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第一章

20話目 女子会2

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「美味しそうー!!」

机の上にはそれぞれが頼んだ料理が並んでいる。

お米は無いが白いロールパンが代わりに置かれた。

クイナさんとイリスさんはお供にワイングラスを持っている。どちらも赤ワインだ。

私と灯里はレガージュの実のジュースにした。微炭酸で美味しい。

この微炭酸も魔力調味料による性質変化らしい。人によって強炭酸にもなるらしい。

「いただきます!」

爆発羊のたたきはとても柔らかかった。ねっとりとした舌触りで脂が溶ける。うっま!!

「臭み全然無い!美味しっ!!」

「そうなのー?!」

「灯里も食べてみて!」

お皿を灯里の方へやる。お返しに道連れ牛のステーキを渡された。

「こっちも柔らかーーーー!!」

ほっぺが落ちる。これ落ちてない?!大丈夫?!

自分のほっぺたを両手でさする。大丈夫落ちてない。

灯里の方を見ると目を閉じて噛み締めている。静かに美味いと呟いていた。

「そんなにいい反応してくれると連れてきた甲斐があるわ」

ワイングラスを傾けながら微笑むクイナさんは嬉しそうだった。

「もっと早くお近づきになりたかった」

クッと灯里は悔しそうだった。

「灯里さんとも仲良くしたかったんだけど…最初の方囲われちゃってたし、お話しできそうになかったもの」

「あははは…最初が悪かったですもんね…」

「アレは確かにヤバかったね」

崇拝だよアレは、あはははと笑うイリスさん。

灯里がこちらに来た時他のSランクパーティーに保護されたらしい。

魔法を試すついでに古傷を治したらえらく感激され、ギルマスが介入するまで四六時中付き纏われたらしい。

ギルマスが介入してからも数年は神官と共に他の冒険者を牽制してたみたい。

クイナさん達のパーティーはその様子を遠くから見てたらしい。

側から見たらSランクパーティーが善意で守ってる風だったので他の人達は何も言えなかったとか。

今はそのパーティーは国に呼ばれて出張中との事。帰ってくるのが憂鬱だとか。

「最初に会う人って大事だね」

「まったくだよ」

疲れた様子でレガージュの実ジュースを煽る灯里。

それを見て自分が最初に会ったのがハンスさん達で良かったとしみじみ思った。

「灯里さんもお酒飲んだら?鬱憤溜まってそうだし」

そう言ってワインを勧めてくれるクイナさん。

お肉に夢中のイリスさんがメニューを見せてくれた。

ワインが赤、白とある。辛口甘口などの表記はない。というか種類が少ない。

後はエールと果実酒が数種類しか無かった。

「何というか…お酒の種類が少ないですね」

「そっちの世界が多いのよ!」

「そうそうーこっちは果樹園自体が少ないしー甘いお酒って無いんだよねー」

クイナさんとイリスさん曰くそっちの世界のお酒は凄いとの事。

「面白い果物多いのに勿体無い…このレガージュの実なんてお酒にピッタリなのに」

「このシュワシュワ美味しいもんね」

そう言ってジュースを口に含む。上手くいけばスパークリングワインとかシャンパンみたいなものが出来そうなのに。

「こっちに来た人たちで広めようとは思わなかったんですかね?」

「居たとは思うけど広まって無いね」

高級店には珍しいお酒あるんだけどねとワインを煽りながら言うイリスさん。

「流通量を増やす前に帰っちゃったとか?数年しか居れないし。あとは若い人たちが多いからね。知識が無かったりするんじゃない?」

冷静に考察するクイナさん。

「そっかー…」

今日見た植物図鑑もとい採取図鑑にも良さそうな木の実があるのにな。勿体無い。

「私まだお酒がそんなに得意じゃないんです。飲みたいけど味が苦手で…」

「そっか…それは仕方ないね。ならじゃんじゃん食べて!ほら次は何食べる?」

そう言えばそんなこと言ってたな。

もぐもぐとたたきを食べながらそんなこと思った。

「わーい食べる!」

メニューを受け取って灯里はやけ食いに走った。
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