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第三章

139話目

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「こちらをご覧ください」

メニューを開いて領主へ見せる。

「ここに食べ物や飲み物の名前がありますよね、その隣に書いてある数字が料金になります。 例えば私が先ほど注文したカクテル、値段が1300円になります」

「ふむふむ」

「これを取り寄せようとしたら1300の魔力が必要になります。  まずはあちらでの販売料金の基準がこれになります」

そう言ってちらりと領主を見る。  頷くのを確認して続ける。

「こちらの感覚であちらで販売しようとすると銀貨一枚と銅貨三枚です」

「これがか?!」

「はい。  あちらで売られたら購入致しますか?」

「………するな」

「ビールだったら買い占めるぞ」

隣から長谷川さんが乱入して来た。

「中には長谷川さんと同じように買い占めしようとする人も出てくるかもしれません。  ですがこれが金貨十三枚だったらどうですか?」

「買い占めはし難くなるな」

「さらに両替にも1日の制限があったらどうです?」

「真っ当な方法では買い占めできないな。 なるほど」

「魔力にも限りがあるので大量販売は出来ません。 なので値段は高くなりますが金貨一枚に対し100円となりました」

「分かった。  ちなみに商品はもう決まってるのか?」

「?  まだです。 今聞き取り中です」

「……そうか。 出来ればそこにビールを加えてはもらいないか?」

ウィスキーじゃなくてビール?
あぁ、長谷川さんが飲みたがってたからか。 

「分かりました、一緒に月替わりでウィスキーも入れておきますね」

「……ありがとう」

優しい人なんだなと思ってちょっと笑みがこぼれると、笑ったのが分かったのか領主も苦笑していた。

「これからはアレは護衛となりますか?」

「あれ?」

和やかな空気の中、ワインを一人で楽しんでい相良さんの口からそんな言葉が紡がれた。

疑問に思相良さんを見ると真っ直ぐに領主を見つめている。

ん? と疑問に思い領主と長谷川さんを見ると、先ほどまでの和やかな空気と打って変わって探るような目つきで相良さんを見ていた。

……なに?!  

一人蚊帳の外に追いやられ状況が把握できずに三人の顔を交互に見る。

「……そうだな」

領主と長谷川さんがふぅっと長い息を吐き領主がそう答えた。

「分かった分かった」

長谷川さんはまたビールを煽った。

「ありがとうございます」

相良さんは二人の答えに満足したのかそう答えニコリと笑った。

……なんか話が始まって終わったみたい?  よく分からないので愛想笑いしておいた。

「すっかり酔いが覚めたじゃねーか。  飲み直しだ飲み直し!!」

長谷川さんがまた追加でビールを注文し他の二人もそれぞれ口直しとばかりに飲み物を注文した。

ビールを飲みつつ相楽さんにクダを巻く長谷川さん、それを軽く受け流す相良さん。

なんかよく分からないけど相良さんも幾分か打ち解けたみたいで良かった。

そうして今回の食事会は無事に終わった。



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