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ドキドキ☆実践編 3(※R18)
しおりを挟むうそ、うそ…
こんなの知らない、こんな…。
僕は今、初めてのセックスの時以上の衝撃に見舞われている。
オイルに塗れた温かい手が、四つん這いになってお尻だけを上げた僕の股間を這いずり回っている。
最初は太腿や内股を行ったり来たりしていたのが、何時の間にか足の付け根に来ていて、睾丸すれすれのところを行き来している。普段自分で触れても意識すらしないような場所が、他人の手にすり変わった途端に性感帯のように感じられる事はよくある。けれど、これはそんな生易しい感覚じゃない。
直接性器に刺激を加えている訳でもないのに、体の奥に眠っている官能を引き摺り出されるような気がする。
「あっ…ふ…っん」
申し訳程度に被せられていたタオルは、揺らした腰の動きでとっくに滑り落ちてしまった。突き出した尻に感じる、舐めるような視線。なのにその手は、肝心なところは素通りばかりで憎らしい。時折、悪戯のように会陰を擦られるのが堪らない。そこから今にも肛門に指を滑らさせてくれるのではないかと、それを期待してしまう。
「…く…」
こんな格好をさせられているのに、羞恥心よりももどかしさを感じている自分が信じられなかった。
「もうっ…ねぇ、もう…、さわって…」
強請る言葉が口から零れてしまう。荒川君の手が触れたところが、痺れるほど熱くて…。
「ぉ…ねが…ふみ、やぁ…」
鼻にかかり、媚を含んだ声が出る。それに反応してか、絶え間無かった彼の手の動きが止まった。僕は肩で息をしながら次のアクションを待った。だが、なかなか訪れない。
「史弥…?」
待ちかねて思わず肩越しに振り返って様子を見ようとした時、それはやってきた。
「あああっ?!」
両手で押し広げられたアナルに蠢く熱くて滑る感触は、間違いなく舌だ。指なんかじゃない。
僕は驚いた。
セックスを覚えて間も無い荒川君にこんな事ができるなんて想定してなかったから。まさか、これもユマさんに?
「んっ、ん、うそ…っ」
「早霧、早霧…」
「いやぁ…ん…」
ソコを舐められるのは初めてじゃない。挿入前に慣らす時に、そんな前戯をしてくれる元カレもいた。でもその時は快感よりも気持ち悪さが勝って、あまり好きではないと思った。なのに、今はその時とは全然違う。性感マッサージで体中の感度が上がっているとでも言うのだろうか。アナルを舐められるその感覚は、僕の頭の中ですぐに快楽へと直結した。
「ん…んっ、んう…」
クチュクチュと響くくぐもった水音は、彼の舌と唾液が僕のアナルを愛でてくれている音だ。穴の周りをねっとりと舐め回し、尖らせた舌を差し入れて出し入れし、内壁を擦り…。普通のキスをしているだけの時には、彼の舌がこんなに器用に動けるなんて知らなかった。
しかも荒川君は、ぐちゅぐちゅになるまでアナルを責めながら、3度目の勃起に震えている僕のぺニスまで左手で慰めてくれている。
「…あ…ッ」
喘いでいる間に、指が挿入されたのがわかった。
「柔らかくなってる…」
「あんな、に、されたら…っ…ぁんっ」
「すごい…舌も指もこんなに締め付けて…気持ち良い?」
言いながら、彼の指が内側のある箇所に当たり、僕はああっと一際大きく喘いだ。
「あ、ココか…」
「いやっ、やっ、何…ああっ!」
コスコスと擦られたソコが僕の前立腺なんだろう。ぺニスを抽挿される時にたまに擦られて気持ち良いところだ。
喘いでいる内に指が増やされ、その挿入の刺激に腰を揺らしてしまう。でももう、指じゃ足りない。わかってよ、足りないんだ。
誘うようにお尻を揺らしながら肩越しに彼に視線を送った。僕の目は熱に浮かされたみたいに濡れている筈だ。早く気づいて。僕が誘惑してるんだから。
それとも、何?ああいう講習をしてもらってそれなりの性技を身につけると、冷静さや忍耐力も成長してしまうのか?
言葉責め覚えると、意地悪も覚えてしまうのか?
荒川君の成長は嬉しいけれど、僕の求めるままに動いてくれていた頃の素直さが懐かしい。
ぷちゅ、ぐちゅ、と抜き差しされる指に翻弄されながら、とうとう僕は素直に要求する事にした。
「ねぇ…もう…」
これ以上我慢できそうにない、挿入れて、と言おうとした時、指をズボッと引き抜かれて一瞬息が詰まった。
「ヒッ…」
「もうダメ…挿入れたい」
そこからはもう、めくるめく快感だった。
僕、初めて知ったよ。
男って潮を吹けるんだね。
今までの遠慮がちなセックスが嘘みたいに、荒川君は僕を征服した。
パンパンパンッ
「あっ、ぁああああっ、やっ」
後ろから抉るように僕を犯す、荒川君の逞しい腰の動き。流石に成人した男2人の体重と激しい動きはそれなりに負荷なのか、丈夫な造りの筈のベッドはかなり軋み鳴いた。でも、その音が余計に興奮を誘う。僕、今、こんなになるまで激しく求められてるんだって。
誰かを招き入れてこんなにナカが気持ち良かった事なんて無かった。気遣ってくれて一緒に愉しめる人もいたけど、勝手に激しく自分だけイったヤツも居た。色々居たけど、印象に残るほど強い快感を得た事は無い。
セックスは互いの欲求を解消する為のもので、それは不特定多数よりも固定のパートナーとの方が望ましい…それが恋人ならば更に良い。
僕のセックスに対する見解はそんなものだった。
相手がたまたま上手ければより快楽を得られるだろうというだけの、ただそれだけの。
でも、そんな概念を覆すような快感に、僕は今夜出会ってしまった。
それも、つい2ヶ月ほど前に、自らの手で脱童貞させた恋人によって。
「あっ、ヤだぁ…ひ…」
「…ッ…」
「や…イく、イく…ひっ…あああ!」
パチュン パチュン
イきそうになると打ち付けを弱めるという、寸止めまで駆使するようになってしまった荒川君が末恐ろしい。その上、僕のぺニスを抽挿と連動して扱き、左手は乳首を捏ねて来るという芸達者振り。
何だ、これが3点攻めというものだろうか。しかも今度は息を整える暇も無くひっくり返されて、前から挿入された。
足を抱え上げられ、再開される抽挿に耐える。
直腸壁を擦りながら最奥を突き上げる、彼の長いぺニス。内臓を押し上げられるような圧迫感に嘔吐きそうなのに、何故こんなにも繋がっている事が嬉しい?
「早霧…早霧、好きだ…」
何故、彼の声だけがこんなにも甘い?
彼の背中に腕を回し、グラインドする腰に足を絡める。揺さぶられて登りつめる一体感に、早鐘を打つ鼓動。中で脈打つ、彼のぺニス。彼の手に握られて、涙を流す僕のぺニス。
母や姉達の、男の口から出る恋も愛もまやかしだ、と苦々しく言っていた言葉が思い出された。
みんな、ごめん。
例え本当にそうなんだとしても、僕は信じてみたい人ができてしまったみたいだ。
だって、一緒に達する事がこんなにも嬉しい。
別に、だから絆されたとかそういう事じゃない。
彼は僕を初恋だと言った。多分、僕もそうなんだと思う。なら、初恋同士信じ合ってみても良いんじゃないかって、そう思えるんだ。
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