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第三章
234話目
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ネーアの街の冒険者ギルド
「そう言えば聞いたか?」
「なにをだ?」
「飲み屋で酒飲んでると商人に奢ってもらえるんだとよ」
「なんでだ?」
「ほらさ……最近商業ギルドで売り出された異世界の商品に関してらしいぜ」
「あぁ……あれ目当てで来てるやつら居るもんな」
「そうそれ、それを売り出している奴に関して情報を集めてるんだとよ」
「商業ギルドじゃないのか? あぁ、だからそのお礼で酒代か」
「そそ、そう言う事らしい」
「あれ? 俺の聞いた話とちょっと違うな」
「あん? どういうことだ?」
「なんでも橋沼桜って渡り人の情報を寄越せっていう身なりの良いやつが奢ってくれるって話なんだが」
「橋沼桜?」
「桜……どっかで聞いたような……」
「あれだよあれ。 この間のスタンピードで活躍した渡り人」
「あー!! ネーアの街の守護者!!」
「そんな名前だったな!! 確か」
「そんでその守護者がどうしたんだ?」
「些細な情報でも良いから寄越せって話らしい」
「あーそれでか。 ニースの奴勿体ぶってただ酒かっくらってやったって自慢してたっけ」
「直接話したこともないだろあいつ。 ……羨ましいな。 俺も行こうかな」
「いっとけいっとけ、今ならいくらでも金出してくれるって話らしいぞ」
「って事が冒険者ギルドで話されてたぞ」
「忠告ありがとうございます」
高梨さんが転移門を利用してこちらに来たと思えばそんなことを話してくれた。
「まぁ、とは言っても自販機と桜が結びついてないようだから、自販機から桜までたどり着くのに時間かかりそうだけどな、問題は直接桜の情報を集めている奴らだな」
「なんだろうね、最近話題だよね」
灯里も色んな人に話を聞かれたのか辟易した様子だ。
どっちも私に関する物だ。 直接矢面に立たせて申し訳なく思う。
「思い当たる節が……」
「「というと?」」
「というか今度は何やらかした!!」
情報共有という形で長谷川さん経由で知らされた内容を二人に話した。
魔力の回復が周知されたことと、私の知らぬ間に保護されたというよく分からない事態を。
「……それ……他の渡り人もヤバくないか?」
「そんなことになってるの?!」
もちろん二人には驚かれた。
「一応保護扱いだから直接回復させろって言われる事態にはならないみたい。 今のところ陛下経由での依頼しか受け付けないと長谷川さんが行っていたよ」
「そうなのか?」
「私も廃村からしばらく出るなって言われてるんだ」
「しばらくどころか当分出ない方が良いと思うぞ」
「そうだねぇ、そう言えば桜果物の件はどうする? 私が受け取って持ってくればいい?」
「お願いしてもいいかな?」
「任せておいて」
「灯里も気をつけてね」
「Sランクの冒険者を殴り飛ばせる受付嬢に手を出す奴はいないと思うぞ……」
3人で近況報告をしあっていたら転移門が光り、長谷川さんがやって来た。
「お、桜ここに居たか。 丁度良い。 今から陛下と王妃が来る、1泊予定で宿泊場所を見繕ってくれ」
「え?」
「……俺、お暇するな」
「私は……一緒に選んだ……ほうがいい?」
「え?」
長谷川さんから急にそんなことを言われ処理が追いつかないうちに高梨さんから逃亡宣言が出た。
ありがたいことに灯里は一緒に探してくれるそうだ。
「え? あ、えぇ……分かりました……?」
歯切れの悪い返事をすると、それを了承と受け取った長谷川さんが転移門を使用し領主邸に帰っていった。
「……いやいやいやいや、陛下って。 不意打ち陛下は心臓に悪いわ!! 最近の来客なんなの? 私の心臓試されてるの?!」
「……それ桜は人のこと言えないと思うぞ」
「同感」
「なんで!!」
