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第二章
69話目 満喫
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「わー春子さん美人の湯だって!」
「ジャグジーもある!」
「温泉なんて久しぶりね」
赤いタイルの大浴場にはサウナやジャグジーに大きな湯船があった。
それぞれ体を洗いお湯に浸かる。
美人の湯と呼ばれる湯は古い角質を溶かすと書かれてありお肌つるつるになると書かれていた。
三人して限界まで浸かり湯当たりする前に露天風呂へ向かった。
「露天風呂も広いわね」
初夏の風に吹かれ涼みながらまずは岩風呂に入った。
「気持ちいい」
「はー癒される」
「沁みるわね」
ぼんやりと景色を眺めた。
「……こんなことできる魔法なんて初めて見たわ」
ぽつりと呟く春子さん。
「私もこんな体験できるなんて思っても見なかった」
同意するように言う灯里。
「いやーそれほどでも」
しんみりした空気を破壊する私。
「あはははっ!! 今度は私も選びたいわ。カタログギフト私にも売ってくれる? 相良が使えたんだから私も使えるでしょう。あ、魔力厳しいかしら」
「何冊でも何十冊でも献上しますよ。オーフェンさんには今後頑張ってもらわなきゃいけないですし」
表情がバレないようにマナー違反だけど顔半分まで湯船に浸かりブクブク空気を出す。
「そうね。こちらの世界に来れる魔法は今後大変な事になるわね」
ふむっと手を口の前に持っていき考える様子を見せる春子さん。
「……別件です」
ボソッと呟いた。
聞こえるか聞こえないかくらいの音量で呟いたそれはお湯が流れる音に負けなかったようで春子さんの耳に届いた。
「別件?」
「帰ったら分かります」
「帰ったら?」
「魔力見てみてください」
「もしかして……回復するの?!」
ザバッと勢いよく立つ春子さん。
「私も回復経験者です」
そーっと手を上げ白状する灯里。
「相良さんも高梨さんも回復しました」
告げ口する私。
「はは……本当に……規格外ね」
私も帰ったら確認しようと呟く春子さん。
「もう……数冊くらいじゃ足らないわよ」
落とし所どこか分からないじゃないと岩を背もたれにし力を抜いた。
「何冊でも献上します」
そんな春子さんを拝んでおいた。
春子さんはしょうがないわねと苦笑いした。
夕食は畳敷の大広間でビュッフェスタイルだ。
「おお!これはどうするんですか?お皿を載せれば良いのですか?」
楽しそうに春子さんに質問するオーフェンさん。そこにはギルマスの威厳はなかった。
そこのトングで好きな物を乗せるのと取って見せながら教えてる。
お揃いの浴衣で仲睦まじく色々な食べ物を乗せている。
本当に夫婦なんだ。
はーっと口をあんぐり開けて見てしまった。
「ねね、桜!お鍋があるよ一人用の!」
「豚しゃぶもある!わーい!」
灯里の言葉でそちらを見ると鍋があった。
他のも見渡せば新鮮なお刺身や握り、サラダには蒸し鶏やカニなどのトッピングがあった。
他にも小さな器でグラタンや麻婆豆腐等があり目移りした。
「これはお腹がやられるやつだね」
「うん。胃薬あとで頂戴ね」
灯里と二人お盆からこぼれ落ちそうなほど食べ物を乗せて席についた。
席に全員着くといただきますと言って食事を始めた。
春子さんは魚メインでオーフェンさんはお蕎麦や麻婆豆腐、刺身、それと日本酒を一種類づつ。
高梨さんはお寿司! 相良さんは野菜やらお肉や鍋を取ってきていた。
「お寿司美味っ!!」
「ほほう……これはこれは」
くぃっと日本酒を煽るオーフェンさん。そしてお刺身を食べていた。お箸ではなくフォークを使ってる。流石に箸は厳しいか。
その隣で静かに食べる春子さんは口数少な目だが目を閉じて咀嚼していた。
