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第三章

158話目

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「それが最初私の目の前にきたときは自身を守る魔道具すら身につけてなかったんですよ。 ほいほい取り寄せはするは、それを配ったりするわ、人を疑いはしないわ、挙げ句の果てには魔力回復させるわ、あちらの世界に誰でも連れて行けるわ……アルフォート様なら怖さ分かってくれませんか?」

「う……うむ」

領主は桜さんのあまりの無防備さに口の端をひくっと吊り上げた。

「だから私は桜さんの世話を焼いてます。 まずはこちらの世界で何をしたいのか目標を作ってもらいました。 それを手助けすることにより最低限のコントロールをしなければならないと思ってます。 アルフォート様も桜さんを残す方向に持って行った時に管理下に置きやすいように、他からの干渉がされにくい廃村を差し出したのだと思ったのですが違いますか?」

そこまで私が話をすると領主は目を瞑り溜息を吐いた。

「オーフェンの考えは分かった。  危機感を共有出来、そこまでこちらの領民のことを考えてくれて感謝する」

そうしてこの日の会談は互いの考えを共有、協力関係を結ぶと言う良い結果に終わった。


廃村の長谷川自室にて

あちらの世界とこちらの世界を行き来しことらの世界での日課になりつつある魔道具作成の手助け中に王都へ向かった領主から連絡が入った。
作業を抜けて幌馬車内の自室に戻り返事をする。

「ここ数日の報告だが大丈夫か?」

王都に向かった領主からは周りに魔道具のことと内容がバレないよう連絡が来るまでこちらからは連絡をしないことになっている。

「あぁ、こちらも王都の自室だ。  そちらは何か問題はあったか?」

「こちらはいたって平和だぞ。  日中魔道具を作り夜はあちらの世界で豪遊だ」

「くっ……変われ」

「やなこった、それでそっちはどうなった?  決まったのか?」

「……いや、まだだ。  半信半疑だった……」

「……まぁ……疑うのも分かるもんな」

「あぁ……、ところで魔道具とは?」

「ヤバイぞあいつら。 えんらいスピードでレシピ産の魔道具増産していってる」

「は?   ……は?!」

「桜の魔法舐めてたわ。 あれこっちの道具も取り寄せられるぞ。  ほら、あの日褒美に魔獣を渡しただろ?」

「魔獣?  あぁ、スタンピートのか?」

「それ、不思議魔力10で取り寄せ放題」

「は?!  ちょっ……ん? ……はぁぁああ!?」

「まず……、倉敷と言う渡り人が回復した側からレシピを出しまくってる、そんでドワーフのマッヘン爺さんがそれを嬉々として解析、桜が出した豊富な素材と、もう一人の渡り人菅井が魔石、鉱石の提供を受け改良しまくってる。相良は近隣に出現した魔獣の討伐兼草刈り、……まとめて隔離して正解だ」

「相良が草刈りって……倉敷?  一緒にいるのはあの倉敷か!?」

「そうだ。 貴族垂涎の的、つい最近突如王都から消え失せた倉敷だ」


「っ……って事はよりによってあいつら……あの厄介者トリオか……もう……こっちの話がまとまるまでそこから出すな、魔道具もだ!!」

「その辺は大丈夫だと思うぞ。 出て行けと行っても出て行かん感じだ、良かったな」

「……それはそれでどうなのか。



……まぁ……お気に召したなら何よりだ……。 ついでに出来た魔道具は性能と効果をまとめておけ。  市場に出せるかどうか戻ってから判断してやる」

「了解」

と言うか出せないものばかりだと思うぞ。  
半眼になりつつ、もう既に完成しつつある転位門を窓越しに見ながらそう思った。 それと同時にどうやってネーアの街に行かせないようにするか頭を悩ませることになった。



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