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第二章
92話目 スタンピード
しおりを挟む冒険者ギルドにて
「よし。 良くやってくれた」
討伐完了の報告に胸を撫で下ろす。
昨日はフォレストウルフの討伐完了、
今日は丸二日掛かったゴブリンの集落の殲滅完了の報告が届いた。
「これでスタンピートも終わるだろう」
流石にこれ以上はもう無いと思いたい。
ゴブリンの集落も発見してからも数を増やし最終的には千にも届く数になったんじゃないか?
だが重傷者や軽傷の怪我人は多く出たものの神官と灯里のおかげで死者は出ていない。
机に地図を広げゴブリンの集落を記したマークにバツを書き入れる。
この集落にはホブゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンシャーマン、ゴブリンナイトまで沸いていた。
クイーンとキングまでは出なかったらしいがいてもおかしく無い規模だ。
ゴブリンナイト何て久しぶりだ。
桜の件でシリウスには処分を下したかったが……この規模で居なかったら冒険者に犠牲が出ていたかもしれない。
本部の采配に助けられてしまった形だ。
桜と灯里には申し訳ないな……。
「どれ冒険者を労うか……」
ドンドンッ
「なんだ?」
「失礼します。 ギルマス大変です!!」
ゴブリンの集落を殲滅し後片付け中
「アイテムボックスと鑑定持ちは楽でいいな」
討伐部隊は街へと帰還し後片付け中。
Cランク以下の冒険者数十人と共にあちこちに散らばるゴブリンの死骸を回収し一箇所に集めていた。
あらかたから集めると死骸から魔石を取り出し穴の中に投げ入れる。
「まあね。 そのお陰で作業が早く終わるんだろ?」
「まあ……そうだな。 助かる」
この作業は殲滅戦とは別口の依頼だ。
貢献率とか関係なく一律で依頼料が支払われる。
殲滅戦に参加出来なかったDランク以下の救済措置だ。
だが臭くて汚くて汚れるこの依頼は不人気だった。
仕方なしに疲れた体を鞭打って参加した。
早く片付けないとこの気温だ……腐ってしまう。
その前に片付けないとなと精を出した。
「おいっ! あれ……」
「うわ……」
「ヤバい!!」
「ギルドに連絡だ!!!」
何処からか声が上がった。
ん? と作業を止めて顔を上げる。
皆が見ているのはもっと上だ。
視線を上げると騒ぐ意味がわかった。
「は?」
空を埋め尽くすほどの影が現れたのだった。
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