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第三章
203話目
しおりを挟む「ん……」
シャツを脱がされ、ズボンまで抜き取られてしまった僕は、素肌に感じるシーツの感触に肩を窄めた。
電気を消した部屋は真っ暗で、最初のうちは顔が見えないから恥ずかしくないと思っていたけれど、そのうち暗闇に目が慣れてくると、海の顔もだんだんハッキリ見えるようになってくる。
電気を消したからといっても、窓の外の月明かりが淡色のカーテンの生地を通して部屋の中に射し込んでくるから、室内は真っ暗というほどに暗くはなかった。
そういえば、今日は満月だったな。よりによってどうして満月なんだろう。新月とまではいかなくとも、三日月くらいであって欲しかった。そしたら、月明かりも今ほど明るく感じなかったのに……。
「何? まだ恥ずかしいの? 部屋の電気は消してるんだけど」
「電気を消しても見えるものは見える」
「そっか。今日は満月だったね。帰りのロケバスの中からみんなで見たよね。満月の夜って明るいから、暗闇に目が慣れちゃうと、カーテン閉めてても月明かりだけで律の顔がよく見えるね」
「嬉しくない……」
「僕は嬉しいよ。可愛い律の反応が全部見られるもん」
「見なくていい……」
このロケに出掛ける前、ちゃんと天気予報もチェックしておけばよかった。撮影のほとんどが室内で行われる予定だったから、天気のことまで気にしていなかった。
ここへ来てからというもの、毎日快晴の日々が続いていることは、撮影する側の人間にとってはありがたいことだったし、カメラで撮られる側の僕達にとっても、ジメジメした雨の日よりやりやすかったとは思う。でも、雲一つない満月の夜空の明るさを考えたら、少しくらい雲があってくれてもいいのに……と思わずにはいられない。
もしくは、部屋のカーテンの色がもう少し暗い色だったら……と思う。
最初にこの部屋に入った時も、窓にカーテンは引かれていたけれど、薄い色のカーテンだから、カーテンが引かれていても暗く感じないと思ったことを思い出した。
調度品やカーペット、壁紙が落ち着いた暗めの色だから、カーテンだけは明るい色にしたんだろうか。部屋のバランス的には悪くないけど。
「それにしても、一体どういう心境の変化なの? 律がその気になってくれたことは物凄く嬉しいけど、そう思うに至った経緯みたいなのは知りたいな」
すっかり僕の服を取り去ってしまうと、今度は自分の服を脱ぎながら、海が服を脱ぎ終わるのをおとなしく待っている僕に聞いてきた。
「別に……決定的な何かがあったわけじゃないけど、海と付き合い始めてもう二年だし……。そろそろ先に進んでもいいんじゃないかと思って……」
「律は僕と付き合い始めてから一年近くもの間、男同士でセックスなんかできないと思ってたわけだから、先のこととか考えてなかったもんね」
「今だって半信半疑なところはあるよ。実際に司さんと悠那さんがシてるところを見た時も、悠那さんだからできるんじゃないか……って、心のどこかで思っちゃったし」
「そう言えば、そんなこともあったね。あまりにも刺激が強過ぎて、無意識のうちに忘れようとしてたよ」
「僕も」
これからセックスをしようというのに、随分と落ち着いた雰囲気である。あまり甘い雰囲気ばかりだと、僕が緊張してガチガチになると思った海が、わざとそうしているのかもしれない。
確かに、いかにもって雰囲気を出されてしまうと、僕もまた逃げ出したくなっちゃうと思うから、こうして何気ないお喋りをしている風にしてもらえるのは助かる。
ただ、そこで出てきた話題が、僕としても忘れてしまいたい濃い記憶……というか、思い出すのもおぞましいふしだらな記憶であったから、自分の発言に後悔もした。
そう簡単に忘れられる記憶ではないけれど、あの忌まわしい記憶を一刻も早く忘れられないものだろうか。
