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第一章
50話目 灯里と飲み会2
しおりを挟む「そう言えばスタンピートどんな感じなの~?ハンスさん達もうちょっとって言ってたけど」
「んー?ぼちぼち始まってるよ~今日は狼系の魔獣が多かったな~」
色々試飲した結果灯里はいい感じに酔い始めていた。
「スタンピートって順番に来るもんなの?なんか一斉に襲来っての想像してたんだけど」
「そう言うのとはちょっと違うかも。まぁ魔獣が多いのは確かだよ~」
灯里が言うには魔獣が突然凶暴化するのがスタンピートらしい。
凶暴化も何も魔獣っていつも襲ってくるんじゃ無いの?って疑問が浮かんだけど。
「魔獣は会うと襲っては来るけど深追いはして来ないよ。逃げれば平気~」
「逃げ切れるの?」
「アイテム使ったり、目眩ししたりしたら意外と逃げ切れるよ」
「そうなんだ」
「スタンピートは魔獣が所構わず暴れるの。一斉に街まで来るとかは無いから安心して………」
そこまで言うと動きが止まった。
その目からは涙がポロポロ溢れ出てきた。
「あーーーーーーもーーーーーーやだーーーーーーー!!」
いきなり大声で叫ばれた。え
「なに?!なになになに?!」
「あいつらが戻ってきちゃうよーーーーーーもーーーーやだーーーー!!」
なぜだかエグエグと泣き出された。えっ!どう言うこと?!情緒崩壊?!
「落ち着いて!何!?何があったの?!」
そう言うと灯里はこっちをみてぎゅーっと抱きついてきた。
そして今までのことを話してくれた。
異世界に来て楽しかったこと魔法が使えて嬉しかったこと知り合いがいなくて不安だったこと善意が苦しかったことその相手がもう少しで戻ってきてしまうこと。
「いや、それストーカーじゃん」
Sランクの冒険者に付き纏われるってどんな苦行だよ。
帰る以外逃げ道のない無力な女の子捕まえてさ。
そんなこと言ったらうわーんと泣かれた。
よしよしよく頑張ったねと頭を撫でて落ちつかせる。
「そんな頑張り屋な灯里には何かプレゼントをあげよう!」
こんな時こそ取り寄せだよね。あ、そういえば…
「こんなのどう?好きなの取り寄せできるんじゃないかな?」
そう言って魔法で出したのはカタログギフト。
職場の同僚が結婚した際プレゼントしたものだ。
「ぐす……カタログギフト?」
涙を拭って受け取る灯里。
向かい合わせだった場所を隣に移動しペラペラとページを捲る。
「魔法で出したカタログギフトだから注文できるんじゃないかな?私も初めて出したけど」
こういうカタログギフトって商品が色々あって迷うんだよね。
どれも良さそうに見えて選んでいるうちに受付期間が終わっちゃうって落ちが何回あったか。
生活雑貨から食品、体験型等色々ある。
「…温泉…行きたいなぁ……」
ぽつりと呟く。
温泉良いよねぇ。
「試しに注文してみようか!」
「………うん」
「どの温泉がいい?雰囲気どれがいい?」
「……これ」
カタログギフトに付いていた葉書に灯里が選んだ温泉の申込番号を書く。
気休めかもしれないけれどね。
すると魔法と同じタブレットが出てきた。
「日付を選んでください?」
そこにはカレンダーが表記されていた。
適当に数字を押す。すると表示が変わり名前を入力して下さいと出た。
灯里と顔を見合わせ名前を入力する。
すると完了しますか?と表示されその下に「はい」と「いいえ」と言う文字が出た。
はいを押すと画面が消えた。
「なんだったんだ?」
ね、と灯里の方を見たら………
「何…ここ」
「えっ?えっ?」
ザワ…ザワ…。
白く綺麗な大理石が敷き詰められた床。
広々としたロビー。
見慣れた服装、キャリーバッグを手に行き来する人々。
「日帰り入浴コースご予約の橋沼様と本宮様ですね。かしこまりました。天空露天風呂、大浴場は8階になります。休憩場所としましてロビーをご利用頂けます。お食事は11:30から2階のお食事処にてご用意致します。お時間になりましたらお越しくださいませ。こちらがタオルになります」
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