異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

文字の大きさ
上 下
129 / 274
第三章

129話目

しおりを挟む
そして領主と打ち合わせの日が来た。 

前回と同じように馬車を手配し招待状を手にし相良さんと共に領主のところへ向かった。

門番に招待状を見せ通してもらい御者は待合室へ馬車はお城の厩舎へと誘われた。

メイドに案内され客間へと移動する。

用意されたお茶に舌鼓をうっていると領主が現れた。

「待たせたな」

慌てて席を立つとそのままでいいと手で制された。

メイドが領主の分のお茶を用意すると下がらせられた。

室内には私と相良さんと前回と同じ護衛の人と領主の4人だ。

「さて早速ですまないが……カタログギフトの使い方について復習してもいいかな?」

護衛の人がカタログギフトをテーブルに置く。

ちょっと見ないうちに随分と読み込んだようで少しよれていた。

「私には字が読めないので勉強させてもらった」

あっちの世界の本自体が、というか文字自体が少ないのか。 これで勉強するのかとちょっとびっくりした。

「不躾で失礼致しました。 使い方ですね、それぞれの内容についても必要でしょうか? それとも記入の仕方をお教えすればよろしいでしょうか?」

私の言葉に領主は自分の護衛をチラリと見た。

「記入の仕方だけでいい」

「分かりました。 では私が持っている物で代用致します」

アイテムボックスから日帰り温泉を選べるカタログギフトを取り出して領主に見えるようにして開いて手元に置く。

「後ろの方についている葉書を取ります」

ペラペラと捲り葉書が差し込まれたページで止まる。

葉書を手に取り見せる。

適当に開いたページを見せる。

「ここに書かれた番号をこちらの葉書に書き込みます」

記入するとタブレットが出てきた。

「これは……?」

「こちらは読めますか?」

「いや……読めない。 すまないがなんて書いてあるんだ?」

「こちらには日付を選んでくださいと書いてあります」

私の言葉を聞いた領主は護衛をチラリと見る。 護衛の人が頷いた。

「使い方の説明なので一番早い日付にしますね」

領主に見せながら早い日付を入力する。 

続いて名前を入力してくださいと表示が変わった。

「名前は今回は使わないのですがとりあえず私の名前を入力します。 ここの名前は行く人数分入力する事になります」

領主を見ると頷いた。

そして次が完了しますか?という文字が浮かんだ。

「ここには今完了しますか? という文字が浮かんでいます。 ここではいを押すとあちらの世界に行けます。今回は選んだものが日帰り温泉だったのでこれだけになります。 料理が選べるものなら料理の選択も出てきます。 他にも何か選ぶ選べるものがあるならそれも入力する事になります。 これで使い方は以上です。 宜しいでしょうか?」


「あぁ……」

「では次に検証の参加者をお伺いしても宜しいでしょうか? 初めてあちらの世界に行くならばあちらの案内をする者が必要になります。 特に男女で別れなければいけない場所もあります。 私ではご案内できかねる場所もございます。 今回領主様を案内するのは隣に座っている相良が行います。 私がご案内出来ず心苦しいのですがご容赦頂けると幸にございます」

「それは構わないが、参加者は今のところここにいる4人で出来るか?」

「4人ですか? 私は構いませんが……では出来るならば日帰りで願えないでしょうか? 宿泊ですとどなたかと私が相部屋をしなくてはならなくなってしまいますので……」

「構わない」

今回は本当に行けるのかが目的らしい。 宿泊云々以前の話だった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。  これが全ての始まりだった。 声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。  なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。 加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。  平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。 果たして、芳乃の運命は如何に?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...