そんなことを言いあいながら、倉敷さん達に今日の宿泊は別行動でと話をし、急いで宿泊場所を見繕う事になった。
「そう言えば聞いたか?」
「なにをだ?」
「飲み屋で酒飲んでると商人に奢ってもらえるんだとよ」
「なんでだ?」
「ほらさ……最近商業ギルドで売り出された異世界の商品に関してらしいぜ」
「あぁ……あれ目当てで来てるやつら居るもんな」
「そうそれ、それを売り出している奴に関して情報を集めてるんだとよ」
「商業ギルドじゃないのか? あぁ、だからそのお礼で酒代か」
「そそ、そう言う事らしい」
「あれ? 俺の聞いた話とちょっと違うな」
「あん? どういうことだ?」
「なんでも橋沼桜って渡り人の情報を寄越せっていう身なりの良いやつが奢ってくれるって話なんだが」
「橋沼桜?」
「桜……どっかで聞いたような……」
「あれだよあれ。 この間のスタンピードで活躍した渡り人」
「あー!! ネーアの街の守護者!!」
「そんな名前だったな!! 確か」
「そんでその守護者がどうしたんだ?」
「些細な情報でも良いから寄越せって話らしい」
「あーそれでか。 ニースの奴勿体ぶってただ酒かっくらってやったって自慢してたっけ」
「直接話したこともないだろあいつ。 ……羨ましいな。 俺も行こうかな」
「いっとけいっとけ、今ならいくらでも金出してくれるって話らしいぞ」
「って事が冒険者ギルドで話されてたぞ」
「忠告ありがとうございます」
高梨さんが転移門を利用してこちらに来たと思えばそんなことを話してくれた。
「まぁ、とは言っても自販機と桜が結びついてないようだから、自販機から桜までたどり着くのに時間かかりそうだけどな、問題は直接桜の情報を集めている奴らだな」
「なんだろうね、最近話題だよね」
灯里も色んな人に話を聞かれたのか辟易した様子だ。
どっちも私に関する物だ。 直接矢面に立たせて申し訳なく思う。
「思い当たる節が……」
「「というと?」」
「というか今度は何やらかした!!」
情報共有という形で長谷川さん経由で知らされた内容を二人に話した。
魔力の回復が周知されたことと、私の知らぬ間に保護されたというよく分からない事態を。
「……それ……他の渡り人もヤバくないか?」
「そんなことになってるの?!」
もちろん二人には驚かれた。
「一応保護扱いだから直接回復させろって言われる事態にはならないみたい。 今のところ陛下経由での依頼しか受け付けないと長谷川さんが行っていたよ」
「そうなのか?」
「私も廃村からしばらく出るなって言われてるんだ」
「しばらくどころか当分出ない方が良いと思うぞ」
「そうだねぇ、そう言えば桜果物の件はどうする? 私が受け取って持ってくればいい?」
「お願いしてもいいかな?」
「任せておいて」
「灯里も気をつけてね」
「Sランクの冒険者を殴り飛ばせる受付嬢に手を出す奴はいないと思うぞ……」
3人で近況報告をしあっていたら転移門が光り、長谷川さんがやって来た。
「お、桜ここに居たか。 丁度良い。 今から陛下と王妃が来る、1泊予定で宿泊場所を見繕ってくれ」
「え?」
「……俺、お暇するな」
「私は……一緒に選んだ……ほうがいい?」
「え?」
長谷川さんから急にそんなことを言われ処理が追いつかないうちに高梨さんから逃亡宣言が出た。
ありがたいことに灯里は一緒に探してくれるそうだ。
「え? あ、えぇ……分かりました……?」
歯切れの悪い返事をすると、それを了承と受け取った長谷川さんが転移門を使用し領主邸に帰っていった。
「……いやいやいやいや、陛下って。 不意打ち陛下は心臓に悪いわ!! 最近の来客なんなの? 私の心臓試されてるの?!」
「……それ桜は人のこと言えないと思うぞ」
「同感」
「なんで!!」
そんなことを言いあいながら、倉敷さん達に今日の宿泊は別行動でと話をし、急いで宿泊場所を見繕う事になった。
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