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第三章

155話目

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その後自室に戻りサロンのソファーに寝転がり、ゴロゴロしながらカタログギフトとタブレットを見比べる。

「どこが良いんだろうー!!!!」

倉敷さん達はどこでも一緒だろうと戦力になり得なかった。

貴族の好みが分かりそうな長谷川さんは酔っ払ってお風呂に行っちゃうし……あーもう!!

あーもう……?

タブレットとカタログギフトを見比べる。

タブレットには宿の検索ページが表示されている。

宿の予約……ネット決済出来るよね?

もしかして……。

そう思い一度は泊まってみたい高級旅館top10というサイトを開く。

そこに書かれていた旅館名をコピーし検索、試しに宿泊予約を取ってみた。

……これで行けるようになる……かな?

これで行けるようになるなら一棟貸しのところも行けるんじゃないか?

カタログギフトじゃ選べなかったプランとか部屋とか宿泊数とか……かなり自由度度高まるよね。

あっちに戻ってからじゃインターネットは出来ないので部屋やプラン等はスクショしておく。

物は試しだと良さそうな宿を片っ端から予約していった。



廃村に戻ったのはよく自治のお昼頃、マッヘンさんの要望通り分解用の家電をマッヘンさんの部屋に出し、早々に自室に篭り魔法を使い確認するとタブレットで予約した宿はきちんとリスト入りしていた。

思わずガッツポーズをする。

これで幅が広がった!!  なんだったら一泊10万越えの宿だっていけちゃう!!

とりあえず今日の宿はこの中からみんなに選んでもらおう。 

そう思ってたらドアがノックされた。

「桜ちょっと良いか」

「はーい」

ドアを開けるとそこには倉敷さんがいた。

以前言っていた自販機について作り始めるらしい。
その要望の確認に来たとのことだ。
興味を惹かれたし、王族向けの旅館はあっちに行かないと検索できず手持ち無沙汰なので素材倉庫係として見学することにした。

向かったのは倉敷さんの部屋ではなく幌馬車の傍、雑草を刈った空き地だ。
そこには絶賛家電分解中のはずのマッヘンさんと菅井さんも居た。

「外でやるんですか?」

「あぁ、色々出すには室内じゃ狭いからな」

「色々?」

「そうだ」

一個じゃないの?  そんな疑問が湧いた。

「少し離れてろ」

倉敷さんにそう言われたので何やら魔道具を解析しているマッヘンさんの隣に行った。

「何ですか? それ」

「簡易転位門だよ」

「転位門?」

私の問いに答えてくれたのは菅井さんだ。

「門にしては……随分ちっちゃいですね」

その魔道具は一見すると一対の木枠だ。 卵が一個通るくらいの大きさだった。

「最近はこんな感じで作るんだ。  レシピ産は魔力がかかるからね。 小さいのを作ってマッヘンさんが解析してその理を読み解いて組み合わせて大きいのを作るんだ。 いまマッヘン爺が見てるのが転位門で、これは座標を指定する魔道具」

「そうなんだ。  でも何で転位門?」

「街とここを行き来しやすくする為らしいよ。  なんか持ってくるの忘れた物があったみたいで不便だって言ってた」

「そうなんだ!」

行き来出来るようになれば灯里も誘いやすくなるね。 部屋に一人じゃつまんないもの。

そんな話をして倉敷さんを見れば地面にレシピ産の小さい魔道具を出しては置いて行っている。
どれも一見だけではどうやって使うのか分からないものばかりだ。
自販機も確かに二千万以上魔力使うって言ってたもんね。

「桜、カタログギフト」

「はーい」

連続使用で魔力が少なくなった倉敷さんにカタログギフトを渡す。 その場で使うと1分も経たずに戻ってきた。  本当に回復に行くだけなんだね。

「私も何か手伝いますか?」

「手伝い?  ……そうだな、レシピを置いて行くから魔法で出せるものはそこに置いていってくれ、俺の魔力の節約になる」

「置くんですね?  レシピの上でいいんですか?  側ですか?」

「レシピの上でいい」

「分かりました」

そう言って地面に置かれたレシピを見る。
なになに……遠隔補充?  材料は……キラーアントの顎二つにキラースパイダーの糸5束にハーピーの羽一対……。 なんか脈絡ないね。

「なら僕は魔石置こうか?」

「ああ、大きさはレシピに書いてある」

「はーい」

そうやって役割分担をして魔道具を作っていった。

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