上 下
171 / 274
第三章

171話目

しおりを挟む

最初の土間と居間だけで十分以上は時間がかかった。 物が少ない部屋なのに。 
居間と障子を挟んで縁側がある。 そこからは広大な庭園が眺められた。 暖かいうちにごろん寝転がり、縁側で日向ぼっこも良さそうだ。 お客様の前で出来ないけど。

縁側を進んで右手、居間から見て襖の奥は寝室になっている。 
今回の宿は平屋で寝室は3部屋。 居間を基準にL字型に3部屋並んでいる。 
と言っても襖で仕切られてるだけだけど。
部屋割りは、私とオリヴィア様、アルフォート様と長谷川さん、イーノス様は一人となった。
最初の案としては、オリヴィア様とアルフォート様、イーノス様と長谷川さん、私は一人部屋、というのもあったのだが、長谷川さんに俺が相部屋か!? と難色を示されたのでこの割り振りになった。

続いて、お風呂やトイレの説明をしていった。

イーノス様も色々聞いたことを整理したいとのことなので、一通り説明が終わったので私は和室で小休止。

和室は土間から見て居間の右手側、縁側と反対側にある。お風呂やトイレは和室のさらに奥になる。
なぜ和室かと言うと、この宿には炬燵があるからだ。 
ちなみに季節は秋にした。 ……冬は寒すぎるし夏だと炬燵は我慢比べになってしまう。

折角なのでお湯を沸かして急須でお茶をお茶を煎れた。
お茶菓子にアイテムボックスからみかんを取り出して器に入れテーブルの上に置いておく。

あちらで緑色のお茶は見なかったのでイーノス様やアルフォート様の興味を惹かれるかなと思ったんだけど、どうやらテレビに夢中らしい。

というのも発端はオリヴィア様。

最初は私は和室の炬燵でのんびりしていた。他の人たちはそれぞれ寝室で休憩をしていたのだが、途中でオリヴィア様がやってきた。
炬燵は初めてだったので炬燵布団を捲って中を見たり、恐る恐る足を入れてぬくぬくしたりしていた。
その後にテレビを発見し、テレビを付けた。
この宿のテレビは色々な有料放送が見れる場所だったみたいで、それに気づいたオリヴィア様が、この間の演劇の続きやってるところはないかしら? と嬉しそうにリモコンで検索し始めた。

突如宿の中でテレビの音声が流れ知らない人の声がしたもんだから、イーノス様もアルフォート様もビックリして和室にやってきた。

だが残念ながらこの間のドラマの続きはやってなかった。 どうやら季節をずらしたから放送終了しちゃってたみたい。

しょぼんと落ち込むオリヴィア様と打って変わり、イーノス様がテレビに食いついた。

操作方法をオリヴィア様に確認し、リモコンを操作しチャンネルを変えまくった。

ぴたりと止まったチャンネルは何が面白いのかニュース番組だ。
くぎ付けになっている。

その前までオリヴィア様の表情に苦笑していたアルフォート様も、ニュースが流れてから表情が一変し、テレビにくぎ付けになった。

何がそんなに面白いのかと疑問に思ったので、オリヴィア様に理由を聞くと、その日のうちに各地の情報が伝達される技術に驚いているんですよ、と言われた。 ……言われてみると確かにそうか。
各領地のその日の出来事が全領地にその日のうちに伝わるようなもんだもんね。 
あっちの世界でそんな魔道具は見たことない。 ……というか映像伝達する魔道具を見たことない。

真剣にニュース番組を見る人たちの前に、はい、お茶です。 とお茶を置いていった。

なんとなく手持無沙汰になったのでタブレットを取り出しネットショッピングに勤しんだ。
オリヴィア様が見たいって言っていたドラマってどれだっけと検索し、ブルーレイボックスを発見。
ぽちっと購入ボタンを押す。

あっちで見るにはホームシアター用のプロジェクターあればいいかな? あ、電源なきゃ駄目だ。
発電機必要か。 と流れるように見る物が変わっていく。 へー……発電機ってガソリン式かカセットガスなのか。
どっちがいいんだろ? むむむ……とタブレットと睨めっこする。 
一応お薦めされているものを一種類ずつ購入した。 ガソリン部分を魔石代用出来るか倉敷さんに聞いてみよう。 

せっかくホームシアター用のプロジェクター買うなら何か映画も買ってみようかな?
あ……これ公開されているとき見ようと思って忘れてたやつ。 こっちはCMでめっちゃくちゃ流れてたやつだ。 と色々映画のDVDを購入していった。

そんなことをしていたらそろそろ夕食時だ。
時計を見て気づいた。

今日の夕食は串焼き。
宿の人が食材を運んできてくれたので準備を始めた。
  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです

新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。 おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!

さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。 しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。 とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。 『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』 これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

処理中です...