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112 未来は謎に包まれる
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ここに来てから一週間が経った。
何をしていたのかと問われれば、答えなど1つしかない。
そう、観光、である。
観光、やっと観光。するする詐欺をしていた観光である。
「旅っていいよね!」
「だよなぁ、これぞ醍醐味!」
屋台で目についた謎のドリンクを片手に、あちらこちらの店先を覗き込む。
ちなみにドリンクは青汁のような味だったと言っておこう。まあ、飲めるからいいのだが。
「あ、本あった」
「題名は……『魅力に迫る! ダンジョン【魅惑のキノコ】の謎』?」
「魅力なの? 謎なの? 魅力が謎なの? ものすごく気になる題名だけどね!」
「よし、買おう」
「まいど!」
特に中を見ることなく購入。
この世界、本はそれほど安いものではないのだが、今のところお金に不自由はしていない。
それに、これから入る可能性のあるダンジョン関係である。多少でも何かの情報が手に入るのなら、安いものだろう。まあ、全く無駄な内容である可能性も否めないが、気になるので仕方がない。その時は潔く諦めよう。
そして、やはり【おまけの指輪】効果なのか、もう一冊本がついてきた。……経営は大丈夫だろうかと思いながら、お礼を言って再び歩き出す。
「それはなんて題名?」
「ああ、これは『落ち人の見つけ方~これであなたも発見者~』って、なんだこれ?」
言いながらも、あまりの題名にぺらぺらと中を流し読みし始めた春樹によると、どうやら落ち人発見にいたった際の、落ち人が実際に言ったとされる言葉を集めたフレーズ集らしい。
「……よく、まとめたよねそれ……」
「その根性は称賛にあたいするよな。――お、やっぱりスライム関係が多いみたいだな。ええと『スライムが強いとか、ないだろ!』『切れない、スライムが切れない、なんでぇ!?』『まさかのスライムが強い設定!?』とか。……どんだけスライムに遭遇してんだよ」
「確かに、どこにスライムっているんだろうね?」
何せこの世界に来て遭遇したスライムはロティスだけであり、どこにもその気配がない。
ひょっとしたら偶々合わなかっただけであり、きっと普通にその辺にいるのだろうとはこれまでの経験から何となく思ってはいるのだが、何か腑に落ちない。
「……まあ、僕らみたく、ギルドで依頼表見て言ったのかもしれないしね」
「……そうだよな。そう言うことにしとくか……」
気を取り直して、先へと進む。
現在いるこの場所は、両側に露店が並ぶエリアとなっており、この先には港がある。もちろん、本日の目的地は、その港だった。
「楽しみだよね! 港だもん、魚介類あるよね!」
「……そう願いたいが……」
何故か歯切れの悪い春樹。
その理由は、聖にもとてもよくわかる。
それは確か二日ほど前、その日もあちこち気の向くまま歩き回っていたのだが、ふと目に着いたのが裏通りにある一軒のお店。
どうにも呪いの道具とかが置いてありそうな、おどろおどろしい店構えをしており、道行く人々が何かを恐れるように避けてく。
だが、あまりにも気になったので、少し離れたところのお店で聞いてみた。
『近付いちゃならねぇ……あそこはきっとヤバイ薬とかを販売してるところだ。興味本位で店に入った知人がいるんだが、異臭がしたらしい。……命からがら逃げてきたんだよ』
以上、顔を青褪めながら語られた言葉である。
命を大事にしろよ! と何度も言われながら見送られ、何とも言えない気分になる。
「……まあ、元の世界でも違法なものってあったしね」
「……だよな。それは世界が違っても変わらないってことか。――でもなんか、気になるんだよな、あれ」
「そうなんだよね。なんか、さっきから何かがひっかかるっていうか……」
危険なのはわかった。
だが、どうにも何かが気になって仕方がない。
首を傾げながら、再びその店を眺めて、そして――。
「「あ」」
気付いたのは、同時だった。
「ちょ、日本語! あれどう見ても読めるよね!?」
「絵じゃなかった! あれ文字じゃねぇか!」
そう、赤黒い色で描かれたそれ。この世界の住人では絶対に気付けず、知っていたとしても本当によく見なければ文字だと分からない描かれ方をしたそれ。
その描かれた文字は。
「『納豆』! まさかの納豆!」
「って、ちっさく『納豆っぽいもの、販売してます』って書いてる!………ぽいもの?」
言って、春樹のテンションが落ち着いた。つられて聖も落ち着く。
ぽいものって、なんだろう。
よくわからないが、入らない選択肢はなくなった。
ちょっと緊張しながら店内へと足を踏み入れる。
――ちなみにその様子を、まるで痛ましいものを見るような目で周囲の人々が見ていたのだが、2人は気が付かなかった。
完璧なる何かの勘違いを与えているが、2人の意識は納豆に向かっているので誤解が解ける日はきっと来ないだろう。
「あ、間違いなく納豆の匂いだ」
「そうだな……確かに、慣れてないとこれはダメだろうな」
「まあ、これだけ充満してるとね……」
ちょっと苦笑を漏らす。
いくら納豆を食べることに慣れているとはいえ、ここまで室内が納豆臭で凝縮されていれば、まあ、勘違いするのもわからなくもない。
「あん? 誰だお前らこんなとこに……って、やけに平然として、まさか、落ち人か!?」
奥から出てきたのは、背丈が低くてがっちりとした体形、まさにドワーフと呼ばれる種族だった。
その瞳が驚きに丸くなったかと思うと、すぐさま何かに気付いたように奥へととって返し、そして何かが入った器を持って戻ってきた。
「食ってくれ!!」
「え? えっと、納豆?」
「そうだ!」
「……納豆、だよな?」
「ああ、私が丹精込めて作った【納豆っぽいもの】だ!」
戸惑いながらも、それを受け取る。
だが、それを食べるには勇気が必要だろう。
だって、赤い。赤っぽい、ではなく真っ赤。しかも、血のような、と頭についてしまう。
「「……。……」」
しばし無言で見つめ、念のため主夫の目を発動。
【納豆っぽいもの】
昔々、落ち人によって持ち込まれたとされる種からできたもの。試行錯誤の末、何故か色が変わったらしいが、まあいいかと納得することにした。妥協って大事、を合言葉に日々成長している。人によっては美味しい。
「「……。……」」
落ち人が関わっているのは、最初から分かっていた。わかっていたのだが突っ込みどころが多すぎる。
何で緑茶といい納豆といい、種を持ち込んでいるのか。というか納豆って、まず大豆だよね? と首を傾げてしまう。
「まあ、食べてみようか」
「そう、だよな」
もはや名前に『ぽいもの』と付いてしまったことに、若干の不安と憐みを感じてしまうが、匂いは間違いなく知っている納豆なので、問題ないはずである。
意を決して、混ぜて一口。
「あ、美味い!」
「これって味入れてないよね? 美味しい!」
どう見ても醤油とかの調味料がかかっているようには見えなかったのだが、このままご飯にかけてもまったく問題ない。
これはぜひとも今後のご飯のお供に購入しなければならない、と値段を聞こうと思って店主だと思われるドワーフを見て、ぎょっとした。
「「ちょっ!?」」
「おお、ご先祖様! あなたの教えを守って今日まで作り続けてきましたが、ようやく同郷の方にお認めいただけました! 何処かの神よ、この出会いに感謝します!」
跪いて、祈りを捧げていた。
しかも「何処かの神よ」って、それでいいのかと思ってしまう。異世界的に。
「えっと、とりあえずこれ購入したいんですけど」
「もちろんだとも! なんなら水槽もみるか!?」
「「……水槽?」」
変な言葉を聞いたな、と思いながらも案内されるままに店の奥へと行くと、本当に水槽があった。
聞き間違いではなかったらしいと、唖然とそれを見る。
「どうだ! 私の水槽は!」
「「どうって言われても……」」
透明な巨大水槽の中には、白いサンゴのようなものが生えており、その先端に何故か真っ赤な枝豆の実のようなものがついている。
どうやら、あの実の中身が納豆、らしい。
「……これ、色が変わったとかいう問題じゃなくないか……?」
「……うん、試行錯誤って、何をどうやってこうなったんだろうね……」
疑問しか湧かない水槽を見ていると、徐に店主が実をいくつか採り、渡してくれたので、中身を取り出してみる。
驚くことに、その中身は濡れておらず、そのまま【納豆っぽいもの】だった。
「って、大豆は!? 過程も行程もすっ飛ばしていきなり納豆なの!?」
思わず叫んだ聖を、春樹がどこか達観した表情で宥める。
「落ち着け聖、……だって異世界だ。今まで想像通りだった食べ物なんて、どこにもないだろ?」
「そうだけどっ、そうだけどっ! 大豆が欲しかった!」
そう、大豆があれば期待できた。豆腐や油揚げ、そして味噌。大豆さえあれば何処かで作られているか、最悪もう自前で何とかする気だったのに、まさかのこれである。
思わず叫んでしまうのも仕方がない。
「あー、思うんだが大丈夫じゃないか?」
「どこらへんが?」
「ほら、納豆でこれだろ? だったら……豆腐のなる木とか、味噌の湧く泉とか、なんかそんな感じであるようなないような……」
「……それはなんか、あってはいけないものな気がするんだけど……?」
とくに味噌が湧く泉とか。
まあ、実際あったら問答無用で使うけど。
「えっと、話は大分脱線してちょっと未来がよくわからなくなりましたけど、とりあえずたくさん欲しいです」
「ああ、もちろんだとも! 格安で販売しよう!」
次々と収穫される? 揚げられる? 生きのいい【納豆っぽいもの】をこれでもか! というほど大量購入。
いろいろと混乱に陥りはしたが、結果的にはほくほくとしつつ店を後にした。
と、まあ、そんなことがあったので、本当に港に魚介はあるのかと、若干疑ってしまうのもしかたがない。
いや、あるだろうとは思うのだが、それが果たして想像している魚介なのかと考えてしまうのだ。
「まあ、そうなんだけど。ほら港だし、海だし、なんなら自分たちで釣ってもいいよ」
「それもそうだな。お、そろそろ港だな」
「あ、ほんとだ」
視線の先には、確かに港と言えるものが見え始めていた。
何をしていたのかと問われれば、答えなど1つしかない。
そう、観光、である。
観光、やっと観光。するする詐欺をしていた観光である。
「旅っていいよね!」
「だよなぁ、これぞ醍醐味!」
屋台で目についた謎のドリンクを片手に、あちらこちらの店先を覗き込む。
ちなみにドリンクは青汁のような味だったと言っておこう。まあ、飲めるからいいのだが。
「あ、本あった」
「題名は……『魅力に迫る! ダンジョン【魅惑のキノコ】の謎』?」
「魅力なの? 謎なの? 魅力が謎なの? ものすごく気になる題名だけどね!」
「よし、買おう」
「まいど!」
特に中を見ることなく購入。
この世界、本はそれほど安いものではないのだが、今のところお金に不自由はしていない。
それに、これから入る可能性のあるダンジョン関係である。多少でも何かの情報が手に入るのなら、安いものだろう。まあ、全く無駄な内容である可能性も否めないが、気になるので仕方がない。その時は潔く諦めよう。
そして、やはり【おまけの指輪】効果なのか、もう一冊本がついてきた。……経営は大丈夫だろうかと思いながら、お礼を言って再び歩き出す。
「それはなんて題名?」
「ああ、これは『落ち人の見つけ方~これであなたも発見者~』って、なんだこれ?」
言いながらも、あまりの題名にぺらぺらと中を流し読みし始めた春樹によると、どうやら落ち人発見にいたった際の、落ち人が実際に言ったとされる言葉を集めたフレーズ集らしい。
「……よく、まとめたよねそれ……」
「その根性は称賛にあたいするよな。――お、やっぱりスライム関係が多いみたいだな。ええと『スライムが強いとか、ないだろ!』『切れない、スライムが切れない、なんでぇ!?』『まさかのスライムが強い設定!?』とか。……どんだけスライムに遭遇してんだよ」
「確かに、どこにスライムっているんだろうね?」
何せこの世界に来て遭遇したスライムはロティスだけであり、どこにもその気配がない。
ひょっとしたら偶々合わなかっただけであり、きっと普通にその辺にいるのだろうとはこれまでの経験から何となく思ってはいるのだが、何か腑に落ちない。
「……まあ、僕らみたく、ギルドで依頼表見て言ったのかもしれないしね」
「……そうだよな。そう言うことにしとくか……」
気を取り直して、先へと進む。
現在いるこの場所は、両側に露店が並ぶエリアとなっており、この先には港がある。もちろん、本日の目的地は、その港だった。
「楽しみだよね! 港だもん、魚介類あるよね!」
「……そう願いたいが……」
何故か歯切れの悪い春樹。
その理由は、聖にもとてもよくわかる。
それは確か二日ほど前、その日もあちこち気の向くまま歩き回っていたのだが、ふと目に着いたのが裏通りにある一軒のお店。
どうにも呪いの道具とかが置いてありそうな、おどろおどろしい店構えをしており、道行く人々が何かを恐れるように避けてく。
だが、あまりにも気になったので、少し離れたところのお店で聞いてみた。
『近付いちゃならねぇ……あそこはきっとヤバイ薬とかを販売してるところだ。興味本位で店に入った知人がいるんだが、異臭がしたらしい。……命からがら逃げてきたんだよ』
以上、顔を青褪めながら語られた言葉である。
命を大事にしろよ! と何度も言われながら見送られ、何とも言えない気分になる。
「……まあ、元の世界でも違法なものってあったしね」
「……だよな。それは世界が違っても変わらないってことか。――でもなんか、気になるんだよな、あれ」
「そうなんだよね。なんか、さっきから何かがひっかかるっていうか……」
危険なのはわかった。
だが、どうにも何かが気になって仕方がない。
首を傾げながら、再びその店を眺めて、そして――。
「「あ」」
気付いたのは、同時だった。
「ちょ、日本語! あれどう見ても読めるよね!?」
「絵じゃなかった! あれ文字じゃねぇか!」
そう、赤黒い色で描かれたそれ。この世界の住人では絶対に気付けず、知っていたとしても本当によく見なければ文字だと分からない描かれ方をしたそれ。
その描かれた文字は。
「『納豆』! まさかの納豆!」
「って、ちっさく『納豆っぽいもの、販売してます』って書いてる!………ぽいもの?」
言って、春樹のテンションが落ち着いた。つられて聖も落ち着く。
ぽいものって、なんだろう。
よくわからないが、入らない選択肢はなくなった。
ちょっと緊張しながら店内へと足を踏み入れる。
――ちなみにその様子を、まるで痛ましいものを見るような目で周囲の人々が見ていたのだが、2人は気が付かなかった。
完璧なる何かの勘違いを与えているが、2人の意識は納豆に向かっているので誤解が解ける日はきっと来ないだろう。
「あ、間違いなく納豆の匂いだ」
「そうだな……確かに、慣れてないとこれはダメだろうな」
「まあ、これだけ充満してるとね……」
ちょっと苦笑を漏らす。
いくら納豆を食べることに慣れているとはいえ、ここまで室内が納豆臭で凝縮されていれば、まあ、勘違いするのもわからなくもない。
「あん? 誰だお前らこんなとこに……って、やけに平然として、まさか、落ち人か!?」
奥から出てきたのは、背丈が低くてがっちりとした体形、まさにドワーフと呼ばれる種族だった。
その瞳が驚きに丸くなったかと思うと、すぐさま何かに気付いたように奥へととって返し、そして何かが入った器を持って戻ってきた。
「食ってくれ!!」
「え? えっと、納豆?」
「そうだ!」
「……納豆、だよな?」
「ああ、私が丹精込めて作った【納豆っぽいもの】だ!」
戸惑いながらも、それを受け取る。
だが、それを食べるには勇気が必要だろう。
だって、赤い。赤っぽい、ではなく真っ赤。しかも、血のような、と頭についてしまう。
「「……。……」」
しばし無言で見つめ、念のため主夫の目を発動。
【納豆っぽいもの】
昔々、落ち人によって持ち込まれたとされる種からできたもの。試行錯誤の末、何故か色が変わったらしいが、まあいいかと納得することにした。妥協って大事、を合言葉に日々成長している。人によっては美味しい。
