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第三章

174話目

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「これが知識の塊です」

食事を急かされ終えると皆で和室へと逆戻り。
折角の串焼きが……。

炬燵の上にタブレットを置く。

「これが知識の塊ですか? ずいぶん薄いですね」

それを恐る恐る持ち上げて両面くまなく見るイーノス様。 
真っ暗な画面を見て眉間にしわを寄せながら不思議そうにしている。

「そうです、今起動しますね」

お貸し下さいとイーノス様から受け取るとホームボタンを押し表示した。

「光っ……、光ってるな……これは……魔道具の一種か?」

「いえ、アルフォート様、魔道具ではございません。 こちらの通信機具の一つです」

「通信機具?」

「イーノス様、はいそうです。 えっと……あちらの世界には大型の通信の魔道具があるとお聞きしてます。 そのようなものを小型化し色々機能が付けられたものございます」

私が二人から矢継ぎ早に質問されていると、アルフォート様の方を長谷川さんが引き受けてくれた。
質問者が一人減るだけでも全然違う、助かった。 と胸をなでおろしイーノス様の質問に答えていった。

「機能とは? 例えばどんなものがあるんですか?」

「はい、まず通信ですので他の人とのやり取りが出来ます」

「どんなふうにやり取りをするのですか?」

「こちらに登録をし、音声や文字でやり取りをします。 文字ですとここに既読という文字が着けば相手が読んだことが分かりますし、音声であれば音が鳴って相手に連絡の旨が伝わります」

某連絡アプリを開き見せる。 会話のやり取りは親との無難なやり取りの物を見せてみた。 家族のも恥ずかしいが友人とのやり取りなんてもっと見せられない。

「名前らしきものが沢山ありますが、一度にそれだけ大勢の人とやり取りが出来るんですか? そんな通信機器をこんなに大勢の人たちが持っているんですか?」

「はい。 形は違えど幼子やお年寄り以外であれば一人一台は持っていると思われます」

「なんと……」

そこでイーノス様からの質問が止まった。 

「ここにフルーツビールの説明があるのかしら? それともここにある誰かに聞くのでしょうか?」

今度はオリヴィア様から質問が飛んできた。 どうやら聞きたくてウズウズしてたみたい。 
殿方の勢いに押されて口を噤んでたらしい。

「いいえ、聞くのではなく検索します」

「検索?」

「はい。 色々な機能のうちの一つです。 こちらの機能とはまた別で、インターネットと言いまして、ここに様々な知識が蓄えられています」

「インターネット?」

「はい、ではここにフルーツビールと言う文字を入力しますね」

見ててくださいと画面を指さす。

「文字? でも私こっちの文字は……まあ、私こっちの世界の文字……読めてるわ?」

「「「なに?」」」

オリヴィア様気づいてなかったの?!
ちょっと待て、長谷川さんも気づいてなかったの?!
そこに驚きつつ、間を空けてはまた質問が来て話が進まなくなると危惧し、イーノス様から質問が来る前にスルーして進める。

インターネットの検索欄にフルーツビールと入力し検索を押す。

「こんな簡単に……」

イーノス様が驚いている。
フルーツビールと検索しただけで沢山のレシピが出てきたもんね。

「凄いわ。 これ全部作り方なのかしら」

「本当に私の手で作れるかどうかは分かりませんが作った人たちの記録なのは確かだと思われます」

「情報料は? 対価はどれくらいなんですか?」

ここからまたイーノス様の質問攻めが始まった。

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