あの惨事(?)のきっかけを作ったのは悠那さんで、僕達が悠那さんのせいで酷い目に遭った事例の一つとして挙げられる出来事でもあるけれど、あの時、海が僕の制止を聞いてくれなくなるほどに、二人に触発されなくて良かったと思う。
逆を言ってしまえば、あの時、海が僕の制止を聞かずに突っ走っていたら、今頃僕達はとっくに一線を越えていたわけではあるけれど……。
いやいやいや。どんな状況であろうとも、それがどんなチャンスだったとしても、人前でセックスなんて冗談じゃない。僕と海はどうあっても司さんと悠那さんのようにはなれないし、なりたくもない。
「あれからもう一年くらい経ってるんだよね。ってことは、律とエッチなことするようになってからも一年か……。感慨深いなぁ」
「それって感慨に耽るようなこと?」
しみじみと言う海は、脱ぎ終わった服を一纏めにしてベッドの下に落とすと、既に素っ裸になってベッドの上に横たわる僕の上に覆い被さってきた。
一気に縮まる海との距離に、せっかく落ち着いていた心臓が跳ね上がりそうになる。
「ほんとはね、もう一年くらい待たされるんじゃないかって、覚悟してたんだよ」
「っ……!」
海の人差し指が僕の頬を擽るように撫でてきて、その感触を敏感に感じ取った僕の身体がビクンっと震えた。
「怖い?」
明らかに強張ってしまう僕の様子を見て、ちょっとだけ不安な顔になる海を見た僕は
(しっかりしろ!)
心の中で必死に自分に言い聞かせ、ふるふると首を横に振ってみせた。
でも
「嘘……ほんとはちょっと怖いし不安……。でも、平気だから……」
ここは強がるところでもないと思い直し、正直な気持ちを伝えておいた。
最早僕達を遮るものなんて何もないし、隠すものだって何もないんだから、胸の内も全部曝け出すべきだろう。
僕と海は恋人同士なんだから、肉体的な繋がりだけじゃなく、ちゃんと心も一つになりたい。そのためには、自分の気持ちに嘘なんてついちゃダメだ。
「律は正直だね。でも、そういう気持ちをちゃんと伝えてくれる方が嬉しいよ」
「んっ……」
胸の前でギュッと手を握り、ジッと海を見上げる僕に、海が優しいキスを落としてきた。
ただ触れ合うだけの唇に、僕の身体は瞬間的に熱くなり、柔らかい海の唇の感触を、必死になって受け入れようとした。
ドラマの撮影が始まってからというもの、海は僕とこういうことをしないようになっていたから、海とキスすること自体、随分久し振りのように思う。
きっと、初めてのドラマの仕事に気負いしている僕のため、慣れるまではおとなしくしてくれていたんだろう。しばらくの間、海と恋人らしいことを何一つしていなかったことも、今回僕が決心を固める要因になっているのかもしれない。
ってことは、僕は海とそういう時間がないことを、物足りないって思ってたってこと?
全然自覚はないんだけど、僕も心の中では海と恋人らしい時間をもっと過ごしたいって思っているんだろうか……。
「律とキスするのも久し振りだね。最近、エッチなことはおろか、キスもしてなかったもんね」
「うん……」
久し振りのキスの後に言われ、気恥しさを感じた僕は肩を竦めながら頷いた。
「台本を貰ってから、律がずっと台本と睨めっこしてるから、邪魔しちゃいけないなって思って」
「だろうと思ってた」
「本当はイチャイチャしたかった?」
「イチャイチャっていうか……」
イチャイチャという言葉には抵抗がある。イチャイチャって聞くと、どうしても司さんと悠那さんみたいなのを思い浮かべてしまうから、あそこまで見境ないのもどうなんだろう……って。でも……。
「ちょっとは触れて欲しいって思ったかも」
海と触れ合うこと自体は嫌いじゃない僕は、イチャイチャとまではいかなくても、たまには海に触れて欲しいと思うことくらいはあった。
それは、ただ頭を撫でてもらえるだけでもいいし、手を繋ぐだけでもいい。なんなら、身体の一部が触れ合っているだけでも良かった。
