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第二章
79話目 花純さんと樹くん2
しおりを挟むその日の夜せっかくだから夕飯を一緒に食べようと花純さんと樹さんを誘う。
そしたら逆に花純さんに家で食べようと提案してもらったのでお邪魔することにした。
食事は村の食事処で注文しテイクアウト。
花純さんと樹さんの家は木の温もりあふれる感じの落ち着く家だった。
玄関入ってすぐがリビングになっていて奥がダイニング。
二人暮らしの家のテーブルでは足らないので私が持ってきたテーブルと椅子を追加で出す。
お食事処で注文した料理は村の名物料理、早採れ果物の漬物やレッドボアのザロクソース掛け等そんな感じの料理。野営じゃないのでお酒も今日は解禁した。
アイテムボックスから出来立て料理を出しテーブルに並べると早速みんなで食べてみる。
果物の漬物ってどんなものかと思ったけど美味しい。熟れる前のメロンの漬物みたい。
全然甘くなくシャキッとした歯応えがあって美味しい。ザロクソースも元々の味がグレープフルーツに似てるからお肉に合う。そしてそれらをエールで流す。うん!美味しい!
「そう言えば桜ー。 今日も果物沢山買ってたけど何に使うのー?」
「ん? 果実酒ですよ」
「果実酒?」
イリスさんに尋ねられた。
質問に答えた後も不思議そうな顔をしている。
そういえばオーフェンさんに出した時も初めて飲んだような事言ってたなぁ。
「飲んでみますか?」
「飲みたいー!」
イリスさんがそう言うのでドリンクサーバーに入れたサマーベリーとレモナの果実酒を出した。
「「「可愛い!」」」
女性陣三人の心に響いたみたいだ。 だろうだろう!
「これお酒なの?」
興味津々で聞いてくるクイナさん。
「お酒ですよ! あ、ここって果実水豊富でしたよね? 何種類か下さい!」
割る用の飲み物も出しておく。魔法で出したものではなく出発前に露店で買った果実水だ。
「この間飲んだリキュールとは違うの?」
「違……わない? 一緒? 分からないや」
クイナさんに質問されたけど違い分からないや。
そもそもリキュールってなんなんだ? 考えたことなかったな。
「飲んでもいーの?」
興味津々の花純さん。
「花純さん、一応確認です。成人してますか?」
「はい!こっち来てから成人しましたー。 今23歳です!」
「ならばよし!」
花純さんのコップを受け取りアイテムボックスから製氷出来る魔道具を出して氷を入れる。
度数強いから少なめに……と。
2対8になるように果実酒をコップに注いだ。
「割る飲み物は何が良い?」
「そのままで!」
「それはやめて」
問答無用でレモナの果実水を注いだ。
レモナ同士で悪い味にならないでしょ。
マドラーでかき混ぜ花純さんにコップを渡す。
花純さんはフンフンと匂いを嗅ぎコップを掴むと一気飲みした。
「美味い! おかわり!」
「は?!」
いやいやいやいや……ジュースじゃないから!!
一応クイナさん達をみて先注いであげてと言われたので同じような希釈で再度作ってあげた。
花純さんは同じようにコップを掴み飲もうとした。 ら……。
「お酒はジュースじゃないからねー!!」
イリスさんにコップを上から押さえられた。
イリスさんが気遣ってる!!
「分かってるよ? お酒はお酒だよ?」
「ヘロンヘロンになるよ。 これは怖ーいお酒何だからねー!」
経験者は語った。
花純さんとイリスさんのやりとりを見つつクイナさんのお酒を作ってあげた。
「ありがとう!」
私はさらにイリスさんの分のお酒を作り始めた。
クイナさんは受け取ったお酒の匂いを嗅いでいる。
こっちの果物のお酒初めてと嬉しそうだ。
「お? なんだそれ」
女性陣でわちゃわちゃしてたらハンスさんも参戦してきた。
「サマーベリーとレモナの果実酒ですよ。 ハンスさんも飲みますか」
「果物のお酒? そっちの世界のお酒じゃないのか?」
「まあ、お酒自体はそうですが果物はこの間ハンスさん達から頂いたものです」
「へー……そんな風に使われたのか。 俺にも少し飲ませて貰えないか?」
「良いですよー! 他に飲みたい方いますか?」
そう聞くとユリウスさんも果実酒を知っている相良さんも手を挙げた。
「果物のお酒か実に興味深い」
「こっちの果物のお酒初めてだね」
三人に作ってあげると……
「俺は?」
ぶっきらぼうに樹さんに言われた。
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