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第二章
94話目 防御
しおりを挟むあの後ハンスさんにマッヘンさんと倉敷さんの所に連れてってもらうと、ハンスさんはその足で補給へと行ってしまった。
「ネーアの街がそんな事になってるのか」
倉敷さん達に状況を説明すると雑談をするかのようにあっさりとそう言われた。
「ヒポグリフか。 あやつは良い素材じゃのう。 風属性が付与しやすいし暖かいし……そんなに沢山居るのか。 欲しいのう」
マッヘンさんは凶暴性よりも素材としてしか見ていない。
「魔獣って怖いね。 王都じゃなくて良かった」
菅井さんに至っては他人事だ。 いや他人事だけど……。
「私に何かできないかな……」
「え? 何とかできると思ってんの? 攻撃魔法得意なのか? 回復魔法得意なのか?」
「防御魔法なら出来るよ!」
倉敷さんにお前本気で言ってんのかと言われた。
確かに私は行っても無駄かもしれない……でも何もしないのも歯がゆい。
「大体ここからネーアの街までどれくらいあると思ってんだ。 お前ここまで来るのにどんだけ掛かった? 今から行っても無駄だ」
倉敷さんに言われて気づいた。
確かに一週間以上かかった。
交通網が発達しているあっちと比べてこっちは長距離移動はそれなりに時間がかかる。
「待てよ……防御魔法か……」
「透そんなに責めるでないて。 知り合いも居るじゃろ? 心配な気持ちは分かるじゃろ」
倉敷さんは呟いた後相良さんを見てニヤリと笑った。
「なら尚更適役がここに居るのにわざわざ戦力外のやつを行かせるのか?」
適役?
倉敷さんの言葉でマッヘンさんと菅井さんがさっきから黙ってる相良さんを見た。
つられて相良さんを見ると……。
どの魔法なら効率よく狩れるか? 現地の冒険者の撤退方法は? 被害を出さずに素材を傷めずにする魔法は? タイムアタックも楽しそう……と薄ら笑いを浮かべながらブツブツ呟いている。 なんか恐ろしい。
「相良なら魔法で行けるだろ? 魔力回復してあんだし。 サクッと行って素材たんまり稼いで来い」
「もちろん!」
思考の海から戻ってきた相良さんは魔力を初めて回復した時のような笑顔を見せた。
「魔法で行けるなら私も!」
攻撃魔法や回復魔法は使えないけど……相良さんの特訓で光魔法の防御魔法は使える。
魔獣の攻撃を防ぐことは出来るはずだ。
「それが前提だ」
「そうですね……。 私の魔法から街を守ってもらいますか」
……そっちから!?
その言葉に驚き相良さんを見た。
「助けるなら……確かにそっちの方が必要だからな」
倉敷さんは笑った。
「自ら魔獣に襲われている怖い街に行って相良さんのとんでもない魔法を受けるなんて……。 頑張って」
「素材は高ランクの物ならなんでも嬉しいぞい」
「あ……そうか! 桜さんが一緒に行ってくれるなら速度気にしなくていいのか! 一緒に最短記録目指そう」
相良さんは何か怖いことを言い始めた。 最短記録って何の?
「そうだな。 桜が防御魔法張って相良が風魔法使えば障害なんて屁でもないな。 どれくらい短縮できるか楽しみだ。 報告待ってるぞ」
自分から言い出したことだけどちょっとだけ後悔した。 私ジェットコースター系苦手だよ!!!!
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