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第二章
81話目 花純さんと樹くん
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「……っそれなら元の世界の物売ってくれないか? お金は払うから」
「良いよ。何が……」
この場合はいくらで売れば良いんだ?
前に高梨さんは金貨100枚出したよね……。
前にハンスさんが言った金貨1枚で100円? それともあっちの価格で10000円で金貨1枚?
うーん……適正価格が分からない。
「皆さんにご相談があります」
私一人じゃ決めかねたので相談することにした。
みんなそれぞれ会話してたのを止めてこちらを見る。
視線が集まったのを確認して口を開いた。
「あっちの世界の物って購入したいですか?」
ハンスさん達はキョトンとしている。
花純さんは瞳を輝かせ首がとれるんじゃないかってくらい頷いている。
樹さんは何を当然と言った感じで首を傾げてる。
相良さんは静かに微笑んでいる。
「別にお金が欲しいわけじゃないんです。 だからこそ金額設定が難しくて……」
「ならこの間俺が言った金額でいいんじゃないか?」
「金貨1枚に対して魔力100って事ですか?」
「そうだ」
「あちらの金額知ってるからぼったくりに思えてしょうがないんですよ」
「安くしすぎるとすぐ帰ることになるぞ?」
「でも……」
魔力回復できるんですもの。
これはまだ内緒なので言わない。
だから尚更ぼったくりに思えてしまうんだ。
「なら花純、樹は高いと思うか?」
買いたいと言っていた二人に話が振られる。
「高いと思わない」
「むしろ安い!」
それであっちのものが買えるならね! と笑う花純さん。
そう言うものなのかな……。
「分かりました。 なら……樹さん、金貨1枚で100円。 いくら分買いますか?」
「いいのか?」
「はい」
「商品見せてもらうこと出来るか? 見てから決めたい」
「良いですよ」
一応魔力は見せてもおかしくない量に調節はしてきた。
残高9,347,890だ。
毎日見せるわけでもないし適当にそれっぽい数字にした。
魔法を出してタブレットを二人に見せる。
「うわーいっぱいある!! アイス食べたいアイス! クッキークリーム!」
「ファストフードも色々あるな」
二人で……主に花純さんがハイテンションで選んでる。
そうして二人が選んだ金額は星金貨1枚分。
出してそうそう花純さんはアイスを頬張っていた。
「幸せ~」
ほぼほぼ花純さんが選んだ物だったが樹さんは満足そうだった。
「ハンスさん達も購入しますか?」
「俺らはいい。 この旅で十分出してもらってるからな。 というか無駄遣いすんなよ」
なんかハンスさん達は常に残りの魔力に対して気を回してくれてるな……。
「……何でそんなに気にしてくれるんですか?」
「ん?」
「だって私達会ってまだ間もないじゃないですか。 何でそんなに良くしてくれるんですか?」
私の質問に苦笑いするハンスさん。
「桜は何で俺たちにあっちの世界の食べ物食べさせてくれるんだ?」
逆に質問され返された。
「美味しいものを食べて共感して欲しかったから……」
「俺たちだって一緒さ」
「一緒?」
「桜はまだこっちに来て間もないだろ? 町だって一つしか知らない。 食べ物だって観光だってまだまだ体験したことない事だらけだ。 桜だって元の世界が好きだろ? 俺らだってこの世界が好きだ。 桜が思うように俺たちだってこっちの美味しいもの沢山食べてさせて旨いって言わせたい。 色んな場所に行って楽しんで貰いたい。 自慢したい。 まあ……今のところ桜に驚かされる方が多いがな。 ……だがそれには時間が必要だ。 渡り人は魔力が無くなったら戻っちまうだろ? 戻ったら自慢できなくなるじゃないか。 長くこっちに居て欲しい。 それが理由だ」
「それに桜は人が良いからね」
「危なっかしい」
「危機感足らないねー!」
散々言われた。
こっちにはこっちの良さがある。
ハンスさん達の言葉に共感してしまった。
「なら色々教えて下さい。 私美味しいもの大好きなんで! 貰った果物は美味しかったです!」
自慢か……そうだね。 自慢。
ハンスさん達だけじゃなくこっちの人に元の世界の事自慢したいな。
そんでお返しにこっちの世界自慢して欲しいな。
そのためには何をすれば良いんだろう?
物を配ったりしたらダメだよね?
何かいい方法ないかな。
出発前のモヤモヤした気持ちがほんの少しだけ晴れた気がした。
よーし飲むぞ!
「ハンスさんありがとうございます! ならばこの間の果物で作った果実酒他にも種類あるのでみんなで飲み比べしませんか!」
アイテムボックスに入っていた机を出して果実酒を並べていった。
最初は嬉しそうだったイリスさんとクイナさんだったが全て出し終える時には口をあんぐり開けてポカーンとしてた。
あっはははは多すぎー! と花純さんは笑った。
翌日みんなで揃って二日酔いになった。
最初の御者は出発時に比較的症状がマシなユリウスさんと相良さん。
相良さんも御者出来るんだとびっくりしたのは内緒だ。
護衛も兼ねてるので相良さんが光魔法を使って皆を治してくれた。
私も是非取得したい。
索敵はユリウスさんが魔法でやっているらしい。
相良さんとユリウスさんが話していた魔法談義でさらに改良できたとか何とか言ってたな。
「どうぞ」
スポーツドリンクをみんなに渡して喉を潤す。
症状が治ったと言っても喉の渇きは消えないからね。
「「ありがとう」」
「助かる」
その後の道中は特に魔獣に遭遇するでもなく王都に辿り着いた。
「良いよ。何が……」
この場合はいくらで売れば良いんだ?
