異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

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第二章

85話目 魔道具職人2

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「どうやって回復したんだ……いや……本当に回復したのか?」

自分で言っててあり得なさからか落ち着いたからか椅子に腰を下ろし胡散臭そうに相良さんを見る倉敷さん。

どう言うことかのう? と言っているマッヘンさんなんか可愛い。

「回復しましたよ」

「どうやって」

「ちゃちゃっと行ってきて」

「どこにだよ」

「日本です」

「……ダメだこりゃ」

相楽さんの冗談だと思ったようで肩をすくめて椅子に腰を下ろす倉敷さん。

「お薬用意してくるね。疲労回復でいいかな?」

相良さん疲れて変な妄想見た扱いになってる?

というか私いつまで蚊帳の外なんだろう?

「相良さん魔道具は……」

「魔道具? あぁ……そうか。 Sランク対策の魔道具だったな……。 今は素材が足らないからレシピ産は無理だ」

レシピ産って何?

「そうなんですか……」

頭を掻いてこちらを見る倉敷さん。 よく見ると目の下のクマ凄いな。

相良さんが言ったってことは回復しても問題ない、と言うか魔力回復方法を探す同士なんだろう。

アイテムボックスからカタログギフトを取り出し倉敷さんに差し出した。

「ん? なんだこれは?」

「どうやって作るか分かりませんが……これでも無理ですか?」

「カタログギフト? これを売れってか?」

「いえ違います。 使用して下さい」

「は?」

「相良さんどうしましょう。 ここ五人いますよ」

「とりあえずマッヘン爺を置いていきましょう」

「分かりました」

「なんかよく分からんがワシ置いていかれるのか」

しょぼんとするマッヘン爺さん。

まあ、しょうがない。

とりあえず最初に行ったところで良いですか? と、相良さんと最初に行った日帰り温泉を示す。

「そうですね。 私が透の名前入力するので桜さんは鋼の名前入れてもらって良いですか?」

「分かりました」

そう言うと私はアイテムボックスからもう一冊カタログギフトを取り出した。

「おい。 話が見え全く分からねえんだが」

相良さんは倉敷さんからカタログギフトを取ると名前を入力した。

「お待たせ取り置いてた薬切れてたから新しいの持ってきたよ……」

私も名前を入力し扉から菅井さんが現れると同時にはいを押した。

「ぇえー……旅館……?」

菅井さんは変わった景色を見てキョロキョロしている。

受付を済ませるとすぐさま相良さん達がやって来た。

「で?」

で? とは?

倉敷さんは一瞬驚いてすぐに冷静になったみたい。

開口一番の言葉がそれであった。

「驚きとかはないんですか?」

「驚いた。 それで?」

「旅館のドアから出ると戻ります」

「分かった」

「温泉入らないの?!」

こちらで話をしていたら菅井さんはウェルカム玉コンニャクを発見してたみたいで皆の分貰ってきてた。

一串貰い咀嚼する。 ここの玉コンニャク美味しい。

倉敷さんは玉コンニャクに見向きもせずドアへ一直線だ。 なんと言う強者。

受付してた相良さんが合流し倉敷の姿が見えないので行方を尋ねられた。

そこですよとドアに向かってると教えてあげた。

倉敷さんが戻ると言って聞かないので皆んなで帰ることにした。

菅井さんは玉コンニャクを咀嚼しながら名残惜しそうに落ち込んでた。

「マジか」

元の工房に戻り魔力を見た倉敷さんの言葉である。

「マジですよー」

「どこ行っておったんじゃ! ……ん? それは?」

置いてきぼりのマッヘンさんには急に人が消えたように見えたらしい。

そして菅井さんが持っている玉コンニャクに興味を惹かれたみたいだ。

「久しぶりの温泉入りたかった……」

倉敷さんの分の玉コンニャクをマッヘンさんに渡す菅井さん。

マッヘンさんは恐る恐る口にしていた。

ぶよんとした食感に衝撃を受けたようだった。

「鋼も確認しとけ」

「何を?」

「魔力だ」

「魔力? あれ……? 魔力回復してる! なんで?」

「そうかそうか……こっちで貰うじゃなくあっちから持ってくる……こう言うことか」

倉敷さんは納得した様子だった。

「とんでもない魔法だな。 さっきは当たって悪かった」

意外と素直。

「いえいえどう致しまして」

「とは言えこれで魔道具作り放題だ。 鋼! 魔石だ」

興奮した様子の倉敷さんが菅井さんに魔石を要求した。

「よく分からないけど分かったよ!」
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