異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

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第三章

116話目

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「異世界のお酒を再現するのか」

執務室にて各所から上がってきた資料に目を通す。

「そうみたいですね」

手元にあるのは商業ギルドから申請された一枚の紙。

内容は高濃度酒精の生産についてと書かれていた。

「ははは……これは……よく異世界の酒を調べられたな」

そこには材料や高濃度の種精製性方法についてまとめられた紙がありその上でエールの酒造商会と鍛治ギルドと共同事業を開始したい旨が書かれてあった。

エールについては年間の生産量の限度が決まっている。

今回エールとは別の酒精を作成するとなるとエールの分の枠が減ってしまう。

酒造商会の設立は領主の許可が必要だ。

だがこれは設立ではなく共同事業。

もちろん共同事業についてはこちらの許可は必要ない。 

どうやら共同事業にあたって枠を増やしてもらえないかという嘆願が主目的らしいな。

まあ酒造商会にとって枠を減らしてまで新たに手間暇かけて売り物になるかわからない物を作るより、確実に売れるエールを作った方がいい。

話を持ちかけるほうとしては最低限枠は欲しいだろうな。

領主が許可した上で枠も増える。 ひょっとするとお金を稼げるのか? となれば一蹴される事はないだろう。

そして今回作るのはウイスキー。

私も渡り人が持ってきたときは好んで買うが……まさか作れるとは思ってなかった。

もしかして他のお酒も……?

「通常のエールの枠の他に実験用の枠の確保を許可しよう」

協力を得るためならばこちらも協力しよう。

あちらの世界のお酒の需要は高い。

「今回来た渡り人の名前はなんて言ったかな?」





鍛治ギルド



「これを作るのか?」

「はい。 出来ますか?」

「時間があれば作れるとは思うが……なんに使うんだ?」

鍛治ギルドのギルマスに紹介された鍛冶屋へ来た理由は桜さんから渡された本に記載された蒸留機を作成するためだ。

エールとウィスキーの作り方は基本的には似ていた。

エールを作成する際に途中で蒸留という工程を経ることにより酒精の強いお酒となる。

ここの職人の問いに笑みで返す。

「いえねぇのかい。 まあいいさ。 金さえあれば作ってやるよ」

職人のエイハブはぶっきらぼうにそう言うと私が持ってきた仕様書を眺めた。

「見たことない形だな。 面白そうだ」

「加熱しますので火に強く、液体を入れるので液漏れしないようにお願いします。 容量はそこにも書かれてますが一樽半入るようにしてください」

「ここの冷却部分は? ここもそれくらい容量必要なのか?」

「そこは冷やす部分なのでそこまで容量はいりませんその下に冷やした液を入れる容器を置きます」

「ふー……ん」

「素材はこちらで用意した銅で作ってください。 これで宜しければ契約書にサインをお願いします」

「分かった……こんなに貰えるのか!!」

契約書を見て目を輝かせるエイハブ、無愛想な顔はなんだったのかというかような満面の笑みを浮かべサインをしてを差し出してきた。

その手の皮は厚くがっしりしており真面目に仕事に取り組んでいることが伺えた。

「こんな気前の良い仕事は初めてだ。 ありがとう」

「こちらこそよろしくお願いします」

奥さんは確か病気だったはず。

薬代にと多めに依頼料を出していて良かったと彼の表情を見て思った。

鍛冶屋を後にし後の準備はと考える。

領主からは共同事業について枠の拡充の許可は得た。

樽の手配は済んだ、銅の手配も済んだ、麦も大手の商会に発注済み。

後は……酒造商会か。
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