異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ

文字の大きさ
上 下
38 / 274
第一章

38話目 悪徳商人

しおりを挟む


「え…400?は?金貨5枚だぞ?は?」

「?じゃあ3500のチョコだと?」

混乱しているハンスさんを余所にピンときていないイリスさんがユリウスさんに問う。

「約9倍だから白金貨4枚と金貨5枚かな」

「白金貨4枚!?!?!?」

金額を聞いたイリスさんは眼を見開いてチョコを見た。

「これで白金貨4枚と金貨5枚!?」

「…………え?」

そこに顔色を青くしたクイナさんが会話に加わる。

「このチョコの山って…………」

分かりやすく冷や汗をかいている。

「50000円分なら酒盗の約125倍だから……星金貨6枚白金貨2枚金貨5枚かな?」

「えっ…………………」

ユリウスさんから金額を聞いたイリスさんとクイナさんは見てわかるくらい動揺した。

「星……金貨?」

「えっ………これ………えっ………?」

「もう出してもらっちゃったよ…………」

二人は泣きそうだ。

「はい!なので残りは49400ですよ!選んでくださ「選べるかっっっっ!!!!」」

ハンスさんに目一杯突っ込まれた。

「いや…いやいやいや。おかしいだろ。元々俺たちの報酬白金貨1枚。これは分かるか?」

「そうですよね?」

「はい。これの金額は金貨何枚?」

そう言って酒盗の空き瓶を見せられた。それはハンスさんが競りで買ったやつだ。

「金貨5枚でお買い上げいただきました」

「そう。金貨5枚。つまりこれ二つで白金貨1枚分になるんだ。分かるか?」

「はい」

「それが魔力400つまり400円。分かるか?」

「むー。でもパン一個銅貨1枚ですよね?元の世界でパンって一袋100円です。だから100円が銅貨1枚です」

「もうどういうこと?」

「こらイリス。諦めるな」

私とハンスさんの応酬にイリスさんは頭を抱えた。

それを見ていたユリウスさんはイリスさんを嗜めた。

クイナさんは青い顔してふるふる震えてる。

「それはそっちの世界だからだろう。今はこっちの世界にいるんだ。こっちの物価に合わせろ」

「むー」

「むくれてもダメだ。今回のチョコ代は払う。代金は星金貨6枚白金貨2枚金貨5枚だっけか?ユリウス」

「そうだ」

「まず桜は果物欲しがってたよな?今俺たちの手元にある果物から依頼にそう果物を選んでくれ。残りは現金で支払う」

「いや悪いですよ!そんなつもりで渡したんじゃないです!」

「それは価値を考えなかった桜が悪い。諦めて受け取れ!ユリウス、イリス、クイナもそれでいいな?」

「「うん」」

「構わんよ」

「ぇえ………」

なんか押し売りみたいなことになってしまった…。

「じゃ…じゃあせめてお金じゃなく果物でお願いします!支払いは今じゃなくできる時で!!」

このままだとハンスさんに押し切られそうだ。何とかハンスさん達の負担を減らすべくそう提案した。

じっとこちらを見るハンスさんを負けじと見返す。

「……分かった」

何とか頷いてもらえた。

「これに懲りたらもうちょっと相場考えろ。いいか?」

「………はい」

「魔力100に対して金貨1枚。それくらいで丁度いいはずだ」

「………はい」

「見ろ。お陰でイリスとクイナがとんでもないことなってるじゃないか」

「………はい」

ちらりと二人を見ると青い顔して涙目になってた。多分その様子からして灯里と一緒にした女子会の事も頭に浮かんでるみたいだ。ご飯奢ったりして足りてたと思ったら全然足りてなかった。それどころか借りが増えてた!!って感じかな……。

「って事でユリウスには悪いことしたな。選ばせられなくでごめんな」

「私は別に構わんよ」

そうか。ユリウスさんには何も渡してなかったな。

「せめてユリウスさんにも一つ渡したいです」

「む………」

再びハンスさんを見返した。

一瞬顔を歪めたかと思ったらはぁーっとため息をついて頭をガシガシ掻いた。

「……ユリウス。一つ選ばせてもらえ」

ユリウスさんは苦笑して頷いた。

そしてユリウスさんが適当に選んだ物は○○禁カレーだった。

ユリウスさんに辛いものは平気かと問うと平気だよと答えてくれた。が、心配になったので手持ちであった物をアイテムボックスから取り出してみんなに味見して貰った。

食べる前は、苦言を呈したそばから…と苦い顔してたハンスさんだったが一口食べてあまりの辛さに撃沈した。

ハンスさん、クイナさんは一口でギブアップ、イリスさんは大量に汗をかきながら美味しいと言い、当のユリウスさんは飄々と食べていた。

そんなユリウスさんには買ったはいいものの食べれなくて冷蔵庫に眠ってた罰ゲームによく用いられるハバネロ、ジョロキアのソースを貰ってもらった。辛さはオリジナルソースと四段階の辛さがある内の上から2番目。ついでにハバネロの実も処分してもらった。良かった。大変良かった。ユリウスさん凄い。私含め他三人はドン引きだった。ついでに持ってた私もドン引きされた。

そこに目をつけて引き取り料として星金貨2枚分値引き交渉した。

 その後はハンスさんが持っているアイテムボックスから果物を見繕わせて貰って多めに見積もり星金貨4枚分。

残りは森で何か果物があったら採取してきてくれるという事で落ち着いた。

全く………悪徳商人に騙された気分だよ。とはハンスさんの談である。

生きた心地しなかった。とはクイナさんの言葉である。

私も金貨1枚に対して円は100と心の中にシッカリ刻みつけた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...