僕と海との距離は近い方ではあるけれど、海とエッチなことをするようになって以来、そういう流れにならない時以外、海はあまり僕に触れてこようとはしなくなった。
一度触れてしまうと、もっと触れたくなるからなのかもしれないけど、それが僕にとっては少し寂しく思っているところはあった。
「そっか。じゃあ律を寂しがらせちゃってたんだね。ごめん」
「別に謝ることじゃないよ。寂しいっていってもほんのちょっとだし。海は僕を気遣ってくれてたんだから」
「そうだけど……」
僕の背中に腕を回し、僕をギュッと抱き締めた海は、僕の首筋に唇を寄せながら
「ほんとは僕だって律に触れたかったよ」
と、首の付け根あたりにキスすると、少しだけ歯を立ててきた。
「んぁっ……」
チリッとする感触に息を詰めた僕は、無意識のうちに海の髪を握ってしまっていた。
まだ少し濡れている海の髪からは、シャンプーのいい匂いがする。
「大丈夫。痕付けたりしないから」
「ん……うん……」
「ほんとは付けたいけどね」
「ダ……ダメ……」
「わかってる」
少しだけ歯を立てた場所を今度は舐められて、僕は背中がゾクゾクしてしまうのを感じた。
この感覚が“気持ちいい”“感じている”という感覚だとわかっている僕は、甘噛みされたり、舐められることで感じる自分が恥ずかしくなってしまう。
海の唇はそのまま下に下りていき、今度は胸元あたりを愛撫し始める。
「ぁ…ん……んんっ……」
胸元の小さな膨らみを捉えると、ざらりとした海の舌が、その膨らみを押し潰すように舐めてきて、そこから与えられる刺激に、僕の身体はもどかしそうに揺れてしまう。
「んっ……ゃ……ぁ……」
いくら部屋の壁が厚いとわかっていても、感じる声を上げたくないと思ってしまう僕は、両手で自分の口を覆い、呼吸と一緒に漏れる声を必死になって抑えようとした。ところが――。
「ダメ。ちゃんと聞かせて」
海の手が僕の手首を掴むと、そのまま両手をベッドの上に縫い付けてしまったから、僕の口を覆うものが何もなくなってしまった。
そうやって僕の両手の自由を奪ってから、再び僕の胸に顔を埋めた海は、さっきより遠慮なく、僕の乳首を舌で虐めてきたりする。
「んっ……ぁんっ……んんっ……」
ちゅうぅっと強く吸い付かれたかと思ったら、今度は謝るみたいに優しく舐められて、海の舌が乳首に刺激を与えてくるたびに、僕の背中は小さく波打った。
こういうの、未だに凄く恥ずかしいし、自分がどんな顔をしているのかなんて考えたくもないけれど、僕の乳首を虐める海の方は物凄く楽しそう。僕の胸に顔を埋めたまま、上目遣いに僕の反応を確認しては、表情がどんどん嬉しそうになっていく。
「もぅ……なんで乳首ばっかり……」
「ん? だって律、乳首で凄く感じてくれるんだもん。感じる律が見たいから、乳首ばっかり虐めちゃうんだよね」
「だからって……んんっ!」
執拗に責められる乳首に苦言を呈したくなった僕が、恨みがましく口を開くと、全く悪いと思っていない海の言葉が返ってきた。
悪いと思っていないどころか、僕に文句を言わせる余裕なんて与えない、と言わんばかりに、更に強く僕の乳首を吸ってきたから、僕は背中を撓らせながら言葉を失った。
「今の反応、凄く可愛かった」
「っ……馬鹿……」
なにが「可愛かった」だよ。僕は恥ずかしくて死にそうなのに。
今から約一年前。生まれて初めて勃起して、射精を覚えた僕は、それから何度か海とエッチなことをしてきたけれど、いくら性に目覚めようと、性的行為に多少の免疫がついたとしても、“恥ずかしい”と思う気持ちに変わりはなかったし、その気持ちが薄れることもなかった。
こうして海にエッチなことをされるたび、恥ずかしさで消えてしまいそうになる。
「律はこういう行為に“慣れる”ってことがないから、反応がいちいち初々しくて可愛いよ。でも……」
「あ……」
一体いつまで乳首を弄ぶつもりなのかと思っていたら、僕の上に覆い被さっていた海が不意に身体を起こし、僕の脚を開かせてきたから、不意を衝かれた僕は、あからさまに狼狽えてしまった。