久しぶりの日本食を噛み締めているようだ。
そして案の定みんな胃薬のお世話になった。
「ジャグジーもある!」
「温泉なんて久しぶりね」
赤いタイルの大浴場にはサウナやジャグジーに大きな湯船があった。
それぞれ体を洗いお湯に浸かる。
美人の湯と呼ばれる湯は古い角質を溶かすと書かれてありお肌つるつるになると書かれていた。
三人して限界まで浸かり湯当たりする前に露天風呂へ向かった。
「露天風呂も広いわね」
初夏の風に吹かれ涼みながらまずは岩風呂に入った。
「気持ちいい」
「はー癒される」
「沁みるわね」
ぼんやりと景色を眺めた。
「……こんなことできる魔法なんて初めて見たわ」
ぽつりと呟く春子さん。
「私もこんな体験できるなんて思っても見なかった」
同意するように言う灯里。
「いやーそれほどでも」
しんみりした空気を破壊する私。
「あはははっ!! 今度は私も選びたいわ。カタログギフト私にも売ってくれる? 相良が使えたんだから私も使えるでしょう。あ、魔力厳しいかしら」
「何冊でも何十冊でも献上しますよ。オーフェンさんには今後頑張ってもらわなきゃいけないですし」
表情がバレないようにマナー違反だけど顔半分まで湯船に浸かりブクブク空気を出す。
「そうね。こちらの世界に来れる魔法は今後大変な事になるわね」
ふむっと手を口の前に持っていき考える様子を見せる春子さん。
「……別件です」
ボソッと呟いた。
聞こえるか聞こえないかくらいの音量で呟いたそれはお湯が流れる音に負けなかったようで春子さんの耳に届いた。
「別件?」
「帰ったら分かります」
「帰ったら?」
「魔力見てみてください」
「もしかして……回復するの?!」
ザバッと勢いよく立つ春子さん。
「私も回復経験者です」
そーっと手を上げ白状する灯里。
「相良さんも高梨さんも回復しました」
告げ口する私。
「はは……本当に……規格外ね」
私も帰ったら確認しようと呟く春子さん。
「もう……数冊くらいじゃ足らないわよ」
落とし所どこか分からないじゃないと岩を背もたれにし力を抜いた。
「何冊でも献上します」
そんな春子さんを拝んでおいた。
春子さんはしょうがないわねと苦笑いした。
夕食は畳敷の大広間でビュッフェスタイルだ。
「おお!これはどうするんですか?お皿を載せれば良いのですか?」
楽しそうに春子さんに質問するオーフェンさん。そこにはギルマスの威厳はなかった。
そこのトングで好きな物を乗せるのと取って見せながら教えてる。
お揃いの浴衣で仲睦まじく色々な食べ物を乗せている。
本当に夫婦なんだ。
はーっと口をあんぐり開けて見てしまった。
「ねね、桜!お鍋があるよ一人用の!」
「豚しゃぶもある!わーい!」
灯里の言葉でそちらを見ると鍋があった。
他のも見渡せば新鮮なお刺身や握り、サラダには蒸し鶏やカニなどのトッピングがあった。
他にも小さな器でグラタンや麻婆豆腐等があり目移りした。
「これはお腹がやられるやつだね」
「うん。胃薬あとで頂戴ね」
灯里と二人お盆からこぼれ落ちそうなほど食べ物を乗せて席についた。
席に全員着くといただきますと言って食事を始めた。
春子さんは魚メインでオーフェンさんはお蕎麦や麻婆豆腐、刺身、それと日本酒を一種類づつ。
高梨さんはお寿司! 相良さんは野菜やらお肉や鍋を取ってきていた。
「お寿司美味っ!!」
「ほほう……これはこれは」
くぃっと日本酒を煽るオーフェンさん。そしてお刺身を食べていた。お箸ではなくフォークを使ってる。流石に箸は厳しいか。
その隣で静かに食べる春子さんは口数少な目だが目を閉じて咀嚼していた。
久しぶりの日本食を噛み締めているようだ。
そして案の定みんな胃薬のお世話になった。
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