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第三章
161話目
しおりを挟むすごすごと幌馬車の中に戻ると灯里に笑顔で出迎えられた。
「あ、桜戻ってきた、お帰り」
「灯里ただいまー、はい、これ」
魔法で先ほどの魔道具をポイポイと取り寄せしてその場にいた灯里、春子さん、長谷川さんに渡していく。
「うん? 何これ?」
「ん? 俺もか?」
不思議に思いつつも皆受け取ってくれる。
「今回から行く前に魔力を回収いたしまーす」
「魔力を回収?」
こてんと頭を傾げる灯里。
「倉敷さんとマッヘンさんが魔道具作りに欲しいんだって」
「はいはい。 良いわよ、どうせ回復しちゃうものね」
皆嫌がりもせず素直に協力してくれた。 感謝。
「それで今日の行き先って決まった?」
「あ、この人数で行くなら一棟貸しの所はどうかなって話してたの」
「従者用の部屋も作れるし一回見てみない?」
コテージとかペンションとかそんな感じかな? 良さそう!!
「あ、ちょっと今魔力心もとなくなっちゃったんで一旦回復しますね……あっちでちょっと検索しますか? 私一棟貸しの宿宿泊予約してないんですよね。 ついでに選びませんか?」
「「行く」 わ」
時間がまだ昼過ぎなので日帰り温泉を指定した。
「時間よーし」
リミットは2時間くらい。 一応マッヘンさん達に話をしてから私、灯里、春子さん長谷川さんでこっちに来た。 長谷川さんは来て早々待ち合わせ時間だけ決めて温泉に入りに行った。
「私たちは場所選びよ」
「「はーい」」
ラウンジに行き飲み物を頼む。 テーブルの上にタブレットを出して検索を行なった。
「一棟貸しの宿ってペンションとかコテージと何が違うんですかね?」
覗き込みながら二人に尋ねる。
「私に聞かれてもわからないけど……綺麗なところ多いわね」
私の問いに困ったように答える春子さん。
「どこも良さそうで迷うね」
真剣に悩む灯里。
「これって食事はどうなんですかね? どうせなら皆でお酒飲みながら楽しみたいんだけど」
「……こことかはどう? 寝室が4部屋あるわよ。 キッチンも有るし予約時に注文しておけばバーベキューも楽しめるって。 後は内風呂で温泉も……それに4部屋中2部屋には露天風呂も有るわ」
「綺麗なところだね……眺めも良さそう。 そして何より内装が可愛い!!」
「おしゃれだね!! ここにしましょうよ」
場所を決めた後は食事用のアルコール類の種類を増やすべく三人で片っ端からネット注文していった。
廃村に戻ると長谷川さんが用事が出来たと、転移門を使ってネーアの街に戻って行った。
春子さんにもやっぱりオーフェンさんを誘って良いかと言われたので、どんと来いだ!
と返し迎えに行ってもらった。
二人に向かって時間厳守ですよと見送り、倉敷さんや相良さん達に食べ物や飲み物のリクエストを聞いて歩いた。
……マッヘンさん用の日本酒に、灯里と菅井さん用に酎ハイやサワー、リキュール系、それを割るジュースやお茶も用意しなきゃ。 後は氷……は魔道具で出すとして、人数分必要かな? 食事はバーベキューだけどおつまみも何品かあったほうが良いよね。 居酒屋で食べた刺身の盛り合わせも取り寄せておこう。 あと好評だったのはなんだっけ? ……!そうだ、こっちの果物も持って行こう!! 果実酒も残ってたはず。 ついでに皆で飲もう!!
灯里が取り寄せた物をメモしていってくれたおかげでスムーズに準備が整っていった。
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