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第三章
180話目
しおりを挟む「ずいぶんと大量の果物だな」
果物を仕舞う作業をしていると長谷川さんに話しかけられた。
こんなに大量の果物を見ることが稀みたいで珍しいらしい。
「はい、これで果実酒やフルーツビールや色々作るんです」
「ほー」
でもこの量一人で捌くのは手間なんだよね……。 また孤児院に行ってみようかな……。
と言うか相良さん暇そうなんだけどやっぱり廃村に居た方が良かったんじゃないの?
そうぼんやり考えて冒険者ギルドから出ようとした。
「あ」
入り口ですれ違いざまに入っていった二人組に視線が行った。
「アレク、ユリナ」
「「?」」
その二人組は前回果実酒を作るときに手伝ってもらった冒険者だ。
話しかけられて二人もこちらを振り向いた。
「久しぶり」
近くに歩み寄り話しかけた。
「久しぶりっス」
「久しぶりです」
見るとユリナの腕にはカゴがあり、果物が入っていた。
「……もしかして?」
「あ、はい。 果物採取の依頼です」
「いつもありがとう」
「い、いえ」
依頼品の果物をアレクがカウンターに持っていき完了の手続きをする間話を聞くことにした。
私が以前依頼してからたびたび果物を納品してくれてたみたい。 大量の果物の原因は君たちか。
あの時飲んだ果物のシロップの味が忘れられなかったとか感想をくれた。
スタンピートも落ち着いたので採取依頼も以前より取り合いになってないみたい。 良かったね。
……ん? 今果物回収してきたよね私。 アレクたちは前手伝ってもらって一通り手筈分かってるよね。
今二人に巡り合ったのってチャンスじゃない? 手伝ってもらえばいいんじゃない?
うーんと悩む私を不思議そうな顔をしてみるユリナと長谷川さん。
「……! そうだ!」
頭に疑問符を浮かべたユリナとアレクを連れて一緒に孤児院に行ってくれと頼む。
二人ともこの後用事もなかったらしくすんなりと同意してくれて、一緒に孤児院へと赴いた。
目的地を言うと道案内するかのようにアレクが先頭を歩いた。
「オリバー先生居るか?」
「居るよー。 せんせーせんせーアレクがまた来たー」
またって……結構な頻度で来ているの?
ドアを開けてくれた子供がオリバー先生を呼びに走っていった。
「アレクだ」
「アレク毎日暇なの?」
「昨日も来たよね?」
「今日は果物無いの?」
「アレク遊んで―」
「あ、お菓子のお姉ちゃん」
「お菓子くれるの?」
「今日も果物?」
アレクに対して辛辣な子が何人かいる。
先頭をずんずん進むアレクに子供たちが群がる。 人気者だね。
私はお菓子のお姉ちゃんで定着したみたい。
私の横にはユリナが、後ろには相良さんと長谷川さんが続いた。 さっきからその二人にユリナが少しおびえてる。
子供も圧を感じだのか近寄らない。
「またドアが開けっぱなしですよ! あら……大所帯でまぁ……今度はどうしましたか?」
前回とは違って今回は警戒の色は薄い。 薄いだけで消えないのは後ろに見慣れない人がいるからか。
応接室に皆で入り目的を言った。
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