異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

文字の大きさ
上 下
115 / 274
第三章

115話目

しおりを挟む




その後1週間かけ森を調査し冒険者ギルドに報告に行ったらガドラスさんに声をかけられた。

「調査は終わったか? 領主様から手紙を預かってるぞ! 領主様街を救った二人に逢いたいと言われてるんだが、相良が戻ってきてから会ってはもらえないか?」

「は?!」

救ったって……あれ? 防御魔法のこと? 私盾しか作ってないけど?

相良さんに至っては滅ぼすとこだった気がするんだけど?

いやいや……そもそもスタンピートの元凶私かもしれないんだけど?

待って考えがまとまらないよ!!

「ア……リガトウ…ゴザイマス」

ぎこちない動きで白い封筒を受け取る。

ひっくり返してみたら蝋でなんかの紋が刻まれていた。 これが封蝋か。

無言で封筒を眺める。

ガドラスさんも無言になる。

「……断ることできますか?」

「は?! 無理に決まってるだろ! 相良が戻ってきたら返事しておくから空いてる日教えてくれ! いいか? いや、頼むからな!! 領主様からの頼みなんだ!!」

そう必死に言うガドラスさんの声を背に自宅に戻った。

洗浄の魔道具を使用して綺麗にすると椅子に座り込んだ。

一旦心を落ち着ける必要があるぞ?

えっとマーカスさんの話と合わせると……カタログギフト使用して通路を開けたら魔力が流れ込んで魔獣が増えた?

私が数えられないくらい使用した結果が今回のスタンピート?

ネーアの街がピンチになって相良さんと共に救った?

原因作って解決した?

……なんていうマッチポンプ!!

頭を抱えた。

死人が出てなくてよかった!! 灯里!! 相良さんありがとう!!

この場にいない二人に感謝をした。

それで……領主様のお呼び出しってなに?!

バレたの?! マッチポンプバレた!?

椅子から立ち上がり右往左往する。

あれ? なんか忘れてないか……?

うーんと腕組みをし考え込む。

「あ……」

待って……待って待って待って。

通信の魔道具であるイヤーカーフを慌てて掴むと声をかけた。

「相良さん!! 倉敷さん!! どっちかいませんか!?」

ヤバい!! 王都にもスタンピートが発生しちゃう!!

あわわわわと慌てるが返答はない。

どうしようどうにかして知らせないと!!

馬……馬に乗って知らせに……って私馬乗れない!!

「相良さん!! 倉敷さん!! どっちか返事を……返事をしてくださいー!!!!」

もはや半泣きだ。

「ん? なんだ? そんなに叫んで?」

倉敷さんのほうから返答があった。

「倉敷さん!!!! 大変なんです!!」

「どうした?」

「王都でスタンピートが発生しちゃうんです!!」

「ああ……それか。 今相良が狩りに行ってるぞ」

「えっ? 狩り?」

「それよりもなんか知ってるのか? これのせいで相良に足止め食らったんだが」

「ってことはまだ王都なんですか?」

「ああ」

「実はですね……」

倉敷さんにマーカスさんの話をした。

その上でカタログギフトが原因かもしれないと伝えると

「つまり素材取り放題ってやつか」

とあっさり言った。

「え?」

「カタログギフトを使えば魔獣が増やせるんだろ? ってことは魔道具作り放題じゃないか」

ん?

そうだけどそれでいいのか?!

「桜は取り寄せ放題、相良は魔獣で魔法の実験、俺は魔獣の素材で魔道具作り放題。 丸く収まるじゃないか」

あれ? 本当だ? ……いや違う。

「ネーアの街で大量発生してみんな大変だったじゃないですか?」

「相良がまとめて倒せるくらいだろ?」

「スタンピート前は魔獣が減るって……そしたら冒険者の人たちにも迷惑がかかるじゃないですか」

もうすでに迷惑をかけてしまっている。

「じゃああれだ。 そっちに行ったらカタログギフトの影響範囲調べるぞ。 そんなに広くないだろうからな」

ネーアの街で使用すればネーアの街の森で、王都で使用すれば王都の森でスタンピートが発生したんだからな。

と倉敷さんに言われやるべきことが見えてきたおかげか少し落ち着いた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

処理中です...