「ここの反応は良くなってるっていうか、すぐ反応するようになっちゃってるよね」
「や……やだ……見るな……」
いきなり左右に開かされた両脚の中心では、すっかり勃ち上がってしまっている僕が、自分の存在を主張しているかのようである。
「見るなって言われてもねぇ……。見ないでいる方が難しいよ。さっきから勃ち上がった律が僕のお腹を押してきて、ココも随分可愛いことになってるなぁ~って思ってたんだから」
「可愛くなんかないっ」
「いやいや。僕にとっては堪らなく可愛いよ」
「~……」
どうしてコレに対して“可愛い”なんて感情が抱けるんだ。自分のを“可愛い”と思えないのはもちろんだけど、僕は海のだって“可愛い”と思ったことなんて一度もないよ。“凄い”って思ったことならあるけれど。
「乳首弄られて気持ち良くなっちゃったんだね。素直でよろしい」
「一体どこ見て褒めてるの? そんなとこ見ながら褒めないでくれる?」
僕を褒める海の視線は僕の顔ではなく、開いた両脚の中心に注がれているから、僕を褒めているというよりは、僕のナニを褒めているらしい。
そんなとこを褒められたって、僕はちっとも嬉しくない。っていうか、ソコをマジマジと見られること自体に抵抗がある。
「僕にとって、律の身体はどこもかしこも可愛く見えるし、綺麗に見えるよ」
「海は僕のことならなんでもかんでも褒めすぎだよ。僕、そんなに褒められるような人間じゃないし、あんまり褒められ過ぎると、逆に不安になっちゃうんだけど」
僕に褒め倒された陽平さんが、どうしていいのかわからない顔を見せたことを思い出した。
確かに、あまり人から褒められてばかりというのも、却って人は落ち着かなくなるのかもしれない。実際、褒められれば人は嬉しいし、もっと頑張ろうって気持ちにはなるけれど、無条件に褒められてばかりだと、何に対する称賛なのかがわからなくなる。
もっとも、海が僕を褒めるのは、日頃から見ている僕に対する称賛ではあるんだけれど、“可愛い”や“綺麗”に関しては完全に海の好みになるわけだから、努力云々は関係ない。よって、褒められるようなことでもないと思う。
「好きな子のことくらい好きなだけ褒めさせてよ。これも愛情表現なんだから」
僕が嫌がったところで、海は僕を褒め倒すのをやめるつもりはないみたいだけど。
でも、僕と違って愛情表現が大好きな海は、自分の中から溢れ出す僕への想いを、いちいち口に出して伝えずにはいられないようで、海が愛情表現をたくさんしてくれるおかげで、僕も安心感を募らせることができる。
褒められてばっかりなのは照れ臭いけど、海が僕を想ってくれる気持ちは嬉しい。
だから、文句は言うけれど、そんなに嫌だと感じていないんだとも思う。本当に嫌なら、僕はなんとしてでも海に僕を褒めることをやめさせているだろうし。
「っていうか、律にもたまには僕のこと褒めて欲しいんだけどな。最近の律、僕のこと怒ってばっかりじゃない?」
「そんなことない。夏休みの宿題が終わってないことには怒ったけど、それ以外で海のことを怒ったりしてないじゃん」
「そうなんだけど……僕としては、もっと律に優しくして欲しいって言うか、もっと律と甘い時間を過ごしたいって言うか……」
僕の中では充分甘やかしているつもりの海だけど、海にとっては全然足りないらしい。
もともと海は乗せられやすい性格をしているから――そこは悠那さんに近いものがある――、あんまり甘やかしてしまうとすぐ調子に乗ってしまう。
自分の恋人が調子に乗っている姿なんて見たくない僕は、甘やかすところ、厳しくするところを僕なりに管理してしまうから、海が“もっと優しく”って思うのも仕方がないのかもしれない。
「ダメ。海って悠那さんと似てるところがあるから、あんまり甘やかさないようにしてるんだから」
「えー……」
僕の両脚を開かせたまま、海は不満そうに唇を尖らせた。
