異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

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第三章

197話目

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そしていざ、お買い物へ。

ちなみにお金は皆換金済み。
金貨1枚に付き1万円のレートで一人当たり10万まで変えた。
まずは女性陣の靴を。
そして靴を変えたら服装も変えたくなる。
男性陣は服装にあまりこだわりが無いようだったので女性陣のみ変えることになった。
ただ、服装を一式全部変えると10万では心もとないので、服装のお金は私が負担することにした。

オリヴィア様もサフィリア様もあちらの世界では中々出来ないパンツスタイル。
靴もスニーカー。 二人はあちらで見ることのできない服装に興味津々。
あちらの世界でも中古の服はあるものの、新品は全てオーダーメイド。
こちらのように、自分の体形に合った服を選ぶ、という買い方はしたことが無かったようで、戸惑いながらもとても楽しそうだった。
瑠璃さんもサフィリア様と一緒になって笑っている、心からの物かは分からないが笑顔になって良かった。

二人が満足する着替えを購入し、それまで着ていた服はオリヴィア様の服は私が、サフィリア様の服は瑠璃さんが、人の目に付かないところに赴いてアイテムボックスへ収納した。
……アイテムボックス便利だね。

男性陣は最初は一緒に服を見ていたのだが途中で飽きたらしく、長谷川さんが案内し近くのコーヒーショップへ行ってしまった。


「動きやすいわ、どうかしらこれ」

「身体の線が出過ぎではないか?」

「母上のそのような姿……」

透け感のあるベージュのサマーニットに黒のインナー、白の細身のパンツ。
露出はしていないものの体の線が分かる服装のサフィリア様。
帽子やアクセサリーはそのまま使用。 合わない物は外した。
他のアクセサリーに比べたら安くはなるけど腕時計も付けている。
ローレンツ様と陛下は少し動揺しているようだ。
美魔女とは彼女のためにある、と言っても過言ではないくらい綺麗でカッコいい。

……あれかな? サファリア様の雰囲気が凛としているので尚更カッコよく見えるって感じかな。

陛下や公爵に服を披露するサフィリア様の傍らでオリヴィア様がアルフォート様に服を披露していた。

「……どうかしら?」

「いつもと雰囲気が違うな、とても似合っているよ」

オリヴィア様はハイウエストの白のパンツに淡い黄色の大きめのフリルが着いたふんわりとしたトップス、中のインナーは濃い目の黄色。 ピンクゴールドのチェーンタイプの腕時計がオリヴィア様の細い腕に合っている。 サフィリア様と同じくパンツスタイルなのにオリヴィア様はガーリー感が強い。

穏やかなオリヴィア様に良く似合ってる。

「とても軽いんですよ、さらりとした肌触りで動きやすいの」

「そうなのか」

オリヴィア様がトップスを軽くつまみアルフォート様に触らせる。
シフォン生地のフリルに触れるとアルフォート様は目を見張った。

「軽く……薄いな。 これを織るのにどれだけの手間が……いや、これは今ここで購入した物……でいいのか? 作らせたのではなく?」

「えぇ、今そこのお店で購入した物ですよ。 大きさや色違いでいくつもありましたわ」

「これがいくつも……」

生地にまで質問が来るのか。
話に夢中になっている二人をよそに、こっそりタブレットで検索しておく。

「シフォン生地は……織り方自体は特別なものではありませんよ」

「そう……なのか?! これが?!」

「ただ……アスファルト同様に材料と技術が無ければ作れません」

「技術か……」

これもか、とアルフォート様は口惜しそうにフリルを見つめた。

「アルフォート、今日の主賓は陛下や公爵ですよ。 落ち着いてください」

フリルを触っている手をオリヴィア様がそっと両手で包む。
ハッとしたような表情を浮かべた後、面映ゆい気持ちになったのか、そうだったな、と照れ臭そうにアルフォート様が笑った。

一方サフィリア様はローレンツ様と陛下に上着を羽織ってくれと懇願されていた。
だが、サフィリア様が首を縦に振らない。
間に挟まれた瑠璃さんが困ったような表情を浮かべていた。

その様子に気づいたオリヴィア様が視線を通路へと動かす。
辺りを伺い私の服をクイッと軽く引いた。

そのまま洋服を買った店に向かいマネキンが着ている薄手の黒のレースのショールを探し購入した。

「サフィリア様、こちらではショールを肩に羽織るのが流行っているみたいですよ」

そう言ってオリヴィア様が先ほど購入したショールをサフィリア様に手渡す。

「まあ、随分と細工の込んだレースね」

ショールを渡されたオリヴィア様は広げて見せ細工の細かさに驚いていた。
手縫いじゃないからこそ出来る手ごろなお値段と細かさだよね。

じっとショールを見て周りを見渡すサフィリア様。
穏やかな微笑みを浮かべるオリヴィア様。
困り顔のローレンツ様と陛下。
苦笑している瑠璃さん。

「……しょうがないわね、オリヴィアの顔に免じて羽織ります」

「ありがとう」

ローレンツ様と陛下はホッとした様子だ。
サフィリア様はショールを瑠璃さんに渡してかけてもらっていた。

ちなみに私と瑠璃さんはそのままスーツ姿だ。
私はいいけども瑠璃さんにも服を選んでもらおうとしたら辞退されてしまった。

「ではまず3階から見てまいりましょう」


そう言って時間を確認すると18時を回っていた。


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