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第三章
113話目
しおりを挟む「ここが下級地竜が出た場所か」
「そうですよ」
魔獣が落ち着いたと言うことでガイラスさんからお呼び出しがあった。
冒険者ギルドへ行くと私の他に高梨さんとハンスさん達がいた。
「あれ? 高梨さんも呼ばれたんですか?」
「ああ、桜さんも呼ばれたのか」
「私達もいるよー」
「今日はよろしくね」
「よろしくお願いします。 呼び出しってなんでしょうね? ハンスさんは何か聞いてますか?」
「ああ聞いてるぞ。 俺から聞くよりギルマスの所へ行こうか」
そうですね。 と皆で職員に案内されギルマスの元へと向かった。
コンコンッとノックをし中へ入る。
中にはギルマスのガドラスさんの他に荷物を背負った白髪の小柄なお爺さんが居た。
「おお! 来たか」
失礼しますと皆で部屋に入る。
そして呼び出しの内容説明があった。
端的に言うと調査の護衛らしい。
正しく言うと、今回のスタンピートの規模が類を見ない程の大規模だったので、領主様から依頼を受けたスタンピートの研究をしているお爺さん、マーカス=ファーマンさんが調査をする事になったらしい。
ハンスさん達は護衛、高梨さんはどこにどんな魔獣が出たか説明、私は主に最後の地竜関係の説明。 討伐したの私じゃないけど……まあ……相良さんの代打らしい。
今日は顔合わせで二日後から森で調査をする事になった。
「ほうほう……西門はホブゴブリンやウルフ類の他にシルクスパイダー森の方には上位種ダークウルフにトレントにオーガツリーか…」
一日目は西門から森の手前まで、二日目は北門から森に入るまで、三日目以降は森の中での調査になる。
マーカスさんは紙にメモを取りながらあちらこちらと高梨さんの案内で見て歩く。
私とハンスさん達は後ろからついて歩いた。
「改めて見てもよく死者が出なかったわね」
それを見ながらクイナさんが呟いた。
魔獣は回収されたが戦いの跡は残っていた。
低ランクの冒険者が刺さった矢や壊れた防具の破片なんかを探している。 あれは何をしているんだろう?
「あれは拾って鍛治ギルドに持っていくとお金になるんだ。 金属だから溶かしてしまえばまた武器や防具にできるからな」
「そうなんですね」
なるほどと思いながら足を動かした。
「ぁあ!! オーガツリーの実が……」
地面のべちゃっと割れているオーガツリーの実があった。
それを発見して勿体無い勿体無いと言うイリスさん。
……あの場面では勿体無いもへったくれもないと思ったが口に出さないでおいた。
「ハンスさんハンスさん」
「ん? なんだ?」
「スタンピートの調査ってこんな感じでやるんですか?」
「いや……いつもだったら森の中を散策して沸き具合が通常並だったら終了って感じだ。 毎回こんなことはしないさ」
「そうなんですか……なにか原因分かるといいですね」
「そうだな。 流石に肝が冷えたもんな。 流石にこんなのはごめんだな」
そう言ってハンスさんは苦笑した。
一日目は特に魔獣とも遭遇せずに和やかに終了した。
「ここがキラーアントの巣か!!」
今日は北門相良さんがサクッと水責めしたキラーアントの巣を外から見ている。
キラーアントの巣は何層かに分かれているらしい。
まず地上から直角に数メートル掘られている。
いくつかの部屋が掘られ繋がりまた下に掘り部屋が作られ、最下層には繁殖部屋や育児室なんかがあるらしい
人は入れるけど暗く道幅も狭い箇所もあり通常は駆除が大変みたい。
クイーンアントに辿り着くまでに大量のキラーアントと対峙しなければならないから。
死骸の回収も大変だったと聞いた。
「よし! 入るか!!」
マーカスさんが年齢に見合わないほど元気よくそう言って入った巣は、小型の動物くらいの大きさのキラーアントが大量に居ただけあって待機部屋はかなり広かった。
土壁は水浸しのした割にはドロドロしておらず硬かった。
高梨さんが光魔法を使って調査を行った。
二日目が終わってマーカスさん含めた皆で夕飯を食べにいく事になった。
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