‪愚鈍な‪α‬は無敵のΩ(俺)に膝を折れ

Q.➽

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不能のΩ

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ぶわり。





圧倒的な官能の匂い。
下っ腹の奥の奥にダイレクトアタックしてくる匂い。
思わず屈服したくなる、脳髄まで痺れるような強烈な強い雄の匂い。



本来、ならば。


通常のバース性持ちならばαのこれだけの本気のプレッシャーに耐えられる筈はない。
だけど俺の下半身も脳味噌もピクリとも反応しない。

残念ながら 俺は不能のΩなのである。






宗像 冬弥 (20)

国立大学に現役首席合格した、自慢じゃないが天才である。崇めろ。
身長185、文武両道、ルックス抜群。
保育園の頃から今現在に至るまで、俺の人生はイージーモードだった。
高一のバース性確定検査で予想を覆しΩの診断が下された時ですら、俺の世間的評価は揺るがなかった。
寧ろ、異例の最高級Ωとして‪α‬を息子に持つ…特に政財界の名家からは、嫁候補筆頭として見合いの申し込みが殺到した。
しかし俺は勿論それを全て一蹴した。

当然である。

これだけの才を持っている俺が、わざわざ他家に嫁入りするメリットとは何だ。次世代を担う優秀な子供を産み育てるのも確かに大役ではあるだろうが、俺自身の有り余る可能性を放棄してまでやりたい事ではない。

俺は俺の人生を生きる。



通常、Ωはヒートという…まあ、はっきり言うと非常に不便な発情期間がある。
その期間中は全ての社会生活に支障をきたすし、そしてそれがΩの社会的差別の主な要因にもなっている。
ヒートが来るとΩは、とある誘引物質を含む匂い(フェロモン)を発する。それは主に‪α‬に対してなのだが、稀に当てられるβもいなくはない。
その為、度々不幸な事故が起きる事も少なくなかったらしい。
近年は研究も進み、抑制剤の精度も上がっているらしいが、それでもそれを必要とする全ての人々の体質にそれが適合する訳ではなく、相変わらずΩにはデメリットの方が多い世の中なのだ。

Ω性とは生きていく上ではリスクとデメリットだらけの性…。
自分がΩだと知る前まで、俺もそう思っていた。

ところが。
自分がΩだと明確になってからも、俺の生活に特段変化は無かった。何故なのか。
第一に、俺のヒートは、軽い。
何なら抑制剤を服用すれば全く出ないと思う。
第二に、実は‪α‬フェロモンも、匂いは感知するが、効かない。


つまり俺は、異例中の異例、イレギュラーなΩなのだ。

そして俺にはもうひとつ、Ωらしくない特性がある。

だが、一応、秘密だ。










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