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第三章
120話目
しおりを挟む領主と面会の日
何を着て行くか迷いガドラスさんに相談したら、普段着でもなんでもいいと言われて結局スーツにした。
相良さんのお店に行くと相良さんもワイシャツに濃紺のスラックスという出立ちだった。
領主のお城はネーアの街の南に位置している。
歩きだと時間がかかるので前もって貸し馬車を予約しそれで行くことになった。
門のところまで行くと門番に止められ馬車のドアが開けられた。
前もって渡されていた招待状を見せると馬車から降ろされ、門が開けられ中に通してくれた。
馬車はお城の厩舎に止められ御者は待合室で待たせてもらえることになった。
私たちはお城の中に入るとメイドさんに案内され客間へと通された。
こちらの世界で初めて入ったお城はどこを見ても手入れが行き届いていて綺麗だった。
しばらくしてメイドさんが入れてくれたお茶とお菓子に相良さんと共に舌鼓をうっていると領主が到着したと教えられ立ち上がり迎える。
扉を開け入ってきたのは眩い金髪の渋いおじ様だった。
表情は柔らかくこちらに好意的に見えた。
その後には護衛と思わしき黒髪の青年が控えていた。
慌てて頭を下げると構わない頭を上げてくれと言われ頭を上げた。
私たちの向かいの席に着くと腰を下ろし私たちにも座っていいと言ってくれた。
「私がここブリストウ領の領主であるアルフォート=ブリストウだ」
「私は相良洋介と言います」
「私は橋沼桜です」
相良さんと私をじっと見た後に、
「この度はネーアの街を救ってくれて感謝する」
頭を下げられギョッとする。
貴族って簡単に頭下げないんじゃなかったの?!
そして罪悪感でなんかが刺さった気がした。
「私のほうこそ申し訳ありません」
慌てて私も頭を下げて謝罪する。
板挟み状態の相良さんは黙って聞いていた。
頭を上げて領主の顔を見る。
なぜ私が謝ったか理解できないようで訝しげにこちらを見ている。
「……まずはこちらをご覧ください」
謝罪理由の前に商品の説明に入ることにした。
そう言ってアイテムボックスからカタログギフトを取り出しテーブルの上に置く。
領主はカタログギフトを見てちらっと視線をこちらによこした。
「私の魔法で出したカタログギフトと言う名の品物です。 私たちが暮らしていた世界の物をひとつ取り寄せることができる本となってます」
私が商品の説明をすると驚愕した様子でカタログギフトを手に取った。
「失礼だが橋沼さんの魔法とは?」
「はい。 私の魔法は取り寄せの魔法になります」
「これは……誰でも取り寄せできるのかな?」
「出来ます。 渡り人以外でもこちらの世界の人でも取り寄せ可能です」
実際にオーフェンさんに使ってもらったし。
「今、私が使っても?」
「はい。 使い方を教えますね」
そう言って説明をした。
ただ、商品名や内容は読めないので気になったものを教えてもらい商品の説明を行った。
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