異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

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第三章

108話目

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相良さんと春子さんと別れて家に帰ると洗浄の魔道具で綺麗に着替えをしベッドに飛び込んだ。

「疲れた……」

ほぼ徹夜状態で朝を迎えた為疲労困憊だ。

ベッドのふかふかとした心地よさにうとうと微睡む。

あっちの世界の物を広めるとしたら何をすれば良いんだろう。

要りますか? と話を持ちかけても遠慮からか要らないって言われるし。

高価なものって認識されてるから無理にあげても美味しいとか便利とか建前言うしか無いよね。

本音を言ってもらうにはそれだと意味ないし。

逆に無料でばら撒く?

ただばら撒くだけじゃダメだよね。 それはそれで殺到しそうだし。

商業ギルドに持ち込む? あれって物の流れどうなってるの?

出来ればお金持ちだけじゃなく色んな人に知ってもらいたいな。

どうすれば良いんだろう。

気軽に色んな所で売れたら良いのに。

あぁ……低価格で売ったら他の人の邪魔かな? すぐに在庫も無くなるだろうし……。

色んなところにお店を開く? 移動だけで手一杯だよね。

「おーい」

そんな時に耳元から倉敷さんの声が聞こえた。

「はーい」

「悪い悪い寝落ちしてた」

だから途中から無言だったのか。

「こっちは今から寝るところです」

「と言う事は……スタンピート終わったのか?」

「大元は何とかなったみたいです。 今は冒険者の皆さんで残党狩りしてます」

「素材ザクザクだな。 どんなのが居たんだ?」

「確か……って相良さんに確認して下さいよ。 私眠いんですけど」

「相良は応答ないんだ。 多分落ちてる」

先を越されたか。 私もこれ外しておけば良かった。

「うー……確か相良さん地竜仕留めたはずですよ。 あと蟻とか蜘蛛とか鬼っぽいの居ました」

「地竜か!! …………うっせえジジイ黙ってろ!! と悪い。 相良が仕留めたんだな」

マッヘンさんが騒いだのか。

うとうとしながら聞く。

……あれ? 私なんでこんな話聞いてるんだっけ?

確かあっちの世界の物を広めるにはどうすれば良いか考えてたはずなのになー……。

「倉敷さん。 あっちの物を広めるアイディア無いですか?」

「タダで配るのか? 販売か? 商業ギルドで買取してくれるよな?」

無料……。

広めるにはやっぱり無料で配るのが手っ取り早いよね。

でも継続しなければその場限りで終わってしまうもんなぁ。

貰った物として記憶に残るかもしれないが日常に埋もれてすぐに忘れてしまいそうだし。

と言うか価値を見出してくれる人が大勢居るにも関わらず無料で配ったら、その人達に喧嘩を売るようなもんじゃないのか? とも思ってしまう。

ハンスさん達なんか星金貨まで払ったのに。

「無料では配らないです。 ……そうなんですけどねーそうじゃないんです。 出来れば色んな人に知ってもらいたいんですよ。 商業ギルドで買取してもらったらどこで販売されるんですか?」

「どこで販売されてんだろうな? 俺は見た事ないが。 ……って知って貰うったって……なら自分で売るしかないんじゃねーの?」

「そうですよねー……」

「売るにしても店舗販売か?露店販売か?」

 「それだとここら辺だけになりますよね」

「最初は小規模からでいいんじゃないか? んで軌道に乗ったら……その前に色々と絡まれそうだな」

「私貴族とかの対応無理ですよ。 言いくるめられる自信ありますもん。 倉敷さん委託販売お願いして良いですか? 何でも取り寄せるんで」

「断る。 今でさえ面倒くさいんだ。……なら……ちょっと待てよ」

「はい?」 

「自販機でも作ろうかと思ってな。 桜が直接行かずとも例えば自室から補充出来れば自販機で充分だろ。 
設置だけして対応はシャットアウト。 具体的に欲しい機能言ってみろ。 作れる作れないは別にしろレシピ出来るか試してやるよ」

自販機!?

ガバッとベッドから起き上がると居住まいを正した。
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