どうせ俺は性悪脇役姫だから

Q矢(Q.➽)

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「う、ぐっ、う、あっ」

埃臭いマットの上で、俺はのたうち回った。

ろくに慣らしもしないで唾液だけを潤滑剤にして突っ込まれて、肛門が切れた。痛い。血が出てる、絶対。
それなのに男は正常位でずっと休みなく突いてくる。
こないだまで中坊だった俺でも、コイツ下手なんじゃねえの?って思った。
見た目こんなに美形だからそれなりに場数踏んでると思ったのに、何コレ。ひでえ。
しかも、男のちんこはデカかった。挿入れられる前に見た時、気が遠くなりそうだったもん。ソレ俺に突っ込むつもり?って。
自慢じゃないけど俺、う〇チ細いのに。物理的に絶対無理だろって、失神したくなった。

「どこもかしこもほっせえな、お前。」

そんな事を言いながら腰を掴まれて、顔中にちゅっちゅされたのはイケメン相手でも気色悪かった。でも耐えた。我慢するしかないじゃん。
ラブドールよろしく大人しく顔中舐め回されて唾液まみれにされたよ。何だこのイケメン、特殊性癖か?って思いながら。

だって不思議じゃん。
この工業、郊外にはあるし女生徒なんか5人しかいないらしいけど、一応いるんだよ。完全な男子校じゃない。全寮制でもないし、一歩校門を出て歩いてりゃ普通に女は歩いてる。
駅に行きゃ近隣の学校の女生徒だってウロウロしてるし、女と隔離された環境って訳じゃない。
他の、モテないジャガイモみたいな奴らならともかく、このレベルの男なら歩いてるだけで女の方から寄ってくるだろ。相手に不自由なんかしないだろ。
女と隔絶されて代用品が必要な環境でもないのに、何でわざわざ下級生の男拉致ってきて抱くんだよ…。


男は俺の、ついてる意味があるのかわからない小さい乳首を舐めて吸って、腹を撫でた。手でちんこを扱いてくれたけど、力加減が強くて痛くて、でも歯を食いしばって耐えた。
痛いなんて言って、男が逆上してもっと酷くされたら困ると思った。
俺のちんこは縮んだままで、男は不思議そうな表情で、「気持ちよくないのか?」って聞いてきたよ。

変な事聞く奴だなと思った。この年齢の男だよ?
気持ち良きゃ勃起するに決まってる。でもそうなってないんだから、それがどういう事なのかなんてわかるだろうに。
でも、そう思いながらも俺は首を振った。そして、言ったよ。

「きもち、いい、です…。」

そんな俺の明らかなリップサービスを、男は真に受けたのか、初めて笑った。

「そうか。」

そんで、愛撫もそこそこに俺の足を大きく開かせて、ケツをまさぐって慣らすように指を入れてきた。その時の気持ち悪さったら。表現するのが難しいな。
大体さ、尻の穴なんて出す専用の場所で、何かを入れる用には出来てないじゃん。入れるのってせいぜい座薬くらいだろ? 
世の中には色んな人がいて、同性愛者がいるって事くらいは俺でも知ってた。でも自分には関係の無い事だからって気持ちがあったから、そんな人達がどんな風にセックスするかなんて考えた事もなかったんだ。
でも、そんなもんじゃない?みんなさ、自分に関係の無い事になんか、興味なんか持たないじゃん。

同性とのやり方なんて、知る訳ない。受け入れ方なんて、知らなくて当たり前だろ?
どうやったら少しでもラクになれるかなんて、わかんなかった。

1回俺の中に射精した男は、俺をひっくり返してうつ伏せにしてから、今度は寝バックで犯してきた。


「うっ、あっ、あっ、あっ」

「お前の中、狭いな…。」

後ろから耳元で獣みたいに息を荒らげながら突いてくる男。
萎えてる俺には構わずに、好き勝手に腰を降って。俺の声を喘ぎ声だと勘違いしてるのか?
それともサディストで、わざと痛めつけて苦痛に悶える声が大好物なのか?

とにもかくにも、男はそのまま俺をガン突きして、また2回目を中出しした。
それで終わってくれるのかと思ったら、今度は座った状態の男の膝に子供のように座らされて、挿入れられた。そこからがまた、長かった。

やっと男が3回目の射精をした時、俺は息も絶え絶えになっていた。

死ぬ。ヤり殺される。

女の子達相手の普通のセックスしか経験が無かった。彼女達もこんな苦しかったのかなって考えた。
でも、絶対違うと思った。

俺も少しは身勝手にガンガンいく事はあったけど、相手がこんなになるまで無理させた事なんてなかったもん。絶対違う。でも、これからはもっと気を使おう。

汗だくになりながらそう反省した俺の耳に、男は恐ろしい宣告を囁いたんだ。


「これでお前、これから俺のオンナな。」

ひゅっ、と喉が鳴った。

オンナ?女って、つまり…。

「…ど、いう…いみ、ですか…?」

悲鳴出し過ぎて枯れた声で聞いたよ。知りたくなかった。でも聞いちゃった。
どうせ、どんな事になったってもう逃げらんないって気はしたんだけどさ。

「だ、って、おれ…せんぱいのなまえも、しらないの、に…。」

せめてもの抵抗っていうか。
まあ、意味なかったんだけど。

俺の言葉に男は、ああ、と初めて気づいたように言ったよ。

「俺は3年の久我だ。久我裕威(ひろい)。」

「くが、せんぱい…。」

「お前は今日からこのガッコのトップのオンナって事だ。」

「……と、っ…」

拉致りに来た2人。あんな連中を使えるのなら、それなりの立場にいる奴なんだろうとは思ってた。だけどまさか、トップだとは思ってなかった。

震えが来た。

あ、これ、マジで詰んだやつじゃんって。


男は半裸の俺を後ろから抱き締めて、駄目押しみたいに言ったよ。男の汗と香水と精液と埃の混ざった匂いがした。

「仲間に通達は出すが、何処にでも馬鹿はいる。もしこれからお前にちょっかい出す奴には、俺の名前を出せ。」

「……。」

「良いな?凛。」

名前を呼ばれて肩が震えた。

「お前はもう俺の手付きだ。…逃げようなんて考えんじゃねえぞ。」

逃げようなんてって、逃げ場なんてある訳無い。
入学早々登校拒否なんて親が許す筈無いし、俺の偏差値じゃ他に何処にも転校なんかできない。俺を私立にやる金は無駄金と言い放った親父だから、その道だって経たれてる。

「…はい。」

なんで俺なんだ、って泣きたくなったけど、こうなったからには、長いものに巻かれて生きていくしかないと切り替えた。

俺ってマジで不幸の星のもとに生まれてるんだわ。




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