上 下
92 / 274
第二章

92話目 スタンピード

しおりを挟む





冒険者ギルドにて



「よし。 良くやってくれた」

討伐完了の報告に胸を撫で下ろす。

昨日はフォレストウルフの討伐完了、

今日は丸二日掛かったゴブリンの集落の殲滅完了の報告が届いた。

「これでスタンピートも終わるだろう」

流石にこれ以上はもう無いと思いたい。

ゴブリンの集落も発見してからも数を増やし最終的には千にも届く数になったんじゃないか?

だが重傷者や軽傷の怪我人は多く出たものの神官と灯里のおかげで死者は出ていない。

机に地図を広げゴブリンの集落を記したマークにバツを書き入れる。

この集落にはホブゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンシャーマン、ゴブリンナイトまで沸いていた。

クイーンとキングまでは出なかったらしいがいてもおかしく無い規模だ。

ゴブリンナイト何て久しぶりだ。

桜の件でシリウスには処分を下したかったが……この規模で居なかったら冒険者に犠牲が出ていたかもしれない。

本部の采配に助けられてしまった形だ。

桜と灯里には申し訳ないな……。

「どれ冒険者を労うか……」

ドンドンッ

「なんだ?」

「失礼します。 ギルマス大変です!!」






ゴブリンの集落を殲滅し後片付け中


「アイテムボックスと鑑定持ちは楽でいいな」

討伐部隊は街へと帰還し後片付け中。

Cランク以下の冒険者数十人と共にあちこちに散らばるゴブリンの死骸を回収し一箇所に集めていた。

あらかたから集めると死骸から魔石を取り出し穴の中に投げ入れる。

「まあね。 そのお陰で作業が早く終わるんだろ?」

「まあ……そうだな。 助かる」

この作業は殲滅戦とは別口の依頼だ。

貢献率とか関係なく一律で依頼料が支払われる。

殲滅戦に参加出来なかったDランク以下の救済措置だ。

だが臭くて汚くて汚れるこの依頼は不人気だった。

仕方なしに疲れた体を鞭打って参加した。

早く片付けないとこの気温だ……腐ってしまう。

その前に片付けないとなと精を出した。

「おいっ! あれ……」

「うわ……」

「ヤバい!!」

「ギルドに連絡だ!!!」

何処からか声が上がった。

ん? と作業を止めて顔を上げる。

皆が見ているのはもっと上だ。

視線を上げると騒ぐ意味がわかった。

「は?」

空を埋め尽くすほどの影が現れたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです

新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。 おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

処理中です...