異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

文字の大きさ
上 下
113 / 274
第三章

113話目

しおりを挟む



「ここが下級地竜が出た場所か」

「そうですよ」

魔獣が落ち着いたと言うことでガイラスさんからお呼び出しがあった。

冒険者ギルドへ行くと私の他に高梨さんとハンスさん達がいた。

「あれ? 高梨さんも呼ばれたんですか?」

「ああ、桜さんも呼ばれたのか」

「私達もいるよー」

「今日はよろしくね」

「よろしくお願いします。 呼び出しってなんでしょうね? ハンスさんは何か聞いてますか?」

「ああ聞いてるぞ。 俺から聞くよりギルマスの所へ行こうか」

そうですね。 と皆で職員に案内されギルマスの元へと向かった。

コンコンッとノックをし中へ入る。

中にはギルマスのガドラスさんの他に荷物を背負った白髪の小柄なお爺さんが居た。

「おお! 来たか」

失礼しますと皆で部屋に入る。

そして呼び出しの内容説明があった。

端的に言うと調査の護衛らしい。

正しく言うと、今回のスタンピートの規模が類を見ない程の大規模だったので、領主様から依頼を受けたスタンピートの研究をしているお爺さん、マーカス=ファーマンさんが調査をする事になったらしい。

ハンスさん達は護衛、高梨さんはどこにどんな魔獣が出たか説明、私は主に最後の地竜関係の説明。 討伐したの私じゃないけど……まあ……相良さんの代打らしい。

今日は顔合わせで二日後から森で調査をする事になった。



「ほうほう……西門はホブゴブリンやウルフ類の他にシルクスパイダー森の方には上位種ダークウルフにトレントにオーガツリーか…」

一日目は西門から森の手前まで、二日目は北門から森に入るまで、三日目以降は森の中での調査になる。

マーカスさんは紙にメモを取りながらあちらこちらと高梨さんの案内で見て歩く。

私とハンスさん達は後ろからついて歩いた。

「改めて見てもよく死者が出なかったわね」

それを見ながらクイナさんが呟いた。

魔獣は回収されたが戦いの跡は残っていた。

低ランクの冒険者が刺さった矢や壊れた防具の破片なんかを探している。 あれは何をしているんだろう?

「あれは拾って鍛治ギルドに持っていくとお金になるんだ。 金属だから溶かしてしまえばまた武器や防具にできるからな」

「そうなんですね」

なるほどと思いながら足を動かした。

「ぁあ!! オーガツリーの実が……」

地面のべちゃっと割れているオーガツリーの実があった。

それを発見して勿体無い勿体無いと言うイリスさん。 

……あの場面では勿体無いもへったくれもないと思ったが口に出さないでおいた。

「ハンスさんハンスさん」

「ん? なんだ?」

「スタンピートの調査ってこんな感じでやるんですか?」

「いや……いつもだったら森の中を散策して沸き具合が通常並だったら終了って感じだ。 毎回こんなことはしないさ」

「そうなんですか……なにか原因分かるといいですね」

「そうだな。 流石に肝が冷えたもんな。 流石にこんなのはごめんだな」

そう言ってハンスさんは苦笑した。

一日目は特に魔獣とも遭遇せずに和やかに終了した。

「ここがキラーアントの巣か!!」

今日は北門相良さんがサクッと水責めしたキラーアントの巣を外から見ている。

キラーアントの巣は何層かに分かれているらしい。

まず地上から直角に数メートル掘られている。

いくつかの部屋が掘られ繋がりまた下に掘り部屋が作られ、最下層には繁殖部屋や育児室なんかがあるらしい

人は入れるけど暗く道幅も狭い箇所もあり通常は駆除が大変みたい。

クイーンアントに辿り着くまでに大量のキラーアントと対峙しなければならないから。

死骸の回収も大変だったと聞いた。

「よし! 入るか!!」

マーカスさんが年齢に見合わないほど元気よくそう言って入った巣は、小型の動物くらいの大きさのキラーアントが大量に居ただけあって待機部屋はかなり広かった。

土壁は水浸しのした割にはドロドロしておらず硬かった。

高梨さんが光魔法を使って調査を行った。


二日目が終わってマーカスさん含めた皆で夕飯を食べにいく事になった。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

処理中です...