前に高梨さんは金貨100枚出したよね……。
前にハンスさんが言った金貨1枚で100円? それともあっちの価格で10000円で金貨1枚?
うーん……適正価格が分からない。
「皆さんにご相談があります」
私一人じゃ決めかねたので相談することにした。
みんなそれぞれ会話してたのを止めてこちらを見る。
視線が集まったのを確認して口を開いた。
「あっちの世界の物って購入したいですか?」
ハンスさん達はキョトンとしている。
花純さんは瞳を輝かせ首がとれるんじゃないかってくらい頷いている。
樹さんは何を当然と言った感じで首を傾げてる。
相良さんは静かに微笑んでいる。
「別にお金が欲しいわけじゃないんです。 だからこそ金額設定が難しくて……」
「ならこの間俺が言った金額でいいんじゃないか?」
「金貨1枚に対して魔力100って事ですか?」
「そうだ」
「あちらの金額知ってるからぼったくりに思えてしょうがないんですよ」
「安くしすぎるとすぐ帰ることになるぞ?」
「でも……」
魔力回復できるんですもの。
これはまだ内緒なので言わない。
だから尚更ぼったくりに思えてしまうんだ。
「なら花純、樹は高いと思うか?」
買いたいと言っていた二人に話が振られる。
「高いと思わない」
「むしろ安い!」
それであっちのものが買えるならね! と笑う花純さん。
そう言うものなのかな……。
「分かりました。 なら……樹さん、金貨1枚で100円。 いくら分買いますか?」
「いいのか?」
「はい」
「商品見せてもらうこと出来るか? 見てから決めたい」
「良いですよ」
一応魔力は見せてもおかしくない量に調節はしてきた。
残高9,347,890だ。
毎日見せるわけでもないし適当にそれっぽい数字にした。
魔法を出してタブレットを二人に見せる。
「うわーいっぱいある!! アイス食べたいアイス! クッキークリーム!」
「ファストフードも色々あるな」
二人で……主に花純さんがハイテンションで選んでる。
そうして二人が選んだ金額は星金貨1枚分。
出してそうそう花純さんはアイスを頬張っていた。
「幸せ~」
ほぼほぼ花純さんが選んだ物だったが樹さんは満足そうだった。
「ハンスさん達も購入しますか?」
「俺らはいい。 この旅で十分出してもらってるからな。 というか無駄遣いすんなよ」
なんかハンスさん達は常に残りの魔力に対して気を回してくれてるな……。
「……何でそんなに気にしてくれるんですか?」
「ん?」
「だって私達会ってまだ間もないじゃないですか。 何でそんなに良くしてくれるんですか?」
私の質問に苦笑いするハンスさん。
「桜は何で俺たちにあっちの世界の食べ物食べさせてくれるんだ?」
逆に質問され返された。
「美味しいものを食べて共感して欲しかったから……」
「俺たちだって一緒さ」
「一緒?」
「桜はまだこっちに来て間もないだろ? 町だって一つしか知らない。 食べ物だって観光だってまだまだ体験したことない事だらけだ。 桜だって元の世界が好きだろ? 俺らだってこの世界が好きだ。 桜が思うように俺たちだってこっちの美味しいもの沢山食べてさせて旨いって言わせたい。 色んな場所に行って楽しんで貰いたい。 自慢したい。 まあ……今のところ桜に驚かされる方が多いがな。 ……だがそれには時間が必要だ。 渡り人は魔力が無くなったら戻っちまうだろ? 戻ったら自慢できなくなるじゃないか。 長くこっちに居て欲しい。 それが理由だ」
「それに桜は人が良いからね」
「危なっかしい」
「危機感足らないねー!」
散々言われた。
こっちにはこっちの良さがある。
ハンスさん達の言葉に共感してしまった。
「なら色々教えて下さい。 私美味しいもの大好きなんで! 貰った果物は美味しかったです!」
自慢か……そうだね。 自慢。
ハンスさん達だけじゃなくこっちの人に元の世界の事自慢したいな。
そんでお返しにこっちの世界自慢して欲しいな。
そのためには何をすれば良いんだろう?
物を配ったりしたらダメだよね?
何かいい方法ないかな。
出発前のモヤモヤした気持ちがほんの少しだけ晴れた気がした。
よーし飲むぞ!
「ハンスさんありがとうございます! ならばこの間の果物で作った果実酒他にも種類あるのでみんなで飲み比べしませんか!」
アイテムボックスに入っていた机を出して果実酒を並べていった。
最初は嬉しそうだったイリスさんとクイナさんだったが全て出し終える時には口をあんぐり開けてポカーンとしてた。
あっはははは多すぎー! と花純さんは笑った。
翌日みんなで揃って二日酔いになった。
最初の御者は出発時に比較的症状がマシなユリウスさんと相良さん。
相良さんも御者出来るんだとびっくりしたのは内緒だ。
護衛も兼ねてるので相良さんが光魔法を使って皆を治してくれた。
私も是非取得したい。
索敵はユリウスさんが魔法でやっているらしい。
相良さんとユリウスさんが話していた魔法談義でさらに改良できたとか何とか言ってたな。
「どうぞ」
スポーツドリンクをみんなに渡して喉を潤す。
症状が治ったと言っても喉の渇きは消えないからね。
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「助かる」
その後の道中は特に魔獣に遭遇するでもなく王都に辿り着いた。
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