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第三章
183話目
しおりを挟む「どういうこ……?! ちょっ……桜!! 説明……説明求む!!」
「あっちで説明します」
廃村にて
「いや、これ、本当に何……」
「まぁまぁまぁ……」
高梨さんが流れがよくわかってない中、私たちの子芝居もなんでか続いていた。
転移門の先、幌馬車の中のリビングにあたる場所で、ソファーに腰かけてもらいペットボトルのお茶を出す。
「粗茶ですが」
「ありがとう?」
出したお茶を高梨さんは困惑しながらも受け取ってくれた。
ちなみに配置は私の対面に高梨さん、高梨さんが座るソファーの後ろに相良さんと長谷川さん。
二人はなぜか立っている。 まるで高梨さんの監視役みたい、ってことは私は二人のボス役? 即興で始まったコントはもはや迷走中だ。
……もういっそのこと終わらせようか。
「それで申し訳ない、翻訳の事すっかり忘れてました」
「やっぱりか!! って待て、……まさかそれを言うためだけにここに連れてこられたの俺?」
子芝居を止めて切り替えると素直に謝罪した。
「えぇ……まぁ……そうです。 と言うか今私ここで過ごしてるんですよ、その紹介です」
「ここで? ……って……ここどこ?」
私の言葉で周囲を見渡し始めた高梨さん。
気づいてなかったのか。
「廃村です」
「え? ネーアの街じゃないのか?」
「カタログギフトは知ってるんだよな?」
話が進まなさそうなのを見て長谷川さんが口を挟んできた。
「……知ってますが、失礼ですがどなたでしょうか」
「俺は長谷川と言うものだ。 領主の命令で桜の護衛をしてる、この廃村は、そこの相良と言うあほがカタログギフト使わせろと言うから、しょうがなく使用場所として指定された場所だ」
「あ……あぁ、そうなんですね」
長谷川さんが、領主の命令で、という言葉が出た時高梨さんが一瞬こっちをみた。
それを早く説明しろよと言われた気がした。 気がしただけだろうきっと。
結局、高梨さんの翻訳作業はここ廃村で行われることになった。
その日の夕方
「ここなら俺も日本に行けるのか……っていうか倉敷さん達居るんだな」
長谷川さんから説明を受けた高梨さんは廃村をぐるっと見回ってみたようだ。
領主のアルフォート様や奥様のオリヴィア様、公爵の従者のイーノス様が廃村から出て行ってからまた外で魔道具作成をしていた倉敷さん達と遭遇したみたい。
お互い相良さんを通して顔なじみだったみたいで気軽に挨拶してた。
手元の魔道具だらけなのを見て二度見してたけど。
草に埋もれたスライムも興味深げに見ていた。
風魔法の練習をしていた菅井さんに風魔法のコツを教えてこの日の活動は終了となった。
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