84 / 86
84 壱与side(※R18描写)
しおりを挟むランの優しさと気遣がもどかしくて、焦れていたんだ。
だからほんの少し、キスで煽った。
早く。早く俺の中に、おいでって。
後ろから、時間をかけて途中まで挿れられたランの太く長いペニス。想像してたより遥かに立派に育っていた。可愛い顔からはとても想像できないような、グロテスクなほどの膨張率。流石は俺のラン。
まさかこんなに色々育つとは。これが3年と少し前のあの日、小さな君に出会った時には想像もしてなかった。
初めての交わりだなんて信じられないくらい、俺のアソコは濡れた。俺達みたいな男性オメガは肛門の中で道が分かれている。排泄器官と生殖器官。女性は尿道と膣がごく近い位置に隣接してるけど、オメガ男性は肛門が両方の入り口の役割を担ってる
から衛生面は日頃から気をつけなきゃいけないけどな。ヒートの時は、日頃以上に。
信じられないだろ?この、筋肉で硬い男の腹の中に子供を孕む子宮があるなんてさ。
俺だって未だに信じられないよ。冗談じゃないって拒絶したい時もあった。
でもランに出会ってから、この体も悪くないなって思うようになったんだ。
だってさ。普通に考えて、好きな奴が同性だった場合って、まだまだ諦めなきゃいけない事が幾つもあるだろ?例えば、結婚とか子供とか。でも、俺達アルファとオメガの場合は無条件にそれが叶うんだ。初めて、オメガでラッキーだって思ったよ。
ランの望みも、ランの幸せも、全部俺が叶えるって決めたんだ。
「ああぁ、んっ、あっ、う、」
俺の喘ぎ声が響く室内。
単純な可愛いランには煽り耐性が無い。俺の言葉とキスに、最後の理性が切れたらしい。
ランが十分に柔らかく広げてくれた筈なのに、残り半分を一気に押し入れられて目の前に火花が散った。すごい。これが好きな男のペニス。これがアルファとのセックス。
衝撃だった。圧倒的な肉の質量に、内臓が圧迫感される。苦しい。 ランも苦しいのか、後ろから俺を抱きしめたまま、動きを止めている。乱れた息が俺の首筋にかかり、ランの匂いが強く香った。
例の、蜂蜜にグレープフルーツを浸したような蕩けるように甘い香り。ランの発情の匂い。クラクラして訳がわからなくなるくらいに、甘い。体温は子供みたいに高くて、肌が密着している背中が汗ばみ、そこから癒着してしまいそうに熱くなる。2人のフェロモンの匂いが混ざって、部屋中に漂い、充満する。
完全に結合を果たした俺とラン。ランは動かないが、俺の中では亀頭球が膨れ上がり、ペニスの質量も更に増しているのがわかる。ぎちりと嵌まったそこは、俺の中に射精するまで抜けない。
「みずき君…すき、すき」
理性が飛んでるランは、ゆっくり腰を揺らしてる。結合が馴染むのを待てなかったらしい。可愛い奴。
ランの動きに合わせて俺も揺らされる。気持ち良い。たまらなく気持ち良い。俺の体はランにならどこに触れられても快感を拾える。
「俺も好きだよ」
「大好き、愛してる、大好き、僕のもの…」
ランはうわ言みたいにそう繰り返しながら腰を揺らして、俺のうなじを甘噛みしている。その甘噛みはどんどん強くなり、カジカジと鋭い歯を立て始めた。とうとうプツッと肌に食い込んだ牙。そこから何かが俺の中に流れ込んで来て、じんわりと周囲を麻痺させていく。オメガの痛みを緩和して、スムーズに番を受け入れさせる為に、発情したアルファの牙からは麻薬のような物質が出るようになっているからだ。
「……ァ…!」
腰の揺れが止まって、中でランのペニスが一段と大きくなったと感じた瞬間。ガブリと噛み付かれた。麻痺させられて痛みは快楽に変わっている。噛まれた瞬間、俺のペニスからはダラダラと白濁が溢れ出した。変なイき方をして、快感の波が止まらない。
少しして、ランの射精の熱を感じた。
番の契約には、アルファはオメガの中に精を放つ事が必要不可欠。その際、オメガが快感を得ている程に、番契約は成立する確率が上がる。だからアルファは、意中のオメガに快感を与える事に全神経を注ぐ。
「あ、ああぁ…ラン……」
ランはまだ噛み付いている。全身に伝わっていく、甘い痺れ。熱いうなじ。次には身体中が熱くなり、ほんの数十秒で体の細胞全部が作り替えられてしまったよう。実際、似たようなものらしい。
番になるって事は、アルファ専用の体に生まれ変わるって事だから。
ランが牙を抜いた頃には、俺の体にはランの細胞がうなじからも腹の中からも取り込まれて、心身共にランのオメガにされていた。
ランの射精は長かった。アルファは完全に出し切るまでペニスを抜けない。しかも発情してる俺達は、その後も何度も交わった。一度の要領を覚えたランは、それから何度も俺をひっくり返してはあらゆる体位を試したがった。俺は合間の休憩で、3日の間に2回避妊薬を服用した。
ヒートが終わりを迎える頃には、俺のうなじにはランの咬み痕がすっかり定着して、番契約はしっかり結ばれていた。
やっと番になれた俺とランは、4日目の朝、最後に深いキスを交わしてから、疲労困憊で抱き合って眠った。
そして夕方起きた時、俺の隣にはレッサーパンダ姿のランがすやすや寝ていた。
どうやら初めてのヒートで体力を使い果たして、回復する為に獣姿に戻ってしまったようだった。
久しぶりにレッサーパンダ姿のランを撫でながら、もし俺達の番の儀式を他の獣人が見たら、熊の首にレッサーパンダが食らいついてるように見えたんだろうかと複雑な気持ちになった。
62
お気に入りに追加
1,379
あなたにおすすめの小説

捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。

オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる