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第三章
171話目
しおりを挟む最初の土間と居間だけで十分以上は時間がかかった。 物が少ない部屋なのに。
居間と障子を挟んで縁側がある。 そこからは広大な庭園が眺められた。 暖かいうちにごろん寝転がり、縁側で日向ぼっこも良さそうだ。 お客様の前で出来ないけど。
縁側を進んで右手、居間から見て襖の奥は寝室になっている。
今回の宿は平屋で寝室は3部屋。 居間を基準にL字型に3部屋並んでいる。
と言っても襖で仕切られてるだけだけど。
部屋割りは、私とオリヴィア様、アルフォート様と長谷川さん、イーノス様は一人となった。
最初の案としては、オリヴィア様とアルフォート様、イーノス様と長谷川さん、私は一人部屋、というのもあったのだが、長谷川さんに俺が相部屋か!? と難色を示されたのでこの割り振りになった。
続いて、お風呂やトイレの説明をしていった。
イーノス様も色々聞いたことを整理したいとのことなので、一通り説明が終わったので私は和室で小休止。
和室は土間から見て居間の右手側、縁側と反対側にある。お風呂やトイレは和室のさらに奥になる。
なぜ和室かと言うと、この宿には炬燵があるからだ。
ちなみに季節は秋にした。 ……冬は寒すぎるし夏だと炬燵は我慢比べになってしまう。
折角なのでお湯を沸かして急須でお茶をお茶を煎れた。
お茶菓子にアイテムボックスからみかんを取り出して器に入れテーブルの上に置いておく。
あちらで緑色のお茶は見なかったのでイーノス様やアルフォート様の興味を惹かれるかなと思ったんだけど、どうやらテレビに夢中らしい。
というのも発端はオリヴィア様。
最初は私は和室の炬燵でのんびりしていた。他の人たちはそれぞれ寝室で休憩をしていたのだが、途中でオリヴィア様がやってきた。
炬燵は初めてだったので炬燵布団を捲って中を見たり、恐る恐る足を入れてぬくぬくしたりしていた。
その後にテレビを発見し、テレビを付けた。
この宿のテレビは色々な有料放送が見れる場所だったみたいで、それに気づいたオリヴィア様が、この間の演劇の続きやってるところはないかしら? と嬉しそうにリモコンで検索し始めた。
突如宿の中でテレビの音声が流れ知らない人の声がしたもんだから、イーノス様もアルフォート様もビックリして和室にやってきた。
だが残念ながらこの間のドラマの続きはやってなかった。 どうやら季節をずらしたから放送終了しちゃってたみたい。
しょぼんと落ち込むオリヴィア様と打って変わり、イーノス様がテレビに食いついた。
操作方法をオリヴィア様に確認し、リモコンを操作しチャンネルを変えまくった。
ぴたりと止まったチャンネルは何が面白いのかニュース番組だ。
くぎ付けになっている。
その前までオリヴィア様の表情に苦笑していたアルフォート様も、ニュースが流れてから表情が一変し、テレビにくぎ付けになった。
何がそんなに面白いのかと疑問に思ったので、オリヴィア様に理由を聞くと、その日のうちに各地の情報が伝達される技術に驚いているんですよ、と言われた。 ……言われてみると確かにそうか。
各領地のその日の出来事が全領地にその日のうちに伝わるようなもんだもんね。
あっちの世界でそんな魔道具は見たことない。 ……というか映像伝達する魔道具を見たことない。
真剣にニュース番組を見る人たちの前に、はい、お茶です。 とお茶を置いていった。
なんとなく手持無沙汰になったのでタブレットを取り出しネットショッピングに勤しんだ。
オリヴィア様が見たいって言っていたドラマってどれだっけと検索し、ブルーレイボックスを発見。
ぽちっと購入ボタンを押す。
あっちで見るにはホームシアター用のプロジェクターあればいいかな? あ、電源なきゃ駄目だ。
発電機必要か。 と流れるように見る物が変わっていく。 へー……発電機ってガソリン式かカセットガスなのか。
どっちがいいんだろ? むむむ……とタブレットと睨めっこする。
一応お薦めされているものを一種類ずつ購入した。 ガソリン部分を魔石代用出来るか倉敷さんに聞いてみよう。
せっかくホームシアター用のプロジェクター買うなら何か映画も買ってみようかな?
あ……これ公開されているとき見ようと思って忘れてたやつ。 こっちはCMでめっちゃくちゃ流れてたやつだ。 と色々映画のDVDを購入していった。
そんなことをしていたらそろそろ夕食時だ。
時計を見て気づいた。
今日の夕食は串焼き。
宿の人が食材を運んできてくれたので準備を始めた。
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