64 / 274
第二章
64話目 魔法の特訓2
しおりを挟む「今日は二人に避けてもらいます」
「はい」
「へ?」
相楽さんのお店の地下。
そこに居るのは私と相良さんと高梨さん。
返事からして高梨さんは騙し打ちで連れて来られたみたいだな!
私としては生贄が増えて嬉しい限りだ。
「橋沼さん……桜さんはブレスレットの使用可、涼は禁止です」
「はい!」
「は?!」
相良さんはそう言うと昨日と同じく火の玉を出した。
「ままままままままって! 何でまた魔法使うようになったんですか?! 辞めたはずじゃ?!」
高梨さんは凄い動揺している。
「使わないとは言ってないよ。大丈夫。前よりも鍛えてあげるから」
そう言うと火の玉が高梨さん目掛けて飛んでいった。
「うおっ!! 危なっ!!」
「避けてないで受ける。桜さんの見本になりなさい」
高梨さんは器用に避けたが相良さんのお気に召さなかったようで倍の数の火の玉が飛んでいった。
「ちょっ!?」
だが高梨さんは避ける。
あ!
避けきれなかった火の玉が高梨に当たる!と思ったら弾かれた。
集中して観察してみるとどうやら火の玉の前に半透明の円形の膜が現れたみたいだ。
それに触れると火の玉が跳ね返された。
あれだよアレ! 私がやりたかったの!!
どうやるんだろうと見ながら魔力を集中させてみた。
指先から微かに魔力が出た。
ゆらゆら揺れるそれは透明で水のようだ。
同じように盾にしようとしたら少し伸ばしたところで消えてしまった。
「高梨さんどうやって盾出してるんですか!!」
「っ!! 今……それど……っうお!? ……ころじゃ……ない!!!!」
避ける。 避ける。 跳ね返す。 跳ぶ。 跳ね返す。 跳ね返す。 砕ける。 当たって撃沈。
「はい。もう一回」
「うわー……」
地面に寝転がる高梨さんに容赦のない相良さん。
「それでは桜さんも参加して下さい。行きますよ」
「ひっ!!」
私の方にも火の玉が飛んできた。
避ける!
防御方法まだ出来てないぃいいい!!
さっきみたいに手から魔力を出す。
火の玉に当たった。
ジュッと消えた音が聞こえた気がした。
盾にならない!!
ひー!! と半泣きになりながら昨日と同じく避けた。
いつの間にか復活した高梨さんにはさらに倍になって火の玉が飛んでいった。
「大丈夫です。この火の玉は酸素を必要としていません。いくら出しても酸欠にはなりませんよ」
誰もそんなこと聞いてない!!
「壁に当たっても燃えない素材でできてるので平気です。心配ありがとう」
そんなこと思ってないです!!考えてもなかったです!!
2時間ほどの強制運動を終えた頃には私と高梨さんは屍のように倒れ込んでいた。
「…………死ぬ」
これは私の何倍も扱かれた高梨さんの言葉である。
「…………床がきもちい」
結局防御する魔法は使うことが出来なかった。
アイテムボックスからスポーツドリンクを出す。
一本を戦友の高梨さんに渡した。
24
お気に入りに追加
748
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです
新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。
おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる