14 / 16
結婚するって本当ですか
しおりを挟む結婚する事になった。
誰と?
みなまで言わせないで欲しい。俺が泣くから。
先日俺は、とうとうコマされてしまった。
何故かはわからない。気がついたらアスランが背後でハァハァ息を荒らげて、好きだ好きだ言いながら俺の可憐な菊座(笑)を掘っていた。しかもそうしている内にブルっと震えたからヤバいと思って離れようとしたらガッチリ逞しい両腕で腰を抱き込まれ、逆に引き寄せられて中で出された。
嘘だろ…。最悪だ。呆然。
近頃の性教育はどうなってんだ。セックスには避妊具、無ければ中出し厳禁だぞ。社会の常識だぞ。
子供の欲しい夫婦や合意カップルだけだ、そんなんして良いのは。野郎だから中出しOKだとか思ったら大間違いだぞ。性病とか、単純に腹壊したりとか、色々支障あるからな…?
マジで何て無責任な奴なんだ、アスラン。
俺はその時、内心アスランを、ファミレスとかで『避妊しない彼氏とか最低~』と、デカい声で話してるJKのような気持ちで軽蔑したが、出し切った後に良い笑顔で
『言ってなかったけど、この世界って男も妊娠出来るんだって。男しかいないから。子作りセックスして結婚しような。コレ、既成事実な』
と言われた時は、
(意外に責任感はあるようだな?)
と少し感心した。
…いや、感心した、じゃねえよな。アホか俺は。
「いやいやいやいや、何を言ってんだ。結婚て笑」
と、歳下に掘られたブロークンハートを押し隠しながら苦笑していたら、
「いや本気だけど。
こっちの王様にも許可取ってるし」
俺は大困惑した。
いや許可とか合意は先ず俺に取れ?先ず本人同士の意思確認、これ常識。
いきなり王様とか出されても、王様は俺の何なんだよ。親でも何でもねえからな。そう言うと、
「でも輝の召喚国の最高責任者じゃん?」
と言うので、
「召喚したからって所有権が発生するとか思われても困るわ」
と返したら、それもそうだな。と返ってきた。いや何時の間に国の所有物扱いよ。心外だわ。
「でもさ」
アスランは不敵に笑って言った。
「どっちにしろ、輝は俺と一緒になる道を選ぶと思うぞ」
「……いや、1回や2回ヤったくらいで……笑」
そう笑ってたら、数週間経過した頃、城の廊下で聖女♂︎に呼び止められ、言われた。
「おめでとうございます。おや、お元気ですね」
「……?ありがとう?元気だが」
「はは、勇者様同士のお子はやはり腹の中から違いますねえ」
「?!!!?!?」
とか言って事が明るみに出た。
俺はどうやらあの日にアスランに孕まされていたらしかった。
聞いてねえ。聞いてねえな。
この世界に来た段階で全ての男が妊娠可になるとか、全く聞いてねえ。
つーかそんな気だけはしていたが認めたくなかった。
「輝は鈍いから体に直接叩き込む方がわかってくれると思った」
アスランは全く悪びれなかった。
絶句。
「たかがゲームの攻略に、異世界から来た生身とわかってる人間の男を孕ませたりするのか、お前は」
思わず声を荒らげてそう言うと、アスランは答えた。
「だから。
もう単なるキャラ攻略じゃなくなってんだっての」
「キャラ攻略じゃなきゃ何なんだ!」
そう言うと、
「俺はとっくに輝が好きなんだっつの。
あのよ、俺の立場を自分の身に置き換えて考えてみて欲しいんだけど、」
いきなりそんな風に切り出してきた。何だよ…。
「ある日、プレイしてたゲームの世界に飛ばされました」
「うん。俺は歩いてただけだけど…」
「良いから聞いて。
で、飛ばされてきて、ゲームの世界だなと気づきました」
「…おお」
「大体流れがわかります、出会うキャラとか、国とか」
「うん」
「は、そういやゲームの中ってんなら、あの大好きな推しキャラにも頑張れば会えるんじゃね?」
「…うん」
「剣とか色々頑張りました。レベルが上がる毎に様々な情報も耳に入るようになりました」
「ふんふん」
「ある日推しキャラが隣の国に召喚された事を知りました」
「ました」
「王様にゴネて合同チーム組むって理由つけて会いに来たら実物はSo Cute&クールビューティーで股間が熱く震えました」
「何かいきなりヤな展開になってきたな」
「しかも頑張ったら結構構って貰えるようになりました」
「それは良かった」
「一緒に過ごす内に、何時の間にかどうしようもなく好きになっている事に気づきました。しかもここは、男同士結婚出来る世界です。しかし相手はニブチンの堅物です。OKしてもらうには既成事実が必要です」
「物騒」
「抱くでしょ普通」
「まあ、そうだな。
……えっ?」
そっからは理解も速やかだった。
つまりアスランは俺が好きで好きで堪らなくて、俺を手に入れる為に確信犯的に俺を抱いたという事である。
「だからぶっちゃけもう攻略とかどうでも良いから俺の子供産んでください」
「気軽に言うんじゃねえ」
ええ…もしここで子供なんか産んだらどうなるんだよ。
本格的にこっちの住人になっちまって帰れなくなるんじゃねえのか。
「取り敢えず、結婚しようよ。
俺、きっとリアルの世界でも輝に会ってたらプロポーズしたと思うから。
それに、俺といたらリアルに帰った時も将来安泰だし猫カフェの夢も最短で実現可だよ」
そんな事を言うアスラン。
訝しむ俺。
「なんでだよ」
「俺んち母さんがまあまあデカい不動産会社の社長してるから自社物件たくさん持ってる」
「よろしくお願いします」
こうして俺は、自社物件というキーワードに 思わず勢いと打算で結婚を承諾してしまったのである。
0
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
異世界に転移したショタは森でスローライフ中
ミクリ21
BL
異世界に転移した小学生のヤマト。
ヤマトに一目惚れした森の主のハーメルンは、ヤマトを溺愛して求愛しての毎日です。
仲良しの二人のほのぼのストーリーです。
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
俺がイケメン皇子に溺愛されるまでの物語 ~ただし勘違い中~
空兎
BL
大国の第一皇子と結婚する予定だった姉ちゃんが失踪したせいで俺が身代わりに嫁ぐ羽目になった。ええええっ、俺自国でハーレム作るつもりだったのに何でこんな目に!?しかもなんかよくわからんが皇子にめっちゃ嫌われているんですけど!?このままだと自国の存続が危なそうなので仕方なしにチートスキル使いながらラザール帝国で自分の有用性アピールして人間関係を築いているんだけどその度に皇子が不機嫌になります。なにこれめんどい。
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
会社を辞めて騎士団長を拾う
あかべこ
BL
社会生活に疲れて早期リタイアした元社畜は、亡き祖父から譲り受けた一軒家に引っ越した。
その新生活一日目、自宅の前に現れたのは足の引きちぎれた自称・帝国の騎士団長だった……!え、この人俺が面倒見るんですか?
女装趣味のギリギリFIREおじさん×ガチムチ元騎士団長、になるはず。
妻を寝取られた童貞が18禁ゲームの世界に転生する話
西楓
BL
妻の不倫現場を見た後足を滑らせ死んでしまった俺は、異世界に転生していた。この世界は前世持ちの巨根が、前世の知識を活かしてヒロインを攻略する18禁ゲームの世界だった。
でも、俺はゲームの設定と違って、エッチに自信なんかなくて…
※一部女性とのエッチがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる