上 下
161 / 274
第三章

161話目

しおりを挟む



すごすごと幌馬車の中に戻ると灯里に笑顔で出迎えられた。

「あ、桜戻ってきた、お帰り」

「灯里ただいまー、はい、これ」

魔法で先ほどの魔道具をポイポイと取り寄せしてその場にいた灯里、春子さん、長谷川さんに渡していく。

「うん?  何これ?」

「ん? 俺もか?」

不思議に思いつつも皆受け取ってくれる。 

「今回から行く前に魔力を回収いたしまーす」

「魔力を回収?」

こてんと頭を傾げる灯里。

「倉敷さんとマッヘンさんが魔道具作りに欲しいんだって」

「はいはい。  良いわよ、どうせ回復しちゃうものね」

皆嫌がりもせず素直に協力してくれた。  感謝。

「それで今日の行き先って決まった?」

「あ、この人数で行くなら一棟貸しの所はどうかなって話してたの」

「従者用の部屋も作れるし一回見てみない?」

コテージとかペンションとかそんな感じかな?  良さそう!!

「あ、ちょっと今魔力心もとなくなっちゃったんで一旦回復しますね……あっちでちょっと検索しますか? 私一棟貸しの宿宿泊予約してないんですよね。 ついでに選びませんか?」

「「行く」 わ」




時間がまだ昼過ぎなので日帰り温泉を指定した。

「時間よーし」

リミットは2時間くらい。 一応マッヘンさん達に話をしてから私、灯里、春子さん長谷川さんでこっちに来た。 長谷川さんは来て早々待ち合わせ時間だけ決めて温泉に入りに行った。 

「私たちは場所選びよ」

「「はーい」」

ラウンジに行き飲み物を頼む。 テーブルの上にタブレットを出して検索を行なった。

「一棟貸しの宿ってペンションとかコテージと何が違うんですかね?」

覗き込みながら二人に尋ねる。

「私に聞かれてもわからないけど……綺麗なところ多いわね」

私の問いに困ったように答える春子さん。

「どこも良さそうで迷うね」

真剣に悩む灯里。

「これって食事はどうなんですかね? どうせなら皆でお酒飲みながら楽しみたいんだけど」

「……こことかはどう?  寝室が4部屋あるわよ。  キッチンも有るし予約時に注文しておけばバーベキューも楽しめるって。  後は内風呂で温泉も……それに4部屋中2部屋には露天風呂も有るわ」

「綺麗なところだね……眺めも良さそう。  そして何より内装が可愛い!!」

「おしゃれだね!! ここにしましょうよ」

場所を決めた後は食事用のアルコール類の種類を増やすべく三人で片っ端からネット注文していった。



廃村に戻ると長谷川さんが用事が出来たと、転移門を使ってネーアの街に戻って行った。

春子さんにもやっぱりオーフェンさんを誘って良いかと言われたので、どんと来いだ!
と返し迎えに行ってもらった。

二人に向かって時間厳守ですよと見送り、倉敷さんや相良さん達に食べ物や飲み物のリクエストを聞いて歩いた。  

……マッヘンさん用の日本酒に、灯里と菅井さん用に酎ハイやサワー、リキュール系、それを割るジュースやお茶も用意しなきゃ。  後は氷……は魔道具で出すとして、人数分必要かな?  食事はバーベキューだけどおつまみも何品かあったほうが良いよね。  居酒屋で食べた刺身の盛り合わせも取り寄せておこう。 あと好評だったのはなんだっけ? ……!そうだ、こっちの果物も持って行こう!!   果実酒も残ってたはず。  ついでに皆で飲もう!!

灯里が取り寄せた物をメモしていってくれたおかげでスムーズに準備が整っていった。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです

新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。 おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

処理中です...