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第二章
72話目 王都へ
しおりを挟むそうしてモヤモヤした気持ちのまま数日後に相良さんとハンスさん達と王都に行く日がやって来た。
「こっちだこっち」
相良さんのお店で待ち合わせし私と相良さんがお店の前で待っているとハンスさん達が荷馬車と共にやって来た。
「これで行くんですか?」
わー、二頭建ての幌馬車だ。
後ろに回り込んで中を見る。
荷物は無く、クイナさんとイリスさんが乗っていた。
「やっほー桜」
「今日は宜しくね」
「よろしくお願いします」
そう言って相良さんと共に乗り込んだ。
中は女性三人が寝転がっても余裕がありそうなほど広かった。
ハンスさんとユリウスさんが御者をやってくれるらしく荷台には女性陣と相良さんとなった。
「じゃあ行くぞ」
ハンスさんの声で馬が動き幌馬車が動き出した。
「うわっ」
ガタンと馬車が揺れバランスを崩した。
「桜大丈夫?」
「捕まってていいよ」
「ありがとうございます」
道が悪いから荷台が揺れる揺れる。
「忙しい中護衛を請け負ってくれてありがとうございます」
「いいよいいよ。どうせ暇だし」
オーフェンさんと話しした後に魔道具を作るために王都に行く話しを相良さんとした。
護衛をどうしようかと話をしハンスさん達にダメ元で話を持ちかけたら快諾してくれたのだ。
なんでもまた魔獣の出現率が下がったらしくまた渡り人が来るのではないかと言われてるみたい。
となると前回渡り人と遭遇したハンスさん達は除外されるらしい。
相良さんは女性冒険者でお店まで来たことのあるクイナさんとイリスさんに頼もうとしてたらしい。
ハンスさん達は大人しく森の奥で採取でもするかと話をしていたらちょうど冒険者ギルドで鉢合わせた相良さんから護衛依頼を持ちかけられたと言うわけだ。
一応冒険者ギルドを通して指名依頼という形で契約を交わした。
往復で星金貨1枚と往路の食事、その他諸々の経費持ちが条件だ。
この前みたく取り立てみたくなりたくないしね。
「王都までどれくらいかかるんでしたっけ?」
「えっとね……」
クイナさんが説明してくれた内容はここから王都までの距離と工程予定。
ここの街から二日かかる村で一泊し、さらに一日進んだ村で一泊、川を越した街で一泊、その後は三日かけて王都に着くと言うもの。
急ぐ旅ではないので馬に負担をかけないためゆっくり行く。
この街から二日かかる村には渡り人が住んでいると顔馴染みになった青果店の店主に教えてもらったので楽しみだ。
なんでも植物を育てているらしい。
「うわわわ」
また車輪が石を踏んだみたいで大きく揺れた。
「あははは」
イリスさんに笑われた。むー。
腰を打つ前にアイテムボックスから大きめのビーズクッションを取り出した。
「私の分も出してもらっていいかな?」
「良いですよ」
相良さんに言われた快諾した。
「何コレ?」
「触ってもいい?」
「良いですよ」
私の分のビーズクッションクッションを二人の前に置く。二人はそれに触ろうとして荷馬車が揺れたせいで腕を突っ込んだ。
「なにこれ!!」
「ひゃあ」
二人は初めての感触に夢中になって揉み込んでいた。
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