どうでもいいけど、今日は随分とよく喋るな。いつもなら、こういう流れになるとすぐに盛ってきて、あっという間に僕を翻弄してしまうのに。
これって海も緊張してるってことなのかな。そんな風には見えないけど、やっぱり“初めて”には海も緊張するんだろうか。
でも、あんまり焦らされると、僕もなんだか落ち着かないっていうか、もどかしさが増してくるから困る。
「ねえ……海……」
「うん?」
「シないの?」
って言うか、ずっと脚を開かされた状態もいい加減に恥ずかしいから、何かしらのアクションを起こして欲しいと思ってしまう。
既に身体は海の愛撫に反応してしまっているし、一度与えられてしまった刺激に“次”を求めてもいる。
「今日の律は随分と積極的だね。もちろんスるよ。シないわけがないでしょ」
「んっ……」
控えめに海を促した僕は、困惑する僕の顔を見て笑う海に、勃ち上がったアレを急にキュッと握られて、身体を小さく震わせた。
急に触ってくるのはナシだよ。身体がびっくりしちゃうじゃないか。
「あれ? 待ちきれなかったの? 軽く握っただけなのに、ピクンッて可愛く反応したね」
「ぃっ……言うなっ……」
僕を手の中に握り込んだ海は、僕の反応に嬉しそうな顔をしながら、ゆっくり僕を扱き始めてきた。
海の大きな手が僕を包み込み、緩やかに僕を攻め立ててくるその動きに、僕の息は次第に上がっていった。
「ぁ…ん……んっ……あ……」
「控えめだけど可愛い声……。律はこうされるのが好きだよね?」
「ゃっ、あ……んんっ……」
右手で僕を扱きながら、左手の指先で先端の小さな孔を押すようにクルクル撫でられた僕は、ギュッと目を閉じ、そこから伝わってくる刺激に耐えた。
「ほら。もう蜜が溢れてきた。気持ちいい?」
「ん……ぅ、ん……」
「かわい……」
緩急をつけながら、ちょっとずつ力強さを増していく海の手に、僕は身体の熱を上げながら、海から与えられる刺激の感覚を追っていく。
そうすることで、自分がどんどん追い詰められていくのがわかるんだけど、同時に“気持ちいい”って感覚も強くなっていって、僕の腰は海の手の動きに合わせて揺れるようになる。
「んっ……んんっ……あ……」
「久し振りだからかな? いつもより追い詰められるのが早くない?」
「ん……わかんない……っ……」
「わかんないってことはないでしょ? 自分の身体なんだから」
「ほんとに……わからないんだ……」
「そう?」
海とエッチなことをするのが久し振りなのは事実だけど、いつもと比べて今日がどうなのかはよくわからなかった。
だって僕、いつも余裕なんで全然ないから、海が与えてくる刺激にはすぐ追い詰められてしまうって感じているんだ。そういう意味では、いつもと今日とになんら違いはない。
僕は海と違って、自分の反応を客観的に見ることができないし、研究してるわけでもないんだから。
「ま、いっか。気持ち良くなってる律可愛いし。律が僕の手で感じてくれてる姿は嬉しいからね」
「んんっ……」
勃ち上がった自分を濡らすほどに溢れる先端の蜜に、僕は海の声が遠くでしているように聞こえる。そんな中、僕を扱き上げる海の手が立てる水音だけはハッキリ聞こえてくるから、僕は余計に追い詰められていく感じがした。
「海……海……」
「ん? 何? イきそうなの?」
「ん……うんっ……」
「ほんと可愛いなぁ。イってもいいよ。ちゃんと見ててあげる」
「ゃっ…あ……ぁ、んん……」
できれば見てて欲しくはないんだけど、そんなことを言う余裕もない僕は、更に力を入れた海の手にいっぱい擦り上げられて……。
「ぁ、んっ……んんっ……んっ……ぁ、んんっ!」
きつく締め上げるように根元から擦り上げられたのと一緒に、先端部分を強く擦られた瞬間、我慢しきれなくなって射精した。
射精と同時に解放感に包まれた僕は、残滓を搾り取る海の手と一緒に腰を揺らしながら、ベッドの上に全体重を預けていった。
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