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ドキドキ☆実践編 2(※R18)
しおりを挟む「抱き上げていい?」
という荒川君に何とか思いとどまってもらい、(こういうとこが可愛くないのかな、僕…)と思いつつ、残念そうな彼に手を引かれてバスルームに移動。いや、そりゃ荒川君は僕よりは体格良いけど、僕だってそう小柄って訳じゃないから遠慮するよね。
脱衣所で、殆どはだけてしまって、留め残ってるボタンが2つくらいの僕のシャツを嬉し恥ずかしそうに脱がせてくる荒川君。貧相な僕の胸を見るだけで毎回顔を真っ赤にするくらい初心な癖に、よくもまああんな色っぽい風俗のお姉様を呼ぶ勇気を出せたもんだと妙に感心。好奇心から、
「ユマさんのおっぱい見た?」
と聞いてみたら、
「見てないよ」
と即答する荒川君。えぇ、一応風俗なんだろうにそんな事ある?と疑いの目を向けたら、慌てたように首と両手を振って言った。
「ほんとだよ。幾つかコスチュームは選べるって話だったけど、エステティシャンみたいな白いの着てもらってたし…」
「エステティシャン」
「…まあ、丈は短かったけど、別に他の人の足なんか見えても…」
言いながら微妙そうな表情になっていく荒川君。そして、何か思い出しているような仕草をしたかと思ったら、頭を振りながらこう言った。
「早霧の足なら、まあ嬉しいシチュだったかもしれないけど…」
「…」
やめて。頭の中で僕にソレ着せるのはやめて。いくら僕が女顔でもミニ丈の女装は流石にキツい。
曇りガラスのドアを開けると、中は湯気で温かい。バスタブには8割くらいに張られたお湯。何か溶かしてあるのか、薄くピンクがかっている。…ちょっと卑猥じゃない?と見ていたら、また手を引かれてシャワーの下に歩かされた。
「体、流すから少しの間立ってて」
「うん」
壁に向かって立たされて、温かいシャワーを肩から掛けられ体を濡らされる。人肌よりもやや温かいそれは、心地良かった。
「お湯、熱くない?」
「大丈夫、ちょうど良い」
「そか。じゃあ、洗っていくね」
荒川君の声がバスルームに響いて、僕はこくりと頷いた。軽く体を洗うだけだって言われたのに、何でこんなにドキドキするんだろ。
シャワーの温水に打たれながら少し待っていると、両わきの下から泡まみれの手が出てきた。荒川君の手のひらで泡立てられたボディソープが僕の平たい胸の上にまぶされる。ゆっくりぬるぬると円を描くように滑る彼の手は、僕のよりも大きくて気持ち良い。時折、突起に掠るから、その度にビクンと反応してしまう。
「…っ」
「早霧、気持ち良い?」
「ん…うん…アッ…」
「可愛い」
かぷっと後ろから耳介を食まれて、一瞬息が止まる。背中に荒川君の胸板が密着してる。降り注ぐ温いシャワーで濡れた肌同士が摩擦なく滑りあって、気持ち良い。彼の、泡でヌルついた指先2本で乳首を弾かれて、摘まれて、思わず鼻から声が抜けた。
「…ァ…」
「可愛い…綺麗。好き…好きだよ、ほんとに好き。死ぬほど好き。他の誰も目に入らないくらい、夢中なんだ」
「あっ、あん…あ…ッ」
思い詰めたみたいに苦しそうな、切なくて甘い彼の声。僕はこの、低過ぎないソフトな声がすごく好き。
そんな声で囁かれながら乳首を甘やかされたら、脳みそがぐちゃぐちゃに蕩けちゃうよ。
「…あ、あ…」
下半身も反応してきた。もう立ってられない。
僕は魚のようにはくはく口で息をしながら、肩越しに彼に視線を送る。
「だめ…だめ、もう…」
彼が息を飲んだのがわかった。
直後、彼による優しくも激しい手淫が始まり、数分。僕は自分の白濁がシャワーの温水と共に排水溝に流れていくのを見た。
2度目の射精で脱力した僕は、今度こそお姫様抱っこでバスタブに運ばれた。バスタブの中では荒川君の膝の上に座らされて、頬や唇に何度もキスされて、とにかく雰囲気が甘い。でも2人きりの時に荒川君が僕に砂糖菓子みたいに甘い波動を当ててくるのは毎度の事なので、されるがままに享受。お尻の割れ目や頬っぺに硬いモノが当たりっ放しで、今すぐにでも突っ込んで欲しいなんて思ったけど、『後で解してから』と、止められた。彼は性にも遅咲きで疎かったけれど、僕を好きになってからは疎いなりに男同士のセックスについても色々調べてくれたらしく、決して僕を傷つけるような無茶はしなかった。最初から自分の快感を優先せず、受け手の負担に目がいく男って、実はそう居ない。その点も、僕が彼を将来有望だと考えた理由のひとつだった。
荒川君は忍耐強い。
好きだからこそ、大事に抱きたいのだと行動に表してくれていた。
それは、がっついてくるだけの今までの元カレ達とは一線を画している部分だった。
そんな彼だったからこそ、『彼は違うかもしれない』といつにない期待をした事を、僕は思い出したのだ。
浴槽から出て、体を拭かれて、ボーッとしてる間に洗われた髪を乾かされた僕は、やっぱりボーッとしている間にバスタオルが敷かれたベッドの上にうつ伏せに寝かされていた。裸だけど腰とお尻の上にはタオルが掛けられてる。
僕が心地良く枕に顔を半分埋めてぼんやりとしている横で、荒川君は何かゴソゴソやっている気配。よくわからないけど、今日はもう完全にイニシアチブ持ってかれたから全面的にお任せだと思っていた僕は、目を閉じたまま待つ事にした。
でも早くしてくれないと寝ちゃいそうだなぁ、なんて思いながら。
暫くして。
「リラックスしてて」
と声がしたかと思うと、ぬめっと温かい何かが僕の左足に触れた。それがオイルのついた荒川君の手なんだとはすぐに気づいたけど…さっきのフェザータッチとはまた違う感触なんだなと不思議な気持ちになる。いつもは遠慮がちに僕に触れてくる彼の手が、こんなに大胆に皮膚を撫で上げているのも新鮮だ。
体温の高い大きな手が、時折ぐっぐっ、と軽く力を込めたり、押し上げるように肌の上を滑ったりするのは性感に関係無く気持ち良くて、姉や叔母達がエステ通いしてる理由がわかる気がする。
「ん…ふぅ…じょうず、だね…」
と、思わず吐息混じりに褒めると、一瞬ピタッと手の動きが止まる。どうしたんだろうと待っていると、
「ほんと?嬉しい」
と荒川君の声がした。
「僕、マッサージなんて初めてだけど、すごく気持ち良いんだね」
いや、これ本心。実は、信じたいとは思ったけど、こうして実際に受けるまでは半信半疑なところもあったんだ。でも、これはマジだね。だってこんなに気持ち良い。行き当たりばったりではできないでしょ。
「早霧にそう言ってもらえたら、頑張った甲斐があった」
少し弾んだような荒川君の声に、ふっと頬が緩む。そうだよね。純朴で初心で僕の事でいっぱいいっぱいな彼に、他の人と浮気なんか出来る訳無いよね。
そう思いながら、僕はご機嫌で荒川君のマッサージを純粋に堪能していた。
そう。まだ余裕があったのだ。
この時までは…。
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