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第一章
34話目 魔道具とフリーズドライ
しおりを挟むさて今日は何をしようかな。
昨日の今日なのでまだ果物は採れてないだろうし、採れたとしても夕方だろう。
とりあえず街をぶらぶらしながら考える事にした。
「おはようございます」
「いらっしゃい。おはよう」
顔馴染みになった青果店のおじさんに挨拶して今日のおすすめを聞く。
朝取れ野菜を数点買い後にする。
商業ギルドで委託販売かぁ…。
うーむと唸りながら買い食いをする。
薄い生地にソースを塗りお肉と野菜を巻いた食べ物を購入し噴水前のベンチに腰掛け食べる。
旨っ。
お野菜シャキシャキだ。薄いのに歯応えのある生地もいい。
ペロリと食べ切り相良さんの魔道具屋に向かった。
何かちょうど良い面白い魔道具ないかな。
たこ焼きやたい焼きクレープみたいに販売するには大変だし…日持ちしてあったら便利くらいが良いなぁ。
「そういう事でしたらこちらはいかがですか?」
「うひゃあっ!」
後ろから声をかけられビックリした。
「相良さん!!」
振り向けば手に何かを持った相良さんが居た。
「いらっしゃいませ」
「あ…はぁ…どうも」
「こちらの商品はいかがでしょうか?フリーズドライを作成する魔道具になります」
「へぇー…そんなのあるんですか‥ってなんで分かったんですか!?」
「今なら星金貨10枚ぽっきりです。いかが致しますか?」
「高っ!!」
相良さん私の懐事情詳しすぎやしないか?!
「でも…面白そう」
へぇー…っと商品を覗き込む。
「これはどうやって使うんですか?」
「箱の中に品物を入れてスイッチを押すだけです」
「それだけ?」
「はい」
ほーっと箱を見る。
「簡単なんですね。これって結構売れてるんですか?」
「そんな事は無いですよ。お金のある人はアイテムボックス買いますから」
「アイテムボックス市販されてるんですね」
「最大容量が設定されている劣化品ですけどね」
へーっと相槌を打つ。
確かにアイテムボックス有れば要らないか。新鮮な野菜やお肉いつでも食べられるし。
「………なら何で作ったんですか」
「そこは魔道具職人の趣味です」
趣味か……そういうの嫌いじゃ無いよ。
「…………買います」
「ありがとうございます」
使ってみたくて衝動買いしてしまった。
家に行くと早速作業机に魔道具を置いた。
何を……何をフリーズドライにしてみようか!!
手持ちで良さそうな物を探る。
あ…果物。りんご残ってたな。
果実酒用に切っていたりんごを取り出して魔道具の中に入れる。
蓋を閉じてスイッチを押すと…
「フリーズドライになってる!!」
水分はすっかり抜け落ちカッサカサのりんごになった。
魔道具凄い!!
余ってた果物を切り次々にフリーズドライにしていく。
作ったフリーズドライの果物はビニール袋に入れていった。
今度は野菜にする。こっちの世界に来てから買った物だ。
その前に一度処理した方がいいよね?
作業部屋からキッチンに移動し野菜を広げる。
洗浄は魔道具で済ませ魔道コンロでお湯を沸かす。
葉野菜っぽい物は根元を切り丸ごと鍋に入れサッと湯通しする。
一口大に切り分けフリーズドライに加工する。
根菜は皮を剥いて一口大にしこちらも湯通しフリーズドライに加工する。
果菜は生で食べれそうな物は一口大に切りそのまま、無理そうな物は湯通しし加工してった。
「…それなりに量あったと思うんだけどな」
水分が抜けた野菜はその量を半分くらいまで減らした。葉野菜なんかは元々の量の半分以下だ。
調理した物もフリーズドライに出来れば良かったんだが人様にお出しできるほどの腕では無い。
自分が食べて不味くなければそれでいい。レシピなんてあっても適当にしちゃうもん。
そんなのフリーズドライにしても食べない自信がある。だってそれを食べるならフリーズドライにせずアイテムボックスに仕舞って出来立て食べたいもの。
調理前なら水で戻せば調理できるし!
出来たフリーズドライをアイテムボックスに仕舞う。
夢中になってたせいでもう夕方だ。
宿に帰る前に冒険者ギルド寄って昨日依頼した採取依頼の様子確認しなきゃ。急ぎじゃないけど。
バタバタと急いで冒険者ギルドへ向かった。
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