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第一章
19話目 女子会1
しおりを挟む「お待たせしました!」
仕事が終わった灯里さんと合流し四人でクイナさんオススメのお店へ移動する。
今日行ったお店はどれも美味しかったのでついつい期待しちゃう。
賑やかな表通りを通り過ぎ落ち着きのある通りに出る。
歩く人達はみな品のいい格好をしている。
そんな中クイナさんにここだよと言われお店を見る。
そのお店は白い漆喰のような壁で出来た三階建ての建物だった。
「ここって会員制のお店じゃないですか?!」
案内された建物を見て灯里が驚き声を上げた。
そんな灯里の声に微笑みを浮かべるクイナさんと自慢げな顔をするイリスさん。
お店に入って案内されたのは2階の個室だった。
「凄い!私ここ来てみたかったんです」
灯里は終始興奮していた。
「ここって会員登録が難しいからね。喜んで貰えてよかったわ」
そう言ってクイナさんはメニューを見せてくれた。
メニューには見慣れない料理名がずらりと並んでいた。
「爆発羊のたたきって何?凄い物騒なんだけど」
一角うさぎの丸焼きなんかもある。あとは昨日食べたレッドボアなんかもあった。
「凄い。さすが会員制…爆発羊もあるんだ…」
「あ、それハンスが取ってきたやつだね」
「取ってきた?!あれって食肉用に取るのめちゃくちゃ大変じゃないですか!!」
灯里さん曰く爆発羊とは森に生息する羊で群れで行動するらしい。
外敵から攻撃を受けると毛の部分が爆発するらしい。
その威力がなかなか強いのだとか。直撃すると死にかけるほどだとか。
敵が爆発で怯んだ隙に群れは逃げるらしい。爆発した羊は到底食用には向かないものになるらしい。
捕まえるには攻撃する前に眠らせ仕留めるのが定石なんだが対魔法に優れ物理も効きにくく大変なんだとか。
「そこら辺ハンスって妙に上手いんだよね」
「流石ハンスさん…食材に関して右に出るものは居ないですね」
そうやって会員登録済ませたらしい。
「じゃあ爆発羊のたたきにしようかな」
そんなに捕まえるのが大変なら食べてみたい。
「そうしなそうしな!美味しいよー!」
イリスさんにオススメされた。イリスさんは爆発羊のワイン煮にするらしい。
「うーどれも美味しそう。迷っちゃうー!」
灯里は頭を抱えてた。クイナさんは憐憫草と迷彩鳥のサラダにレッドボアの煮込み、フライドポテトに決定してた。
「あははは!珍しい物ばかりだもんね!じゃあこの道連れ牛のステーキオススメしておくよ!」
何!?道連れ牛って…!!
「それも卸したのはハンスさん…ですか?」
「それは私!」
イリスさんが自慢げに答えた。
道連れ牛とは死を覚悟すると足元が泥沼に変わる魔法を発するらしい。
敵を逃さないためにどこかを噛んだりして一緒に沈もうとする厄介なやつらしい。
こっちも倒すにはコツがいる。顎のあたりを強打して脳を揺らし一気に仕留めるのが定石なんだとか。
「私たちのパーティーは食に関してめっぽう強いからね。お店に顔がきくんだ」
照れながら教えてくれるクイナさん。
「流石Aランクパーティー…」
「元々食によって結成されたパーティーだからね。食いしん坊が多いの」
クイナさん自分で言っちゃったよ。
「決めた!道連れ牛のステーキルクナッツ添えに迷彩鳥のプリンに唐揚げ!」
灯里さんのメニューが決まったので店員さんを呼んで注文を済ませた。
「こっちって食用のお肉元の世界よりずっと多いね」
メニューを見て気付いたことを口に出してみる。
「そうそう!元の世界は鳥、豚、牛がほとんどだもんね。まあ猪とか馬とかも食べるっちゃ食べるけど中々手に入らないもんね」
「そうなの?あっちの世界の食べ物って不思議な物が多いからこっちよりも種類多いのかと思ってた」
「加工方法が色々あるからかな?調味料とかも確かにこっちよりも元の世界の方が多いね」
そうなんだと思いながらクイナさんと灯里の話に耳を傾けた。
「って事はあっちの調味料使えば更に美味しくなるかもしれないの!?」
イリスさんが勢いよく食いついた。
「新しい味にはなるかもしれないね。こっちにはあっちのように魔力による調味料もあるし混ぜたら面白そう」
「魔力の調味料?」
「そう。それによって料理人によって微妙に味が変化するんだ。面白いよ」
へぇーっと灯里の言葉に相槌を打つ。確かに今日食べたケーキも面白かったな。
そんな料理について話をしていたら頼んだ料理が出来た。
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