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第二章

64話目 魔法の特訓2

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「今日は二人に避けてもらいます」

「はい」

「へ?」

相楽さんのお店の地下。

そこに居るのは私と相良さんと高梨さん。

返事からして高梨さんは騙し打ちで連れて来られたみたいだな!

私としては生贄が増えて嬉しい限りだ。

「橋沼さん……桜さんはブレスレットの使用可、涼は禁止です」

「はい!」

「は?!」

相良さんはそう言うと昨日と同じく火の玉を出した。

「ままままままままって! 何でまた魔法使うようになったんですか?! 辞めたはずじゃ?!」

高梨さんは凄い動揺している。

「使わないとは言ってないよ。大丈夫。前よりも鍛えてあげるから」

そう言うと火の玉が高梨さん目掛けて飛んでいった。

「うおっ!! 危なっ!!」

「避けてないで受ける。桜さんの見本になりなさい」

高梨さんは器用に避けたが相良さんのお気に召さなかったようで倍の数の火の玉が飛んでいった。

「ちょっ!?」

だが高梨さんは避ける。

あ!

避けきれなかった火の玉が高梨に当たる!と思ったら弾かれた。

集中して観察してみるとどうやら火の玉の前に半透明の円形の膜が現れたみたいだ。

それに触れると火の玉が跳ね返された。

あれだよアレ! 私がやりたかったの!!

どうやるんだろうと見ながら魔力を集中させてみた。

指先から微かに魔力が出た。

ゆらゆら揺れるそれは透明で水のようだ。

同じように盾にしようとしたら少し伸ばしたところで消えてしまった。

「高梨さんどうやって盾出してるんですか!!」

「っ!! 今……それど……っうお!? ……ころじゃ……ない!!!!」

避ける。 避ける。 跳ね返す。 跳ぶ。 跳ね返す。 跳ね返す。 砕ける。 当たって撃沈。

「はい。もう一回」

「うわー……」

地面に寝転がる高梨さんに容赦のない相良さん。

「それでは桜さんも参加して下さい。行きますよ」

「ひっ!!」

私の方にも火の玉が飛んできた。

避ける!

防御方法まだ出来てないぃいいい!!

さっきみたいに手から魔力を出す。

火の玉に当たった。

ジュッと消えた音が聞こえた気がした。

盾にならない!!

ひー!! と半泣きになりながら昨日と同じく避けた。

いつの間にか復活した高梨さんにはさらに倍になって火の玉が飛んでいった。

「大丈夫です。この火の玉は酸素を必要としていません。いくら出しても酸欠にはなりませんよ」

誰もそんなこと聞いてない!!

「壁に当たっても燃えない素材でできてるので平気です。心配ありがとう」

そんなこと思ってないです!!考えてもなかったです!!

2時間ほどの強制運動を終えた頃には私と高梨さんは屍のように倒れ込んでいた。

「…………死ぬ」

これは私の何倍も扱かれた高梨さんの言葉である。

「…………床がきもちい」

結局防御する魔法は使うことが出来なかった。

アイテムボックスからスポーツドリンクを出す。

一本を戦友の高梨さんに渡した。
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