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第二章
102話目 撤退と説教
しおりを挟む門のすぐそばにあった仮説の冒険者ギルドで目の下にクマを作ってるギルマスのガドラスさんへ春子さんが報告するとガドラスさんは血相を変え慌てて外へ駆け出してしまった。
「西に居るダリオに冒険者の撤退命令をさせるよう連絡しろ!! 急げ!!」
「は……はい!!」
指示された職員が西門に向かった。
聞けばダリオさんと言う人が副ギルマスらしく、副ギルマスから同じように冒険者へ指示をするらしい。
本当は西門の仮設テントにガドラスさんがいたそうだが北門の方が被害が酷いとの事で北門に移ったらしい。
外に出たガドラスさんの後を追い北門の外へ行く。
ガヤガヤと騒がしい冒険者や血まみれの冒険者、運ばれている魔獣の骸を避けてズンズン進むガドラスさん。
着いていくのがやっとの私と涼しい顔して着いていく春子さん。
門の外に出て辺りを見渡すとガドラスさんは息を吐いて思いきり吸い込んだだ。
「お前ら今すぐ撤退しろ!!!! 全員戦闘を終え門の中に入れ!!」
「え? …あっやば!!」
「なんだ?!」
「撤退って無茶な……ぅおおっ」
「どうやって撤退すんだよ!!」
「誰だんなこと言ったのは……ギルマス?!」
いきなりそんなことを言われた冒険者たちは混乱し魔獣に怪我を負わせられた者もいた。
「春ちゃん撤退のサポート頼む。 桜は……って何で着いてきてるんだ?! 危ないからあのまま中に残ってろ!!」
私が着いてきた事にギョッとしたギルマス。
いや……私が外にいないとダメなんですよ。
「私が相良さんとやりとりしてたんです。 私も撤退サポートします」
「いや……しかし……やりとりを教えて貰えば俺が対応する。 中に入ってくれ」
ギルマスと会話をしてたら門の方から声がした。
「シリウスさん?!」
「なんか表情やばいぞ……?」
「おい!逃げろ!!」
その声にギルマス共々振り返る。
「シリウス……?」
「何?」
私をこの前投げ飛ばした冒険者が居た。
目の焦点が合っておらず何やらブツブツ呟いている。
異様な雰囲気に他の冒険者も遠巻きに様子を伺っている。
シリウスさんを中心にぽっかり空間が空いていた。
……?
「お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだ」
怖っ。
私あれから会ってないけど何なのこの人!!
「シリウス? お前何言ってるんだ?」
ピタッと動きを止めていたかと思ったら後ろに少し重心が下がった。
あ……こっち来る。
そう直感すると同時にシリウスさんがこちらに駆け出した。
「光盾!!」
余裕がある時は無詠唱でもイメージ出来るが声に出した方がイメージしやすい。
咄嗟に声に出してシリウスさんと私の間に光魔法で防御をした。
ガンッ!!!!
私が発動させるのが早かったらしい。
防御魔法にシリウスさんの剣がぶつかった。
その隙に防御をジリジリ広げ私の周りを覆った。
「お前のせいだお前のせいだ、お前のっせいだっ!!!!」
ガンガンと防御魔法に剣を打ち付けるシリウスさん。
怖っ何この人病んでるじゃん!!
シリウスさんの攻撃は魔力が桁違いの私の防御魔法を破れないらしい。
攻撃を喰らわないと分かってマジマジと観察した。
「何なんですか!! 私が何かしたんですか!!」
「うるさい!! お前が本宮様をたぶらかしたんだ!!!! お前がぁああああ!!」
灯里に何か拒否られたのかな?
と言うか灯里が何と言おうが灯里自身には代わりないじゃないか?
シリウスさんが思う灯里像を壊したら駄目なの?
何であんたに灯里が合わせなきゃ何ないの?
……理不尽にキレられてだんだん苛々してきた。
「ふざけんな!! 灯里はお前の物じゃない!! 灯里は灯里の物だ!! 変な妄想押し付けるんじゃない!!」
「何してるんですか!!」
皆んな遠巻きに囲んでる。
誰かが灯里を呼んできたのか灯里が何かに気づいて来たのか分からないがそこに灯里が居た。
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