家の中じゃダメ!!」
次のスキルを試そうとして我に帰る。
分解は怖い。 もしスキルが発動したら何が分解されるのさ!!
「なら……適応?」
―対象を適応しますか?―
「なんか出来そうかな? はーい」
ピカっと光が放たれ目を閉じる。 眩しさが収まり恐る恐る目を開けると色ペンが羽ペンに変わった。
「……どう言うこと?」
手のひらよりも大きな、羽の先にかけて白から薄ら桃色にグラデーションがかっている羽がついている。
羽ペンを手に取りくるくる回転してみる。
どっからどう見ても羽ペンです。
ノートを引っ張り出して書いてみるとインクが途中でなくなった。
補充ってどうやるの?
インクがなくとも友達に見せたら面白そうだとペンケースにしまおうとした。
‥‥入らない。
そのまま鞄に入れたら折れそうだなぁ。
持っていくのを諦めてペン立てに差し込んだ。
「これは…‥鑑定の出番? 鑑定」
―ディトルグ国で良く使われているカナギ鳥の羽ペン―
「なんか出た。 ディトルグ国ってどこ?」
ペンが羽ペンに変わるなら紙はどうかな?
そう思い、ルーズリーフを1枚取り適応と唱えた。
さっきと同じく光るとルーズリーフが変化した。
「……紙? なんか藁半紙みたい。 厚いしゴワゴワしてる。 …‥鑑定」
―ディトルグ国で良く使われているススの木の紙―
だからディトルグ国てどこだ?
「国の名前は置いておいて、適応スキルを使うとディトルグ国の物に変わるのかな? そしたら鑑定が使える? もしかして分解とかもディトルグ国の物にしか使えない?」
他のスキルも試してみたい。
でもここだと不安だな。
そう思いカーテンの外を覗き見た。
夢中になったせいか日の出の時間を迎えたみたいで空は薄ら明るくなるつつあった。
「よし」
カーディガンを羽織り一階へ降りるとリビングから出られる庭に向かった。
シロが近くにいないのを確認しガラス戸を開けサンダルを履き庭に出る。
まだ冬の名残で肌寒い。
地面にさっき変えた紙を置き分解と唱えた。
―ススの木の紙を分解しますか?―
とでた。
分解するものは選べるのか、と胸を撫で下ろす。
これなら机や椅子とか自分が望むもの以外の物を分解することはなさそうだ。
『はい』 と答えると紙が分解された。
分解されて出来たのはよく分からない植物の繊維。
「繊維……と言うか枝?」
鑑定するとススの木の枝と表示された。
「これが噂のススの木……」
なんの噂か知らんけど。
一人で心の中で慣れないツッコミを入れた。
「これは作製に使えるのかな?」
そう思って作製と唱えるが
―作製出来るものはありません―
と表示された。
ススの木の紙を分解したんだけど、紙は作れないの?
他に何か必要なの?
「出来ないならしょうがない。 次は精錬?」
唱えても案の定出来なかった。
精錬どころか抽出、上位交換、下位交換も出来なかった。
あーだこーだしているうちにMPが無くなり時間も時間になったので部屋に入り学校に行く準備をした。
家から学校までは、まず徒歩10分のバス停に行き駅までバスに乗る。
そこから電車で20分揺られて駅から学校まで歩く。
途中で友達と会うこともあれば学校まで一人の場合もある。
今日は友達に会うこともなく学校にたどり着いた。
時刻は8時前。 だと言うのにクラスメイトの半数がもう机に向かっていた。
71
お気に入りに追加
1,120
あなたにおすすめの小説

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

スキル:浮遊都市 がチートすぎて使えない。
赤木 咲夜
ファンタジー
世界に30個のダンジョンができ、世界中の人が一人一つスキルを手に入れた。
そのスキルで使える能力は一つとは限らないし、そもそもそのスキルが固有であるとも限らない。
変身スキル(ドラゴン)、召喚スキル、鍛冶スキルのような異世界のようなスキルもあれば、翻訳スキル、記憶スキルのように努力すれば同じことができそうなスキルまで無数にある。
魔法スキルのように魔力とレベルに影響されるスキルもあれば、絶対切断スキルのようにレベルも魔力も関係ないスキルもある。
すべては気まぐれに決めた神の気分
新たな世界競争に翻弄される国、次々と変わる制度や法律、スキルおかげで転職でき、スキルのせいで地位を追われる。
そんななか16歳の青年は世界に一つだけしかない、超チートスキルを手に入れる。
不定期です。章が終わるまで、設定変更で細かい変更をすることがあります。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

ダンジョンが出現して世界が変わっても、俺は準備万端で世界を生き抜く
ごま塩風味
ファンタジー
人間不信になり。
人里離れた温泉旅館を買い取り。
宝くじで当たったお金でスローライフを送るつもりがダンジョンを見付けてしまう、しかし主人公はしらなかった。
世界中にダンジョンが出現して要る事を、そして近いうちに世界がモンスターで溢れる事を、しかし主人公は知ってしまった。
だが主人公はボッチで誰にも告げず。
主人公は一人でサバイバルをしようと決意する中、人と出会い。
宝くじのお金を使い着々と準備をしていく。
主人公は生き残れるのか。
主人公は誰も助け無いのか。世界がモンスターで溢れる世界はどうなるのか。
タイトルを変更しました
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる