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第二章
84話目 魔道具職人
しおりを挟む「……で?」
目つきの悪い男性は作業机に向かって何やら作業している。
「橋沼桜さんです」
相良さんが紹介してくれた。
「あ……宜しくね。僕は菅井鋼です」
気弱そうな男性が片手を差し出してきたので握手を交わした。
「今回の渡り人かいな? ワシはマッヘンだ。 宜しくのう」
ゴツゴツした手で握手を交わした。
「ほれ透も挨拶せえ!」
「はぁ……倉敷透だ。 お前の魔法はなんだ?」
これ見よがしにため息吐かれた。
「えっと……通販系です」
「通販……? おい相良。 なんで通販系なんて燃費が悪いやつ連れて来たんだ?」
燃費悪いなんて失礼な。 当たってるけども!!
「必要だからです」
「必要? あぁ……魔道具がか。 悪いが後回しだ。 そもそも素材が無い……ん? 通販系ならオークション出品で稼げるか? 上手くいけば素材も……」
なんかブツブツ呟き始めた。
「だから連れてきたんですよ」
えっ? 私売られるの?! 物だよね物なんだよね?!
「僕もまだ宝石出せるよ。 それと一緒に出品すれば今回出品されるハーピーの羽丸ごと落札できるんじゃない?」
「Bランクの素材か……宝石だけじゃ厳しかったな。 桜だっけか? 一番高価な物で何が出せる?」
やっぱり物だよね。 良かった……? あれ? なんで私オークション出品する流れになってるの?
「その話はまた後でお願いします」
倉敷さんの話をぶった切る相良さん。
「この依頼量分かるか? 全部押してんだ。 俺たちの分でさえ足りてねぇのにそいつの分まで用意出来ねぇぞ」
その様子にイラッとしたようだ。 少し言葉遣いが荒くなった。
なんか蚊帳の外に追いやられたっぽいので菅井さんが入れてくれたお茶を飲む。 ん? これ何味なんだ?
「そうじゃないです。 私が桜さんをここに連れてきた理由がまず先です」
はーっとため息を吐いて頭を掻く倉敷さん。 顎でしゃくって相良さんに続きを促す。
「まず過程が間違ってたんですよ」
「あ?」
「こっちの魔力を貰う方法ですよ。 それが間違いだったんです」
「お前……今更何言ってんだ?」
呆れたように言葉を返す。
「私達の魔力はあっちから持ってきたんです」
「……」
「あっちから持ってくるのが正解だったんです」
「……どういう事だ?」
相良さんの言葉に真剣に聞くべきと判断したようで手を前で組み考える素振りを見せる。
「持って来た……と言う言葉じゃ分かりませんか?」
「まさか……」
「回復しました」
「嘘だろ?!」
ガタッ
椅子から勢いよく立ち上がり相良さんに詰め寄る倉敷さん。
……話の流れからして魔力回復する方法探してたっぽいよね?
というか相良さん。
それまだ秘密じゃないのーーー!!
なんで簡単に話すの!? というか相良さんの手柄じゃないからね!! 私の手柄だからね!!
だがシリアスな二人の間に入る勇気はない。
喉元まで出かかった声を飲み込んだ。
と言うわけでコソッと菅井さんにお茶について尋ねた。
「このお茶美味しいですね。 なんの茶葉使ってるんですか?」
「ぇええー……この状況でそれ聞くんですかー……えっと……サマーベリーの実とこっちの茶葉をブレンドした物だよ」
「そうなんですか」
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