「「……。……」」
落ち人が関わっているのは、最初から分かっていた。わかっていたのだが突っ込みどころが多すぎる。
何で緑茶といい納豆といい、種を持ち込んでいるのか。というか納豆って、まず大豆だよね? と首を傾げてしまう。
「まあ、食べてみようか」
「そう、だよな」
もはや名前に『ぽいもの』と付いてしまったことに、若干の不安と憐みを感じてしまうが、匂いは間違いなく知っている納豆なので、問題ないはずである。
意を決して、混ぜて一口。
「あ、美味い!」
「これって味入れてないよね? 美味しい!」
どう見ても醤油とかの調味料がかかっているようには見えなかったのだが、このままご飯にかけてもまったく問題ない。
これはぜひとも今後のご飯のお供に購入しなければならない、と値段を聞こうと思って店主だと思われるドワーフを見て、ぎょっとした。
「「ちょっ!?」」
「おお、ご先祖様! あなたの教えを守って今日まで作り続けてきましたが、ようやく同郷の方にお認めいただけました! 何処かの神よ、この出会いに感謝します!」
跪いて、祈りを捧げていた。
しかも「何処かの神よ」って、それでいいのかと思ってしまう。異世界的に。
「えっと、とりあえずこれ購入したいんですけど」
「もちろんだとも! なんなら水槽もみるか!?」
「「……水槽?」」
変な言葉を聞いたな、と思いながらも案内されるままに店の奥へと行くと、本当に水槽があった。
聞き間違いではなかったらしいと、唖然とそれを見る。
「どうだ! 私の水槽は!」
「「どうって言われても……」」
透明な巨大水槽の中には、白いサンゴのようなものが生えており、その先端に何故か真っ赤な枝豆の実のようなものがついている。
どうやら、あの実の中身が納豆、らしい。
「……これ、色が変わったとかいう問題じゃなくないか……?」
「……うん、試行錯誤って、何をどうやってこうなったんだろうね……」
疑問しか湧かない水槽を見ていると、徐に店主が実をいくつか採り、渡してくれたので、中身を取り出してみる。
驚くことに、その中身は濡れておらず、そのまま【納豆っぽいもの】だった。
「って、大豆は!? 過程も行程もすっ飛ばしていきなり納豆なの!?」
思わず叫んだ聖を、春樹がどこか達観した表情で宥める。
「落ち着け聖、……だって異世界だ。今まで想像通りだった食べ物なんて、どこにもないだろ?」
「そうだけどっ、そうだけどっ! 大豆が欲しかった!」
そう、大豆があれば期待できた。豆腐や油揚げ、そして味噌。大豆さえあれば何処かで作られているか、最悪もう自前で何とかする気だったのに、まさかのこれである。
思わず叫んでしまうのも仕方がない。
「あー、思うんだが大丈夫じゃないか?」
「どこらへんが?」
「ほら、納豆でこれだろ? だったら……豆腐のなる木とか、味噌の湧く泉とか、なんかそんな感じであるようなないような……」
「……それはなんか、あってはいけないものな気がするんだけど……?」
とくに味噌が湧く泉とか。
まあ、実際あったら問答無用で使うけど。
「えっと、話は大分脱線してちょっと未来がよくわからなくなりましたけど、とりあえずたくさん欲しいです」
「ああ、もちろんだとも! 格安で販売しよう!」
次々と収穫される? 揚げられる? 生きのいい【納豆っぽいもの】をこれでもか! というほど大量購入。
いろいろと混乱に陥りはしたが、結果的にはほくほくとしつつ店を後にした。
と、まあ、そんなことがあったので、本当に港に魚介はあるのかと、若干疑ってしまうのもしかたがない。
いや、あるだろうとは思うのだが、それが果たして想像している魚介なのかと考えてしまうのだ。
「まあ、そうなんだけど。ほら港だし、海だし、なんなら自分たちで釣ってもいいよ」
「それもそうだな。お、そろそろ港だな」
「あ、ほんとだ」
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