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第一章

47話目 反省と依頼3

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「流れ作業でやるよー」

私が蓋を開けユリナが果物を計り入れる。アレクが蜂蜜を計り入れる。それを私がアイテムボックスに仕舞う。

保存瓶の在庫が無くなったら今度は氷砂糖をアイテムボックスから出した。

…これ計量カップじゃ計れない!

席を外して急いで魔法で追加で計りを出した。

先ほどと同じように私が蓋を開けユリナが果実を計り入れる。アレクが氷砂糖を計り入れる。それを私がアイテムボックスに仕舞っていった。

ここまでで詰めた保存瓶はレモナの蜂蜜が1瓶と他の果物と混ぜる用が10瓶、氷砂糖入りが1瓶と他の果物と混ぜる用が10瓶。

続いてレガージュの実。これが一番楽しみなんだよね。

「これは250gの二つ作って、レモナが入ってるのには200g入れてね」

「はい」

「250gのもの一つには氷砂糖、もう一つには蜂蜜100g入れてね。レモナと混ざってるのには既に甘味入ってるから入れないでね」

「分かったっス」

そうして残りも同じように作っていった。

果物全部で同じような作業を繰り返し、出来た瓶は42瓶。

全てに焼酎を入れ時間超過の魔道具に入れた。1L瓶だから全部入った。まだ少し余裕あるな。

「そう言えば先生のプレゼント決まったの?」

「いや…まだ」

「髪留めが良いかなと思ったんですが、先生今使ってるやつ皆んなからプレゼントされたもの日替わりで使ってるしどうしようかなって…」

「そう言えば二人が採ってきた果物ってまだあるの?」

「ある」

「勿体無くて食べれないんだよね」

確かにDランクの果物それしかまだ採って来てもらってないな。やっぱり珍しいんだね。どんな基準なんだろ?

「ならそれ使ってシロップでも作る?材料あるし」

「シロップ?」

「うん。今作業したやつのお酒抜きの物だよ」

そう言うと二人は顔を見合わせて

「作ってみたい」

頷いた。

「ちなみに二人の魔力ってどれくらいある?聞いてダメなら答えなくていいけど」

「私は300」

「俺は500」

二人合わせて800か。春子さんが使ってた小型の時間経過の魔道具なら一日経過で消費魔力10だ。作れそうだね。

「じゃあ二人が持ってるメロナの実で作ろうか」

今は借りている家にあるらしくアレクが取りに戻った。その間に準備しながらユリナと談笑してた。

曰くオリバー先生は甘いものは好きらしい。そして孤児院はあまりお金には困ってないらしい。

でも見た感じ質素なのはオリバー先生が贅沢をせずきちんとお金を貯めて、孤児が独り立ちするときに纏まったお金を渡してくれるから。あまり甘味は出なかったけど料理は工夫が凝らされ美味しかったらしい。そんなことを楽しそうに語ってくれた。冒険者になった年上のお兄さんお姉さんがオリバー先生の誕生日にお菓子をプレゼントしたらそれは大層喜んだらしい。

「じゃあ作ってみて美味しかったらプレゼントしたらいいんじゃない?」

果物はあるしいくつか作ってみよう。

ただ手元にあるメロナを使うには勇気がいる。なんてったって手元にはこれしかないんだもの。お酒だって作ってみたいし…ううむ。

「メロナの味って………」

って聞こうとしたけど分かんないじゃん。こっちの果物で例えられても分かんないよ。

…食べてみるしかないかなぁ。勿体無いな。

「メロナってどこで見つけたの?これってもっと見つけられる?」

「メロナの実は難しいかも…です」

聞けば手に入れたのは本当に偶然だった。

メロナはそもそも種から育つ果物じゃないらしい。よって種もないらしい。なんぞそれ。

果物のランクはFランクが普通のどこにでもある普通の果物。Eランクが少し見つけにくい普通の果物。DランクとBランクが魔力溜まった場所に発生する果物。CランクとAランクが魔獣から取れる果物らしい。通りでFランクが多い訳だ。

Dランク以上が栽培が難しいみたい。そりゃそうか条件が不確定なら育てようがないもんね。CとAに至っては襲われる危険がある。

今回二人はアレクが足を滑らせて降りた先にたまたまメロナの実が二つ生っていたという訳らしい。

次の日行ったら葉っぱすらなかったみたい。

そんな話をしていたらアレクが息を切らせて戻ってきた。

ここで一旦お昼休憩。

今日来る途中で買ってきた屋台のお肉やパンを二人にも出した。

二人は最初固辞したがお腹が鳴ると諦めて食べ始めた。

デザートには昨日残った果物も出した。

お腹も満たされたのでいよいよメロナの番である。

洗浄の魔道具で綺麗にし包丁を手に構える。

さっきの話聞くと尚更勿体なく感じちゃう。

「…一思いにやってください」

ユリナがぎゅっと目を瞑った。待って!そうされると尚更切りにくいよ!

うぅ…っと思いつつ先ずは虫食い部分を切除した。

メロナの果肉は鮮やかなオレンジ色だ。夕張メロンみたいなオレンジ。

一回刃を入れて仕舞えば後は思い切ってやれた。

果肉は柔らかく少し押すと果汁が溢れる。

一度縦に半分に切り指で皮と果肉を滑るように分けた。

「少し味見していい?」

二人に聞くと頷いてくれたので橋の方を切り口に入れた。

…あ、これマンゴーみたい…いやメロン?途中でフルーティーな甘さからガツンと甘いに変わった。

「…美味しい」

一口サイズに切り分けて二人も食べた。

「初めて食べた。美味しい」

「うまっ」

「じゃあ作ってもらおうかな。今回はお酒を入れないから果物と氷砂糖を一対一で入れるよ。蜂蜜は隙間に入れる感じで入れるね」

「「はい」」

「ではメロナを400g、氷砂糖を400g計って交互に入れていって」

ユリナがメロナを計り、アレクが氷砂糖を計りいれる。少し隙間ができたのでそこに蜂蜜を入れた。
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