上 下
88 / 274
第二章

88話目 倉敷さんの魔法

しおりを挟む
レシピが書かれた紙に魔石を置き手で触れる。

紙から錬成陣が浮き出し紙に置かれた魔石が消える。

錬成陣からブレスレットに嵌める石が出てきた。

「これで良いだろう。 魔力回復の礼だ」

倉敷さんに石を渡された。

「これは?」

「腕についている物理攻撃無効のオリジナルの奴だ。 これならSランクの攻撃も耐えられる筈だ」

「あ……ありがとうございます!」

一応防御魔法も使えるようになったけど更に頑丈になったね!

貰った石をじっと見る。

もしかして……とお返しに1銭を倉敷さんに渡した。

「?」

不思議そうな倉敷さんに微笑みかけ魔法を使った。

菅井さんから既視感あるなと声が聞こえた。

えーっと……石石と……。 あった!

魔力10使用し同じ物を出した。

「は?」

「じゃーん!!」

これでいくら攻撃されても補充し放題だ!

相楽さん含めみんな揃ってポカーンとした顔をしている。

「それ魔法か?」

「ですよ!」

「同じやつか? ちと貸してもらうぞ」

マッヘンさんに言われたので石を渡した。

「信じられん……」

石を確認し返して貰った。

「こっちで購入した物も魔法で出せるのか……」

「出せますよ」

「魔道具壊れた時なんで出さなかったんだ?」

珍しく表情を崩した相良さんに問われた。

「着けてた物が壊れたならより丈夫なのじゃないとすぐ壊れちゃうじゃないですか」

「まあ……そうだね」

「なあ……爺さん、鋼、王都に未練はあるか?」

「無いのう」

「無いよ」

「そうか」

倉敷さんはそう菅井さんとマッヘンさんに尋ねた。

「桜」

「はい?」

「お前が望む魔道具のレシピを提供する。 代わりに俺たちの魔道具作りに手を貸してくれないか?」

魔道具のレシピ!

オリジナル魔道具作れちゃうの?

でも……

「手を貸すって具体的に何するんです?」

「まず俺たちは拠点を王都からネーアの街に移動する。 それに当たって依頼されてる魔道具の複製を手伝って欲しい。 今ある素材を桜に望む金額で提供する。 今一銭渡したってことはそれが取り出す魔力量になるんだろう? 代わりにこちらが望む素材を魔法で出して欲しい」

つまり倉庫代わり?

「私こっちの人々の生活を壊すような事はしませんよ?」

「壊すこと? あぁ……違う違う。 複製品でボロ儲けしたいわけじゃない。 複製は今回だけだ。 と言うかそれは桜が出さなきゃ済む話だろう?」

「それもそうか」

「俺は自分はただ魔道具を作りたい」

「わしはその魔道具を解析して作り出したい」

「僕は色んな鉱石見れれば良いかな? 特に決まってないや」

「私は魔法を極めたい」

あれ? この人達それはそれで生活大丈夫か?

と言うか人のこと言えないけど今までそんなでよく無事だったね。

そっちの方が不安になってきたな。

「それなら良いですよ」

右手を倉敷さんに差し出す。

倉敷さんも私に手を差し出し握手を交わした。

「じゃあまず複製する魔道具どれです?」

「この洗浄の魔道具を50本に……」

元となる魔道具を作った側から1銭と引き換えにアイテムボックスに仕舞い言われた本数を魔法で出した。

「鋼! 商業ギルドへ行って納品して来い」

「はーい」

「あっという間じゃのう」

「次に今ある素材を複製してくれ」

「はいはい」

素材を渡されては必要数を魔法で出し渡していった。

「ほっほっほ! これだけあれば色々作れるわい」

マッヘンさんは素材の山を見てすごく嬉しそうだ。

「相良もたまには良い仕事するな」

「たまにはは余計じゃないかな?」

「これで貴族に借りを借りなくて済んだな」

「流石に今回ばかりは危なかったわい」

「えっ」

今日の作業の目処がついたのでハンスさんとユリウスさんが居るカフェへ行き宿に戻ることにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです

新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。 おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~

ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」 聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。 その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。 ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。 王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。 「では、そう仰るならそう致しましょう」 だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。 言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、 森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。 これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。

処理中です...